テーマ・部門別
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コンプライアンス・ハラスメント防止▼
- “繊細さん”“ハラスメント”時代に相応しい叱り方・褒め方研修
- 顧客志向で実践するシン・カスタマーハラスメントとクレーム対応研修
- カスタマーハラスメント研修 〜カスハラへの早期対策が必要不可欠〜
- 下請法基礎研修【コンプライアンスの本質を知る】
- ハラスメント防止研修【リーダー層向け】〜30代、40代の8割がハラスメントを感じたことがある〜
- アンガーマネジメント研修
- ハラスメント研修【全社員対象】
- 管理職向けハラスメント対策研修 ~組織の価値を高める実践的アプローチ~
- ハラスメント相談窓口研修
- コンプライアンス研修・コンプライアンス相談窓口担当者研修
- リスペクト・トレーニング研修 〜職場内での相互リスペクト醸成し、ハラスメントを抑止する〜
- ハラスメント防止研修【コミュニケーション良化とジェネレーションギャップ解消】
- SNS(ソーシャルメディア)利用のコンプライアンス研修
- ハラスメント防止研修【オーダーメイド動画研修】〜飽きない動画、見られる動画、役に立つ動画で研修成果を最大化〜
- 任天堂で実践したサプライチェーンのCSR推進
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SNS・DX・AI活用▼
- デジタルマーケティング&販売促進研修
- SNS活用研修 〜企業SNSの効果的な運用方法と炎上リスクへの対策(Instagram、X、TikTokなど)〜
- SNS活用研修(幹部向け)
- Instagram活用研修【初級編】~インスタグラム運用の基本を学び、自社PRツールの武器に変える~
- Instagram活用研修【中級研修】
- Instagram活用研修【上級研修】
- ライブコマース活用研修
- X(旧Twitter)ビジネス活用研修
- SNS炎上対応・リスクマネジメント研修
- SNS(ソーシャル・メディア)活用研修 〜Twitter(X)・Instagram・YouTube
- SNS活用研修(コンプライアンス)
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ビジネスマナー・CS・接遇・クレーム対応▼
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営業力▼
- ディスカバリー営業研修 〜顧客と営業との新たな関係性を作る新営業スタイル〜
- 営業スキル伝承研修 〜ベテラン営業のスキルを伝承させて企業全体の営業力を高める〜
- 若手営業研修 〜経験学習モデルを使った実践的かつ効率的に営業力を高める
- 営業研修 〜明日からすぐ使える、成約率が高まる営業スキル向上〜
- 営業実践力向上研修
- 営業スキルアップ研修 〜仕事を拡大させるための営業スキル〜
- 営業研修 〜営業について徹底的に学び成果を最大化させる〜
- 電話営業の基本研修
- 質問力向上×プレゼン能力向上研修
- オンライン営業研修
- 営業パーソンのための顧客対応力研修
- 展示会成功講習・展示会で圧倒的に見込み客を獲得する具体策(出展者説明会対応)
- 女性営業研修〜女性の強みを活かすインサイト営業
- 営業パーソンのための実践マーケティング入門
- 住宅業界のための営業マーケティング研修
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情報セキュリティ・情報漏洩▼
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メンタルヘルス・ヘルスケア▼
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人材アセスメント▼
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グローバル・SDGs▼
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コミニュケーション・コーチング▼
- 転職入社時の導入(馴染む力養成)研修
- 指導社員養成および指導社員養成フォローアップ研修
- “繊細さん”“ハラスメント”時代に相応しい叱り方・褒め方研修
- 1on1面談の進め方講座
- チーム構築研修【小規模組織向け】
- 若手・中堅社員 事務・総務職研修
- 管理職向けコミュニケーション研修
- Zoom での勝負は「ノンバーバル(非言語)コミュニケーションで決まる!
- コーチング・部下育成研修
- コミュニケーション研修 〜職場を元気にするコミュニケーション活性化のポイント〜
- コミュニケーション「報・連・相」強化研修
- リーダーシップ・コミュニケーション研修
- ビジネスマナー&コミュニケーション研修
- コミュニケーション研修 〜チームビルディングでチームでのコミュニケーションを高める〜
- 安全管理コミュニケーション研修
- リーダーのためのエンゲージメント研修
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販売促進▼
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チームビルディング▼
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経理・財務▼
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評価・考課▼
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人事▼
- 転職入社時の導入(馴染む力養成)研修
- “無料でもここまで採れる”ハローワーク活用術研修・講演
- ~元大手人材紹介会社幹部がこっそり耳打ち~魅せられる地方企業の求人づくり研修
- ~人事制度成否の要~人事評価スキル研修
- ~もう採用コストを無駄にしない~人材定着・早期離職防止の為のたった3つのカギ研修
- 公平評価で組織力を向上する!人事評価者研修
- 採用面接官向け研修
- 1on1面談の進め方講座
- 女性のキャリアデザイン講座 〜転換期を生きる私達の人生戦略〜
- 職場復帰支援研修〜不調からの職場復帰のポイント
- 人事評価者研修 〜公正な評価基準を認識させ考課エラーを防ぐ〜
- 管理職のための労務管理研修
- インバスケット研修〈マネジメント編〉
- インバスケット〈アセスメント編〉
- 管理職向けアセスメント研修
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業務改善▼
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広報(広告・宣伝・CSR)▼
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マネジメント▼
- 事業承継者の為の従業員マネジメント研修
- “繊細さん”“ハラスメント”時代に相応しい叱り方・褒め方研修
- 部下育成OJT・動機づけ研修
- ~もう採用コストを無駄にしない~人材定着・早期離職防止の為のたった3つのカギ研修
- 下請法基礎研修【コンプライアンスの本質を知る】
- BCP研修
- 若手・中堅社員フォローアップ研修 〜組織をけん引する人材への行動変容を目指して〜
- リーダーシップ開発研修 VUCA・AI時代を切り拓く組織開発とは?
- ウェルビーイング経営研修
- 売れる会社がやっているたった四つの繁盛の法則
- 後継者育成セミナー(事業承継のための研修)
- マネジメントゲーム研修 〜スタッフに経営・財務視点を身に付けさせ生産性を高める〜
- インバスケット〈アセスメント編〉
- 事業承継 完全対策セミナー
- 緊急時のためのBCP(事業継続・復旧計画)策定研修
- 管理職向け 戦略マネジメントゲーム研修
- ロジカルシンキング研修
- リーダーシップ・コミュニケーション研修
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法務▼
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部下育成▼
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仕事の基本▼
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販売▼
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企画・プレゼンテーション▼
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生産管理▼
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企画・マーケティング▼
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ビジネスマインド▼
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新規事業部▼
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キャリアデザイン▼
階層別
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新人▼
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若手・リーダー▼
- 転職入社時の導入(馴染む力養成)研修
- 指導社員養成および指導社員養成フォローアップ研修
- ディスカバリー営業研修 〜顧客と営業との新たな関係性を作る新営業スタイル〜
- 営業スキル伝承研修 〜ベテラン営業のスキルを伝承させて企業全体の営業力を高める〜
- 若手営業研修 〜経験学習モデルを使った実践的かつ効率的に営業力を高める
- 営業研修 〜明日からすぐ使える、成約率が高まる営業スキル向上〜
- 若手・中堅社員 事務・総務職研修
- 若手・中堅社員のための事務・総務職研修 〜実務の基礎と「振る舞い力」向上に向けて〜
- 若手・中堅社員フォローアップ研修 〜組織をけん引する人材への行動変容を目指して〜
- 入社3年目能力強化研修〜次世代リーダーへの能力開花に向けて〜
- リーダーシップ開発研修 VUCA・AI時代を切り拓く組織開発とは?
- 女性のキャリアデザイン講座 〜転換期を生きる私達の人生戦略〜
- 営業研修 〜営業について徹底的に学び成果を最大化させる〜
- 電話営業の基本研修
- メンター育成研修 〜新入社員へのメンタースキル向上〜
- 店長研修
- 営業交渉術研修 〜交渉計画策定から交渉ロープレまで~
- 財務諸表の読み方研修
- リーダーシップ・コミュニケーション研修
- メンター研修
-
中堅▼
- 転職入社時の導入(馴染む力養成)研修
- 指導社員養成および指導社員養成フォローアップ研修
- “繊細さん”“ハラスメント”時代に相応しい叱り方・褒め方研修
- 公平評価で組織力を向上する!人事評価者研修
- ディスカバリー営業研修 〜顧客と営業との新たな関係性を作る新営業スタイル〜
- 採用面接官向け研修
- 1on1面談の進め方講座
- 営業スキル伝承研修 〜ベテラン営業のスキルを伝承させて企業全体の営業力を高める〜
- 若手・中堅社員 事務・総務職研修
- 若手・中堅社員のための事務・総務職研修 〜実務の基礎と「振る舞い力」向上に向けて〜
- 若手・中堅社員フォローアップ研修 〜組織をけん引する人材への行動変容を目指して〜
- リーダーシップ開発研修 VUCA・AI時代を切り拓く組織開発とは?
- 営業研修 〜営業について徹底的に学び成果を最大化させる〜
- マネジメントゲーム研修 〜スタッフに経営・財務視点を身に付けさせ生産性を高める〜
- 営業交渉術研修 〜交渉計画策定から交渉ロープレまで~
- 財務諸表の読み方研修
- メンター研修
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管理職▼
- “無料でもここまで採れる”ハローワーク活用術研修・講演
- 指導社員養成および指導社員養成フォローアップ研修
- “繊細さん”“ハラスメント”時代に相応しい叱り方・褒め方研修
- ~人事制度成否の要~人事評価スキル研修
- 部下育成OJT・動機づけ研修
- 公平評価で組織力を向上する!人事評価者研修
- ディスカバリー営業研修 〜顧客と営業との新たな関係性を作る新営業スタイル〜
- 採用面接官向け研修
- 1on1面談の進め方講座
- チーム構築研修【小規模組織向け】
- リーダーシップ開発研修 VUCA・AI時代を切り拓く組織開発とは?
- 女性のキャリアデザイン講座 〜転換期を生きる私達の人生戦略〜
- 管理職向けコミュニケーション研修
- ウェルビーイング経営研修
- 管理職向けハラスメント対策研修 ~組織の価値を高める実践的アプローチ~
- リスペクト・トレーニング研修 〜職場内での相互リスペクト醸成し、ハラスメントを抑止する〜
- 「身だしなみ接遇研修」「管理職向け身だしなみ・服装研修」
- マネジメントゲーム研修 〜スタッフに経営・財務視点を身に付けさせ生産性を高める〜
- 管理職のための労務管理研修
- 管理職研修〜管理職に求められるマネジメントの基礎〜
- 管理職向け 戦略マネジメントゲーム研修
- 営業交渉術研修 〜交渉計画策定から交渉ロープレまで~
- 女性が働きやすい職場をつくるための男性管理職向け研修
- リーダーのためのエンゲージメント研修
- 管理職向けアセスメント研修
- 危機に瀕したときの広報対応研修(プレスリリース・記者会見)
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役員・経営者▼
- “無料でもここまで採れる”ハローワーク活用術研修・講演
- ~元大手人材紹介会社幹部がこっそり耳打ち~魅せられる地方企業の求人づくり研修
- 事業承継者の為の従業員マネジメント研修
- “繊細さん”“ハラスメント”時代に相応しい叱り方・褒め方研修
- ~人事制度成否の要~人事評価スキル研修
- 部下育成OJT・動機づけ研修
- 公平評価で組織力を向上する!人事評価者研修
- 採用面接官向け研修
- チーム構築研修【小規模組織向け】
- ウェルビーイング経営研修
- 売れる会社がやっているたった四つの繁盛の法則
- SNS活用研修(幹部向け)
- 後継者育成セミナー(事業承継のための研修)
- 職場復帰支援研修〜不調からの職場復帰のポイント
- 緊急時のためのBCP(事業継続・復旧計画)策定研修
- 危機に瀕したときの広報対応研修(プレスリリース・記者会見)
カスタマーハラスメント対策セミナーレポート:現場で活かせる実践的アプローチ

近年、カスタマーハラスメント(カスハラ)が深刻な社会問題として注目されています。2024年4月からは東京都でカスハラ防止条例が施行され、企業の対応が急務となっています。実際、接客業従事者の約35%がカスハラを経験しているというデータもあり、その対策は企業の重要課題となっています。
しかし、「お客様は神様です」という古い価値観から脱却できていない企業も多く、現場では適切な対応に苦慮しているのが現状です。本記事では、2000件以上の重篤クレーム対応経験を持つ専門家が、実践的なカスハラ対策と効果的な研修方法を解説します。
※カスタマーハラスメント(お客とお店のためのシン・カスハラ対策 カスハラ対策で伸びる店・カスハラで潰れる店)の書籍を発刊いたしましたので併せてご覧ください。
https://customerharassment.jp/
このブログから学べること
・カスハラの定義と最新の法的対応
・実践的な対応手順とエスカレーション基準
・組織としての体制整備方法
・効果的な研修プログラムの設計方法
・具体的なケーススタディと改善策
この記事の筆者:鈴木 タカノリ

経営管理修士(MBA)。KDDIにてマーケティング、アプリ開発、販売店営業、営業企画を経験。クレーム対応のまとめ役として活躍し、「お詫び文」作成のスペシャリストとして社内外から高評価を獲得。KDDI在籍時、研修業務を通じて延べ500人以上のスタッフ育成に携わる。研修実施店舗では、年間20件の重篤クレーム発生を翌期からゼロに削減。
組織でのファシリテーションなどコミュニケーションや会議進行にも深い知見を持つ。
現在、カスタマーハラスメント対策セミナー、顧客対応スキルセミナーを主宰。企業不祥事発生の究明などコンプライアンス関連の論文も多数執筆。実務経験と学術知識を融合させた独自の視点で指導を行う。
カスタマーハラスメントの基礎理解と現状分析
カスハラの定義と社会背景
近年、カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)が大きな社会問題として注目を集めています。カスハラとは、顧客による従業員への不当な要求や暴言、暴力などの行為を指します。しかし、単なるクレームとカスハラの境界線は曖昧で、多くの企業や従業員が対応に苦慮しているのが現状です。
カスハラの定義を明確にするために、以下の2つの要件を満たすものをカスハラと考えます:
- 要求内容の妥当性を欠くもの
- 要求実現のための手段・態様が社会通念上不相当なもの
例えば、「商品に不具合があるから交換してほしい」という要求は妥当ですが、「気に入らないから社長を呼べ」という要求は妥当性を欠きます。また、「丁寧に対応してほしい」という要求は適切ですが、「土下座して謝れ」という要求は社会通念上不相当と言えるでしょう。
カスハラが社会問題化した背景には、いくつかの要因があります。まず、「お客様は神様です」という考え方が日本社会に浸透したことが挙げられます。この考え方は、顧客満足度向上を目指す上では重要ですが、行き過ぎると従業員の人権を軽視することにつながりかねません。
また、インターネットやSNSの普及により、カスハラ行為が可視化され、拡散されやすくなったことも一因です。些細なトラブルが瞬時に大きな炎上に発展するリスクが高まり、企業側も過剰な対応を取らざるを得ない状況に陥っています。
さらに、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う社会的ストレスの増大も、カスハラ増加の一因となっています。外出自粛や経済的不安などによるストレスが、顧客の態度や言動に反映されるケースが増えているのです。
最新データから見る実態
カスハラの実態を把握するために、最新の調査データを見てみましょう。厚生労働省の2023年の調査によると、約35%の従業員がカスハラを経験したと回答しています。特に顧客サポート部門での発生率が高く、コールセンターや店頭での接客業務に従事する従業員の約50%が何らかのカスハラを経験しているという結果が出ています。
業種別の発生状況を見ると、以下のような特徴が浮かび上がります:
- 小売業:約40%
- 飲食業:約38%
- ホテル・旅館業:約35%
- 金融・保険業:約30%
- 医療・福祉:約28%
小売業や飲食業など、直接顧客と接する機会の多い業種でカスハラの発生率が高い傾向にあります。一方で、金融・保険業や医療・福祉など、専門性の高いサービスを提供する業種でも一定数のカスハラが発生していることがわかります。
加害者のプロフィルを分析すると、興味深い傾向が見えてきます。カスハラ加害者の約47%が60代以上の男性であり、次いで50代男性が約20%を占めています。この結果から、社会的地位や経験を背景に、自身の要求を通そうとする傾向が強い層がカスハラの主な加害者となっていることがうかがえます。
また、カスハラの発生状況を見ると、初対面の顧客からの被害が約60%、常連客からの被害が約30%となっています。これは、顧客との関係性の浅さや、逆に馴れ合いが原因となってカスハラが発生しやすいことを示唆しています。
従業員への影響も深刻です。カスハラを経験した従業員の約70%が精神的ストレスを感じ、約30%が離職を考えたことがあると回答しています。これは、企業にとっても人材流出や生産性低下などの大きなリスクとなります。
さらに、企業イメージの低下や風評被害など、カスハラが企業に与える影響も無視できません。SNSでのカスハラ対応の拡散により、一件のトラブルが企業全体の評判を左右する事態も珍しくありません。
このような実態を踏まえ、カスハラ対策は企業にとって喫緊の課題となっています。従業員の安全と健康を守り、健全な顧客関係を構築するためには、組織全体でカスハラに対する理解を深め、適切な対応策を講じることが不可欠です。次のセクションでは、具体的なカスハラ対策の手法について詳しく見ていきましょう。
実践的な対応手法とケーススタディ
効果的な初期対応の確立
カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)に効果的に対応するためには、適切な初期対応が極めて重要です。ここでは、判断基準の明確化、チーム対応の重要性、そして記録・証拠の適切な管理について詳しく解説します。
まず、カスハラかどうかの判断基準を明確にすることが大切です。一般的なクレームとカスハラを区別するポイントは以下の通りです:
- 要求内容の妥当性:通常の商取引の範囲を超えた過度な要求
- 要求の手段・態様:脅迫、暴言、執拗な繰り返しなど、社会通念上不適切な行為
これらの基準を元に、対応者が迅速かつ適切に判断できるよう、具体的な事例を交えたマニュアルを整備することが効果的です。
次に、チーム対応の重要性について考えてみましょう。カスハラ対応は精神的負担が大きいため、一人で抱え込まないことが重要です。以下のようなチーム対応の体制を整えることをおすすめします:
- 初期対応者と管理者の役割分担の明確化
- エスカレーションの基準と手順の策定
- 定期的なケース共有と対応方針の統一
例えば、30分以上の長時間対応や、同じ内容の繰り返しがある場合は速やかに上司や専門チームにエスカレーションするなど、具体的な基準を設けることが有効です。
最後に、記録・証拠の適切な管理について触れておきましょう。カスハラ対応において、正確な記録を取ることは法的対応の観点からも非常に重要です。以下のポイントに注意して記録を取りましょう:
- 日時、対応者、顧客情報の正確な記録
- 会話内容のポイントを簡潔に要約
- 録音データの適切な保管(顧客への告知を忘れずに)
- 関連する証拠(メール、SNSの投稿など)の保存
これらの記録は、社内での情報共有や、万が一の法的対応の際に重要な役割を果たします。ただし、個人情報保護の観点から、記録の取り扱いには十分注意を払う必要があります。
具体的な対応シナリオ
カスハラへの対応力を高めるには、具体的なシナリオを想定し、適切な対応方法を学ぶことが効果的です。ここでは、典型的なカスハラパターンとその対応例、NGケースの分析と改善点、そしてエスカレーションの判断基準について詳しく見ていきましょう。
まず、典型的なカスハラパターンとその対応例を3つ紹介します:
- 執拗な要求の繰り返し
状況:同じ要求を何度も繰り返し、長時間拘束する
対応:- 冷静に対応方針を説明し、これ以上の対応は難しい旨を伝える
- 必要に応じて上司や専門チームにエスカレーション
- 通話の録音を行っていることを明確に伝える
- 脅迫的な言動
状況:「訴訟を起こす」「マスコミに言いつける」などの脅し文句を使う
対応:- 冷静に対応し、脅迫的な言動は受け入れられないことを明確に伝える
- 会社の方針に基づいた対応であることを説明
- 必要に応じて通話を終了し、法務部門に相談
- SNSでの誹謗中傷
状況:対応に不満を持ち、SNSで企業や従業員を誹謗中傷する
対応:- SNS上での直接のやり取りは避ける
- 法務部門と相談の上、削除要請や法的対応を検討
- 必要に応じて公式声明を発表し、事実関係を説明
次に、NGケースの分析と改善点について考えてみましょう。以下は典型的なNGケースとその改善策です:
- 過度な謝罪や譲歩
NG:「申し訳ございません」の連呼、無理な要求への安易な同意
改善策:- 謝罪は適切な場面で1〜2回程度に留める
- 会社の方針や規則を明確に説明し、安易な譲歩は避ける
- 感情的な対応
NG:顧客の態度に苛立ち、声を荒げたり皮肉を言ったりする
改善策:- 深呼吸などでクールダウンし、冷静さを保つ
- 必要に応じて別の担当者と交代する
- 曖昧な回答
NG:「できるかもしれません」「検討します」など、期待を持たせる曖昧な回答
改善策:- 明確に対応可能な範囲を伝える
- 検討が必要な場合は、回答期限を明確に設定する
最後に、エスカレーションの判断基準について説明します。以下のような状況では、速やかに上司や専門チームにエスカレーションすることが重要です:
- 30分以上の長時間対応となる場合
- 暴言や脅迫的な言動がある場合
- 同じ内容の要求が3回以上繰り返される場合
- 法的な判断が必要な要求がある場合
- 対応者が精神的に限界を感じた場合
エスカレーションの際は、これまでの対応内容を簡潔にまとめ、引き継ぎを行うことが大切です。また、エスカレーション後も必要に応じてフォローアップを行い、チーム全体で対応力を高めていくことが重要です。
以上の対応手法とケーススタディを参考に、実際の現場での対応力を磨いていきましょう。カスハラ対策は一朝一夕には身につきませんが、継続的な学習と実践を通じて、より効果的な対応が可能になります。
第3部:組織としての対策と法的対応
企業に求められる体制整備
カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)対策は、個人の対応力向上だけでなく、組織全体での取り組みが不可欠です。企業として効果的な体制を整備するためには、以下の3つの要素が重要となります。
- 研修プログラムの設計
カスハラ対策の要となるのが、従業員向けの研修プログラムです。効果的な研修プログラムには、以下の要素を含めることが重要です。
- 基礎知識の習得:カスハラの定義、発生メカニズム、法的背景など
- 実践的なスキルトレーニング:ロールプレイングを通じた対応練習
- 心理的ケア:従業員のメンタルヘルスサポート方法
ジャイロ総合コンサルティングでは、これらの要素を網羅した体系的な研修プログラムを提供しています。経験豊富な講師陣による実践的なアプローチは、多くの企業から高い評価を得ています。
- マニュアル作成のポイント
カスハラ対応マニュアルは、従業員が実際の現場で参照できる重要なツールです。効果的なマニュアルには以下の特徴が必要です。
- 明確な判断基準:カスハラと通常のクレームの区別方法
- 段階的な対応フロー:初期対応からエスカレーションまでの手順
- 具体的な対応例:よくあるケースとその対処法
- 法的知識:関連法規や企業の権利・義務の解説
マニュアルは定期的に見直し、最新の事例や法改正を反映させることが重要です。
- 相談窓口の設置と運用
従業員が安心して働ける環境づくりには、カスハラに関する相談窓口の設置が欠かせません。効果的な相談窓口の運用には以下の点に注意が必要です。
- アクセスの容易さ:匿名での相談や24時間対応など
- 専門スタッフの配置:心理カウンセラーや法務専門家の起用
- フォローアップ体制:相談後のケアや解決までの支援
- 情報の適切な管理:プライバシー保護と情報共有のバランス
最新の法制度対応
カスハラ対策における法的対応は、年々重要性を増しています。特に注目すべきは、2024年4月1日から施行される東京都のカスハラ防止条例です。
- 東京都条例の要点解説
東京都カスタマーハラスメント防止条例の主なポイントは以下の通りです。
- 事業者の責務:カスハラ防止のための措置を講じる義務
- 従業員の保護:安全確保と適切な対応の支援
- 顧客への啓発:カスハラ防止に関する理解促進
この条例は、東京都内の事業者に適用されますが、他の自治体にも影響を与える可能性が高く、全国的な動向として注目されています。
- 全国的な法制化の動向
東京都の条例を皮切りに、全国的なカスハラ防止法制化の動きが加速しています。
- 国レベルでの法整備の検討
- 他の自治体での条例制定の動き
- 業界団体による自主規制の強化
これらの動向を踏まえ、企業は先手を打って対策を講じることが求められます。
- 企業に求められる法的対応
法制度の変化に対応するため、企業は以下の取り組みを行う必要があります。
- 社内規定の整備:カスハラ防止方針の明文化
- 従業員教育の徹底:法的知識の習得と対応スキルの向上
- 記録・報告体制の確立:カスハラ事案の適切な管理と分析
- 顧客への周知:カスハラ防止に関する理解促進活動
ジャイロ総合コンサルティングでは、これらの法的対応を含めた包括的なカスハラ対策支援を提供しています。経験豊富なコンサルタントが、最新の法制度に基づいた実践的なアドバイスを提供し、企業の円滑な対応をサポートします。
カスハラ対策は、個人の努力だけでなく、組織全体での取り組みが不可欠です。適切な体制整備と最新の法制度への対応を通じて、従業員と顧客の双方にとって安全で快適な環境を作り出すことが、これからの企業に求められる重要な課題となっています。
カスハラ対策の書籍が出版されました!
【カスハラ対策の特設サイト】

近年、カスタマーハラスメント(カスハラ)は深刻な社会問題として注目を集めています。しかし、従来の対立的な対応では、企業と顧客の関係性を損なうだけでなく、結果として事業機会の損失にもつながりかねません。近年のカスハラ問題に対し本書は、ジャイロ総合コンサルティングが長年多くの企業・団体での研修/コンサルタントを通じて培ってきた知見をもとに、カスタマーハラスメントの考え方ならびに対処方法について、「対立から共創へ」という今までにない新しい切り口でアプローチを試みたものであります。
書籍「シン・カスハラ対策」特別無料セミナー
本書籍の出版を記念し、著者自らが語る特別無料セミナーを開催します。カスハラ問題を単なる接客トラブルとしてではなく、より広い社会問題として捉え、経営者から現場スタッフまで幅広い方々に新たな気づきをもたらす内容となっています。
セミナー&研修.comでのカスタマーハラスメント研修

お知らせ
- YouTube動画「現場のクレーム対応マニュアルを作る!現場スタッフが作る”生きた対策集”~グレーゾーン客を味方に変える極意~」を公開しました
- YouTube動画「カスハラで辞める前に知ってほしい!従業員の命を守る会社の義務~離職希望2倍の衝撃データから考える対策~」を公開しました
- YouTube動画「カスハラで辞める前に知ってほしい!従業員の命を守る会社の義務~離職希望2倍の衝撃データから考える対策~」を公開しました
- YouTube動画「カスハラで辞める前に!仲間と作る最強の接客現場~孤立させないバンド型組織の作り方~」を公開しました
- YouTube動画「新発想!感動を生む”3分対応”でクレーム客を生涯顧客に変える」を公開しました
- YouTube動画「悪質クレームで疲れる前に!カスハラ対策の新常識 ~たった1人の困ったお客様に振り回されないために~」を公開しました
研修・セミナー事例
- 動画プロモーションセミナーレポート:スマホ1台で始める!動画プロモーション入門講座
- ハラスメント研修を実施しました – なぜハラスメント対策は企業の生産性向上に不可欠なのか?
- AI×営業研修の研修事例
- 非言語コミュニケーション研修 ノンバーバルなコミュニケーションを高める
- 法人営業力強化研修レポート
- 人材採用&育成セミナーが開催されます【参加無料】