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法人営業力強化研修レポート

先日、大手IT企業にて「営業力強化研修」を実施しました。
今回はその内容と成果について、講師の立場からレポートさせていただきます。

研修の背景と目的

近年、企業の営業現場では従来の手法だけでは通用しなくなってきています。特に複雑な商談や大型案件になればなるほど、成績の差が広がる傾向にあります。そこで注目されているのが、顧客に新しい視点や気づきを与え、自社の商品・サービスの価値を認識させる営業スタイルです。

今回の研修では、この新しい営業アプローチの考え方と実践方法を学び、受講者の皆さんの営業力強化を図ることを目的としました。

研修の流れ

研修は以下のような流れで進めました。

  1. 新しい営業アプローチの基礎
  2. 事例解説とグループワーク 
  3. インサイト提案の方法
  4. 指導・適応・支配スキルの解説
  5. ロールプレイング演習

それぞれのパートについて、具体的な内容をご紹介します。

1. 新しい営業アプローチの基礎

まず、新しい営業アプローチの基本的な考え方について解説いたしました。

  • 従来の営業手法の限界が来ている
  • 5つの営業パーソンのタイプとその特徴
  • 新しいアプローチが営業成果を高める理由と従来型の営業が厳しい理由について
  • 日頃から顧客の悩みや課題、ゴールを把握しておくことの重要性

受講生の皆さんからは「これまでの営業スタイルとの違いが明確になった」「なぜ新しいアプローチが求められているのか理解できた」といった感想をいただきました。

2. 事例解説とグループワーク

次に、新しい営業アプローチの具体的な事例を4つ紹介し、グループでディスカッションを行いました。

  • オフィス家具メーカーの事例
  • グローバル製薬会社の事例  
  • 福利厚生管理サービスの事例
  • ビジネスサービス企業の事例

それぞれの事例について、どのようなインサイトを提供したのか、どのように顧客の視点を変えたのかを討議し講師から解説しました。グループワークでは「自社の商品・サービスでこのアプローチを使うとしたらどうなるか」をテーマに話し合うことで自社の営業活動への落し込みまで進めました。

受講生からは「具体的な事例を通じて理解が深まった」「自社でも使えそうなアイデアが出てきた」といった声が上がり明日から実践できる具体的な実践型の研修となりました。

3. インサイト提案の方法

新しい営業アプローチの核心となる「インサイト提案」の方法について詳しく解説しました。ここでは「THINK BIGGER 「最高の発想」を生む方法:コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (NewsPicksパブリッシング)」という書籍で紹介されているフレームワークをベースにしたインサイト構築の手法を紹介し、実際に使ってみるワークを行いました。

特にインサイトについては、もっとも営業パーソンにとっては最も悩ましい問題であり、長年営業を行っている人ほどインサイトを見つけ出すことは困難です。今回の研修では特にインサイト構築に時間を割き、インサイトを生み出すためのステップを学んでいただきました。

なお、THINKBIGGERの流れは以下の通りです。

  1. 課題の定義と階層分析(納得できる課題感を見つけだす)
  2. 課題の分解(メイン課題とサブ課題に分ける)
  3. 望みの明確化(あなた、顧客、第三者の3視点から望みを明確化する)
  4. 箱の中と箱の外を探す(領域外の事例を探してヒントを見つける)
  5. 戦術の組み合わせを試す(事例を組み合わせてインサイトを構築する)
  6. 第三者の目でチェック

このフレームワークを使うことで、顧客に驚きを与えるような新しい視点やアイデアを生み出すことができます。受講生の皆さんには自社の商品・サービスを題材に実際に考えることでインサイト提案の流れを体感いただきました。

「普段とは違う発想ができた」「顧客の立場に立って考えることの大切さを実感した」といった感想が聞かれ、インサイト提案の可能性を感じてもらえたようです。

4. 指導・適応・支配スキルの解説

新しい営業アプローチを実践する上で重要な3つのスキル、「指導」「適応」「支配」について解説しました。

  • 指導スキル:顧客に新しい視点を教え、気づきを与える
  • 適応スキル:様々な立場の人に合わせてメッセージを変える
  • 支配スキル:商談の主導権を握り、自信を持って提案を進める

それぞれのスキルについて、具体的な実践方法やポイントを説明しました。特に「適応スキル」については、顧客企業の様々な立場の人(経営者、管理職、現場担当者など)にどのようにアプローチするかを詳しく解説しました。

受講生からは「3つのスキルの使い分けが重要だと分かった」「適応スキルの重要性に気づいた」といった感想が聞かれました。

5. ロールプレイング演習

最後に、学んだ内容を実践するためのロールプレイング演習を行いました。ここでは実際の企業の事例を題材に、新しいアプローチを使った営業シナリオを作成し、実演してもらいました。

グループでシナリオを考え、代表者が実演するという形式で進めました。他のグループのメンバーは顧客役や観察者となり、フィードバックを行いました。

この演習を通じて、新しい営業アプローチの難しさと可能性を体感してもらうことができました。「理論を実践に落とし込むのは簡単ではないが、やりがいを感じた」「他のメンバーの演技を見て新しい気づきがあった」といった感想が聞かれました。

研修の成果と今後の課題

4時間半という限られた時間でしたが、新しい営業アプローチの基本から実践までを一通り体験してもらうことができました。受講生の皆さんからは以下のような前向きな感想をいただきました。

  • 「従来の営業スタイルとの違いが明確になり、今後の方向性が見えた」
  • 「インサイト提案の重要性と難しさを実感した」
  • 「顧客の立場に立って考えることの大切さを再認識できた」
  • 「明日からの営業活動に活かせるヒントが得られた」

一方で、以下のような課題も明らかになりました。

  • インサイトを見つけるスキルをさらに磨く必要がある
  • 社内で新しいアプローチの考え方を浸透させるには時間がかかる
  • 既存の顧客との関係性をどう変えていくかが難しい

これらの課題に対しては、継続的なトレーニングや実践、そして組織全体での取り組みが必要になってくると考えられます。

今後に向けて

この新しい営業アプローチは、単なる手法の一つではありません。顧客に真の価値を提供し、Win-Winの関係を構築するための考え方です。この考え方を組織に根付かせることで、長期的な競争力の向上につながるはずです。

今回の研修が、受講生の皆さんにとって新しい営業アプローチへの第一歩となることを願っています。そして、この取り組みが組織全体に広がり、新たな営業文化の創造につながることを期待しています。

セミナー&研修ネットの営業研修はこちらからご覧いただけます。

https://semi-ken.net/trainings_bumon/sales01

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