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AI×営業研修の研修事例

御用聞き営業やソリューション営業が通用しない時代になった

多くの企業で営業研修を実施させていただいておりますが、今回は中小企業大学校広島校主催の営業戦術研修の開催レポートを書かせていただきます。

こちらの研修は毎年ご依頼いただいている研修でして、かれこれ10年近く行っているのではないでしょうか。広島県内、県外から多くの営業担当者や営業管理職の方々にご参加いただいています。

実はテーマは同じなのですが、実施内容は毎年変化しています。営業に必要なスキルも毎年変化しているからです。今年はAIと営業を組み合わせました。昨年もAIプレゼンテーションと営業。コロナ禍はオンライン営業に特化して実施するなど、これから1年先くらいには必要になるであろう少し先の内容を組み込ませて頂いております。

今回は御用聞き営業やソリューション営業が完全に終焉し、もう一段高いレベルの営業力を身につける必要がでてきました。それこそAI登場により生半可な営業は淘汰される時代に入るかもしれません。逆に引く手あまたの営業も。

AIを味方につけるかどうかで、営業職の2極化が今後進んでいくと思います。そのあたりを今回の研修では徹底的にお伝えさせていただきました。

ChatGPTを組み合わせた営業分析で改善点を明確にする

営業環境は大きく変化しています。AIの登場により営業と顧客との情報格差はほぼなくなり、単純な情報力の差での勝負は難しくなっています。

顧客からの相談に対する提案も、「それ知っているよ」「AIに聞いたから分かる」というように生半可な提案ではAIに勝てない時代になっているのではないでしょうか。

ですから、これから営業力を強化していくためにも以下の点を強化しなければならないです。

AIを味方につけた営業手法の確立がこれから必要不可欠になっていきます。AIを使っている営業にとって、顧客に関する情報収集(業界情報・企業情報・トレンド)や課題解決に必要なヒントを探ることは容易となりました。65点のたたき台であればAIで充分です。そして、営業の発想力や知見を組み合わせて90点の提案に引き上げる。AIが登場するまでは、65点のたたき台を作るのに1週間かけていたものが、AI登場によりたたき台は1時間もあればできるので、残りの6日間を90点に引き上げる工夫に割けるわけです。AIを使うことで、差がつく最後の仕上げに割けるのです。

この仕上げですがここはAIにはまだ不十分です。
それはなにか?体験=1次情報を集めること。そしてそれを導き出すn-1分析です。

足で稼げる生の情報に時間を割くことです。

たった一人の顧客の声を直接聞く(それも長時間)。実際に体験した内容をヒントにする。など、とても時間がかかる1次情報の収集に時間を割くことでAIが作った提案に命を吹き込むわけです。

顧客のところに通って話を聞くことで、相手が気がついていない(AIや検索では出てこない)課題と解決策を探るのです。

このようにAIで解決できるものはAIに任せ、営業担当でしかできないことに時間を割くことです。

営業としての見え方や振る舞い方が全体の空気感を作る

第一印象が重要、と一般的に言われます。
では実際には第一印象と認識するのはいつでしょうか。

現代においてSNS活用はもはや当たり前になっています。そう考えるとSNSでの振る舞いを見た取引先がいたとしたらそこが第一印象になります。その場合、文章力や発信内容が重要な要素となります。

またリアルの場では、実は15メートル先から人は認識されると言われています。15m先にいるあなたが見られている可能性があるということです。ちなみに15m先の相手がこちらに近づいてくるときに注意すべき点は、姿勢と歩幅、そして服装です。

猫背で歩幅が小さいと、自信なさげな人だなあ。という第一印象が構築されてしまいます。服装もジャケットなど大きな面積を占める部分が印象に残りますので服装も注意すべき点ではないでしょうか。

余談ですが、第一印象は4年間持続すると言われています。あなたの第一印象は4年間つづくと考えた場合、この重要性が分かるのではないでしょうか。

そして営業にとってとても大切な要素が「雰囲気」です。

この営業はいろいろな知見を持っていそうだ
この営業は私達の話を聞いてくれそうだ
この営業は優しそうだ
この営業はプロフェッショナル

のように第一印象を踏まえて雰囲気を感じ取ります。

営業にとって、雰囲気をどう作るか?は重要であり、この雰囲気次第であなたの話を聞く姿勢が変わるわけです。当然、ただの営業マンか?という雰囲気にならないように気をつけるべきですね。

営業の流れを知れば商談は怖くない

その場しのぎで営業をしていると、顧客に振り回されてしまいます。
営業の仕事はペーシング(相手に寄り添う)とリーディング(相手を導く)と言われています。

釣りと同じで、魚の近くに釣り糸を垂らし、魚が食いついたらグッと引く。この繰り返しにより、魚を釣り上げるわけです。

チャレンジャーセールスモデルという考え方にも書かれていますが、優秀な営業は相手を安全地帯から引きずり出して新しい可能性にチャレンジさせる。一方、普通の営業は相手に寄り添い相手の安全地帯に一緒に入る。とされています。

大切なことは理想的な結果を目指し、営業は果敢にリーディングをしていく必要があるという点です。

そこでこのタックマンモデルという考えが生きてきます。

タックマンモデルは、合意形成までの流れを表しているのですが、これ営業の流れとほぼ同じです。こまかな部分については割愛しますが、とくに混乱期が非常に重要で、新しい提案をするとこの混乱期があります。でも多くの営業担当者は、混乱期を恐れて割けるように確実な提案にしてしまうわけです。

この混乱期を顧客と営業が正面切って議論することにより双方の信頼につながっていきます。
今回の営業研修では、この混乱期を恐れずに議論できるようなワークを実施させていただきました。

AIを使ったプレゼン資料の作成

営業の資料作成時間が多すぎるという指摘があります。事務所にこもっておしゃれな営業提案書を作成する。資料作成や事務作業に多くの時間を取られるのが営業効率を大きく下げています。

GammaというAIプレゼン資料作成ツールがあるのですが、これはAIを使い様々なプレゼン資料を簡単に作成できるツールです。Wordの資料をプレゼンに変換する。テキストメモをプレゼンに変えるなど、AIが自動的にスライド化してくれることで有名なAIツールです。

実はここ数ヶ月、使っていなかったのですが、久々に触ってみたところ、非常に使いやすくなっていました。これは実営業でも使えるレベルになっているのでぜひ触ってみてください。

SPIN法による質問手法

大型商談を成約に導く「SPIN」営業術という質問手法がありますが、このSPIN法は営業強化において必要不可欠なスキルとなります。

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今回は営業としての課題と解決策というテーマに沿って、グループワークをしていただきました。

SPINを実務で活かすためにはいくつかのポイントがありますが、例えば、示唆。これはストーリーとして話す必要があるためプロセスを考える必要があります。最悪を示唆するわけですが、そこに至るまでのストーリーをどう組み立てるか?によって説得力が大きく変わるわけです。またこの示唆は、ターゲットに刺さる切り口でないと意味がないのですが、一般論として提示するケースも多いのが現状です。

解決質問については、自分自身で行えるレベルの解決案を考えることが重要です。解決案はあるけれど、それが自分自身では行えないようなレベル感だと行動につなげることはできません。

このようにSPIN話法を実践で活かすためにはいくつものポイントがあり、今回の研修でもこのあたりをレクチャーしました。

営業ロープレでスキルを定着させる

ということで集大成として、営業ロープレを実施し学んでいただいた営業手法の定着を図りました。

部下育成にAIを活用する

営業マネージャーとして活躍されている方も今回の研修ではご参加いただいておりました。しかし、プレイングマネージャーとして活動されている状況から、部下育成の教育も受けておらず、自分自身も営業として動く必要がある。

そういうときにAI活用は生きてきます。

部下のロープレの評価・アドバイス

AI文字起こしツールを活用することで、営業の商談を記録することが容易になりました。この文字起こしツールで文字起こしした営業の流れを、ChatGPTなどを使い分析させることです。例えば、人材アセスメント手法の評価基準や、ビッグファイブ理論などの性格特性の分析をあらかじめ読み込ませることで評点を付けるだけではなく、改善点などのヒントを与えてくれます。客観的な分析をおこなうことで説得力を高めることもできるわけです。

部下を見る視点を持たない経験の浅いマネージャーは、まずは切り口を知ることが大事です。そういう意味でもAIにイニシャルの分析をさせてみてください。

部下の教育マニュアルをAIで動画化

最近登場したNoLangというツールを活用することで自社の営業マニュアルを簡単に動画化できます。
PDFを読み込ませることで視覚的にわかりやすく解説動画が作成できるのでこのようなツールを使うことで部下育成を効率的に行うことも可能な時代なんですね。

https://no-lang.com/video/84e37956-6286-4fcc-b73b-f4cd6b339007?type=vod

上記はサンプルで作った動画ですので参考にしてみてください。

ChatGPTを相手に営業ロープレを実施

ChatGPTに営業ロープレの顧客役をやらせることも可能です。音声での対話がスムーズにできるようになってきたChatGPT。事前に想定顧客を設定することで顧客役を担うことができます。

この方法でもっとも良いのが営業ロープレの内容が文字として記録されるという点です。これ、実際に文字起こしされることで営業の内容を正確に分析することができるわけです。感覚的な指摘から、具体的な文言から指摘できるようになるので非常におすすめです。

営業ごとに営業ロープレの文字情報を継続的に記録し、スキルアップ度合いを判定することなども可能です。

営業に必要なスキルとは?

営業にとって必要なスキルは多岐にわたりますが、実際には6つほどに絞られます。下記の営業スキルをトレーニングによって伸ばしていくことで営業力を高めることにつながっていきます。

予測スキル

営業に必要となるスキルの1つ目は、相手の考えや要望を予測し先読みするスキルです。

観察・記憶スキル

次に必要なのが、正しく相手の状況を観察し、商談などを記録・記憶するスキルです。

非言語コミュニケーションスキル

プロフェッショナルとしての自信や雰囲気を醸し出すためにも非言語(ノンバーバル)スキルが必要不可欠です。

言語化スキル

わかりやすく、説得力の高い言葉を生み出すスキルです。

学びスキル

相手から学ぶ姿勢や真摯に向き合うためのスキルです。

ストレス耐性スキル

日々のストレスへ対処するためのスキルです。

今回の研修では、上記のスキルの高め方についてもレクチャーさせていただきました。

3日間の営業研修を受講いただき、ありがとうございました!

営業研修のカリキュラムはこちら

営業研修のカリキュラムも参考にしていただければ幸いです。