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ハラスメント研修のグループワーク事例10選|ディスカッションテーマと進め方【2026年版】

Illustration of People in a Group Workshop with Bold Japanese Text About Harassment Training and 10 Examples/choices. - セミナー&研修ネット

ハラスメント研修のグループワーク事例10選|ディスカッションテーマと進め方【2026年版】


「ハラスメント研修を企画しているが、講義だけでは参加者の表情が硬く、終了後の行動も変わらない」――研修担当者の方から、こうしたご相談を数多くいただきます。

2022年4月の中小企業へのパワーハラスメント防止措置の義務化以降、研修の「実施そのもの」はほぼすべての企業で当たり前になりました。しかし、ここからのフェーズで問われるのは**「実施したか」ではなく「変わったか」**です。

人事担当者の評価基準も、「研修を年1回やった」というアウトプット指標から、「相談件数が増えた」「離職率が下がった」というアウトカム指標へと急速にシフトしつつあります。

その変化を生む決定的な要素が、グループワークです。

本記事では、現場で実際に手応えが出ているハラスメント研修のディスカッションテーマ10選と、参加者を受け身にさせない進め方の設計ポイント、さらに研修後の効果測定の視点までを一気通貫でご紹介します。社内研修の企画書づくりにもそのまま転用できる構成でまとめました。


なぜハラスメント研修にグループワークが効くのか

講義型研修の限界

ハラスメント研修の最大の難所は、「自分には関係ない」と思っている参加者にいかに当事者意識を持ってもらうかにあります。

講義だけの研修では、参加者は腕を組んで聞き流しがちです。「うちの部署は大丈夫」「自分はそんなことしない」――こうした内心の壁を、知識インプットだけで突き崩すのはほぼ不可能です。

人は新しい情報を受け取った時、まず**「これは自分に関係あるか」**で無意識にフィルタリングをかけます。関係ないと判断された情報は、その場で処分されます。研修後アンケートで「勉強になりました」と書かれても、実際の行動が変わらない理由はここにあります。

グループワークが空気を変える理由

ところがグループワークを挟むと、空気が変わります。他者の解釈に触れ、自分の常識が揺さぶられる瞬間が生まれるからです。「自分はセーフだと思っていた行動を、同僚はアウトと感じていた」という気づきは、講師の言葉よりはるかに強く参加者に刺さります。

さらに見落とされがちな効果がもう一つあります。それは「ハラスメントについて話せる場の練習」になるという点です。日本の職場ではハラスメントという言葉自体がタブー視されがちで、声を上げにくい文化があります。研修内で一度でも口に出した経験は、職場での相談ハードルを確実に下げます。相談文化を育てる土壌づくりとしても、グループワークは機能するのです。


ディスカッションテーマ10選

テーマ1:「これはハラスメントか?」グレーゾーン判定ケーススタディ

概要:現場で実際に起こりうる微妙な場面を題材に、ハラスメントに該当するかをグループで判定します。

事例:「終業後に上司が部下のスマートフォンへ業務報告の電話を入れる行為は、パワーハラスメントに当たるか」

期待できる効果:白黒つかない「グレーゾーン」を共通言語として組織内に持ち込めるようになります。判断の物差しが揃うことで、現場での自浄作用が働きやすくなります。

進め方(30分)

  1. 各自でケースを読み、ハラスメントか否かを判断(5分)
  2. グループで判断と根拠を共有(15分)
  3. グループの結論を発表し、全体で討議(10分)

ファシリテーションのコツ:判定結果が割れた時こそ最高の学びの機会です。「正解」を急いで示さず、なぜ判断が分かれたのかを掘り下げてください。自社で実際に起きた(あるいは起きそうな)事例を使うと、より生々しい議論になります。


テーマ2:立場を入れ替えるロールプレイ

概要:被害者・加害者・傍観者の3つの立場を演じ分け、それぞれの心理を体験します。

期待できる効果:加害者役を演じることで「悪意なく加害してしまう構造」を実感できます。「自分の指導は正しい」と信じて疑わない管理職ほど、この体験で揺さぶられます。傍観者の動き方を考える契機にもなります。

進め方(40分)

  1. 3〜4人でグループを作り、役割を割り振る(5分)
  2. シナリオに沿ってロールプレイを実施(15分)
  3. 各立場で感じたことをシェア(10分)
  4. 全体での振り返り(10分)

ファシリテーションのコツ:加害者役を強制的に演じさせることに抵抗感を持つ参加者もいます。「演技として割り切る」「これは○○さん個人の言動ではなく、シナリオです」と冒頭で明確に伝えてください。心理的負荷の高いワークなので、ワーク後のクールダウン時間も必須です。


テーマ3:傍観者から「行動する人」へ──アサーション練習

概要:ハラスメントを目撃した場面で、どう声をかけるかを実際に口に出して練習します。

期待できる効果:「言葉が出てこなかった」という後悔をなくします。介入のフレーズを体に染み込ませることで、見て見ぬふりが減ります。多くのハラスメントは、周囲の沈黙によって温存されていることを忘れてはいけません。www

進め方(30分)

  1. 介入時のセリフをグループで考案(10分)
  2. ペアで実際に声がけを練習(10分)
  3. 気づきを全体で共有(10分)

ファシリテーションのコツ:「正論を言う」のではなく「場の空気を変える」声がけを意識させてください。例えば「今日は早く帰りましょうか」「○○さん、ちょっと相談したいことが」のような、間接的な介入も有効です。直接の制止は加害者の感情を逆撫ですることが多く、現場では現実的でない場合もあります。


テーマ4:自分たちで作る「チームのルール」

概要:参加者が自職場で守りたい行動指針を、ボトムアップで策定します。

期待できる効果:トップダウンで降ってきたルールは形骸化しますが、自分たちで決めたルールは実践率が大きく変わります。「自分で決めたことは守る」という心理的コミットメントが働くからです。

進め方(45分)

  1. 「変えたいこと・続けたいこと」を付箋に書き出す(10分)
  2. グループで付箋を分類整理(15分)
  3. 「チームのルール3か条」にまとめる(10分)
  4. 発表と全体共有(10分)

ファシリテーションのコツ:抽象的なスローガンではなく、「会議中にこういう言い方をしない」「指摘は人前ではなく1対1で行う」など具体的な行動レベルまで落とし込ませることが鍵です。完成したルールは紙に印刷して各部署に掲示すると、研修後の行動継続率が高まります。


テーマ5:ハラスメントが起きやすい「構造」を可視化する

概要:個人の資質ではなく、職場の仕組みや慣習に潜むリスク要因を洗い出します。

期待できる効果:「あの人が問題」という個人攻撃に陥らず、組織として手を打つべき論点が浮かび上がります。長時間労働、密室業務、過度な成果プレッシャー、属人化したマネジメント――こうした構造的要因への目線が育ちます。

進め方(30分)

  1. ヒヤリハット体験を匿名で書き出す(10分)
  2. グループで共通点と傾向を分析(15分)
  3. 「起きやすい状況」を全体に発表(5分)

ファシリテーションのコツ:匿名性を徹底してください。記名式にすると本音が出ません。付箋は無記名・筆跡が判別しにくいよう同じ筆記具で書かせる配慮も有効です。書かれた内容は研修後に人事部で集約し、組織改善のヒントとして活用すると、研修が「ガス抜き」で終わりません。


テーマ6:上司と部下の「OK/NGライン」をすり合わせる

概要:指導とハラスメントの境界線について、役職の異なる立場で意見を交換します。

期待できる効果:「そんなつもりじゃなかった」「察してほしかった」という世代・立場間のズレを表面化させ、共通理解を作ります。Z世代と昭和世代では、同じ言葉の受け取り方が180度違うことも珍しくありません。

進め方(35分)

  1. 各自でOK/NGと感じる言動を書き出す(10分)
  2. 上司役と部下役に分かれて意見を比較(15分)
  3. ギャップの大きかった項目を全体で共有(10分)

ファシリテーションのコツ:管理職が「これくらい昔は普通だった」と語り始めたら要注意です。過去の経験談を否定せず、「今の基準ではどうか」に話を戻す技術が求められます。ファシリテーターが世代間の対立を煽らないよう、「正解探し」ではなく「相互理解」を目的に据えてください。


テーマ7:怒りに飲み込まれないためのアンガーマネジメント

概要:自分の怒りの反応パターンを把握し、衝動的な言動を抑える技術を身につけます。

期待できる効果:指導の場で感情的になる管理職のハラスメントリスクを大幅に下げられます。「カッとなって言ってしまった」の大半は、技術で予防可能です。

進め方(40分)

  1. 最近イライラした場面を振り返り、自分のパターンを確認(10分)
  2. 「6秒ルール」「アンガーログ」など対処法を学ぶ(15分)
  3. ペアで練習(10分)
  4. 全体での振り返り(5分)

ファシリテーションのコツ:「怒ること自体は悪ではない」というメッセージを最初に伝えてください。怒りを否定すると参加者が防衛的になります。怒りは「期待と現実のギャップ」から生まれる自然な感情であり、問題はその表現方法だけだという整理が効果的です。


テーマ8:SNS・チャットツールに潜むハラスメント

概要:社内チャット、グループLINE、SNSなどデジタル空間でのハラスメントを扱います。

期待できる効果:既読プレッシャー、深夜のメッセージ、絵文字の使い方、業務時間外のリアクション要求など、見落とされがちなデジタル特有の論点を見直せます。リモートワーク常態化の今、避けて通れないテーマです。

進め方(30分)

  1. SNSハラスメント事例を読む(5分)
  2. グループで判断と根拠を議論(15分)
  3. 自社向けの対策ルールを話し合う(10分)

ファシリテーションのコツ:「業務時間外のメッセージは原則禁止」のような原理原則だけでなく、緊急時の例外運用まで議論させてください。「○時以降は予約送信機能を使う」「緊急度を件名に明記する」など、実運用に耐えるルールが生まれます。


テーマ9:カスタマーハラスメントから従業員を守る

概要:顧客からの理不尽な要求や暴言に対する、組織としての対応を練習します。

期待できる効果:顧客対応の最前線にいる従業員が、一人で抱え込まずに済む体制づくりにつながります。「お客様は神様」という呪縛から組織を解放する第一歩です。

進め方(40分)

  1. カスハラ事例を読み、対応の問題点を洗い出す(10分)
  2. 適切な対応をグループで検討(15分)
  3. ロールプレイで練習(10分)
  4. 全体でフィードバック(5分)

ファシリテーションのコツ:個人の対応スキル論で終わらせず、「組織としてどこで線を引き、どう従業員を守るか」という会社の方針議論に繋げることが重要です。「上席対応に切り替える基準」「取引停止を判断する基準」など、現場任せにしない仕組みづくりを議論させてください。


テーマ10:「相談したくなる職場」のデザイン

概要:相談窓口があっても使われない原因を掘り下げ、利用しやすい仕組みを設計します。

期待できる効果:相談窓口の形骸化を防ぎます。「言えない職場」から「言える職場」への文化転換のきっかけになります。窓口があるのに使われない状態は、ない状態と同じです。

進め方(45分)

  1. 相談しにくいと感じる理由を個人でリストアップ(10分)
  2. グループで共有・分類(15分)
  3. 相談しやすくする具体的アクションを決定(10分)
  4. 発表とコミットメント(10分)

ファシリテーションのコツ:「相談窓口の周知不足」のような表層的な原因で終わらせず、「相談した人が不利益を被るのではないか」「結局握りつぶされるのではないか」という根本的な不安まで掘り下げさせてください。社外相談窓口の設置や、匿名通報システムの導入など、構造的な解決策まで議論を発展させると価値が高まります。


グループワークを成功に導く3つの設計ポイント

ポイント1:心理的安全性の宣言から始める

ワーク開始前に、ファシリテーターから明確に宣言してください。「ここでの発言は人事評価に影響しません」「正解・不正解はありません」「ここで聞いたことは外に持ち出しません」――この3つを冒頭で口に出すかどうかで、参加者の発言量は劇的に変わります。

形式的な宣言で終わらせず、人事担当者や役員が同席する場合は別室で受講させるなどの実務的な配慮もセットで行ってください。同じ部署のメンバーでグループを組むと本音が出にくいため、部署横断でグループを編成するのも有効な工夫です。

ポイント2:ファシリテーターは事前準備が9割

グループワークの質は、進行役の力量にほぼ比例します。研修当日に「では、よろしく」と任せるのは事故のもとです。事前に役割・進行台本・想定される脱線パターンへの対処を共有しておきましょう。

特に注意すべきは、議論を主導してしまう「声の大きい参加者」への対処です。事前にファシリテーターと「全員に話を振る」「発言時間を区切る」「役職の低い人から発言を促す」などのルールを握っておくと、議論が一部の人に偏りません。

社内ファシリテーターでの実施が難しい場合は、外部の専門講師に依頼する判断も視野に入れてください。コストはかかりますが、特に経営層を含む研修では中立性の確保が極めて重要です。

ポイント3:研修後の「明日の一歩」を必ず言語化させる

最も多い失敗が「いい議論ができました」で終わってしまうことです。「明日から自分は○○をする」という具体的な行動目標を1人1つ書き出し、隣の人と宣言し合う時間を必ず確保してください。

さらに余裕があれば、1か月後に行動目標の振り返りメールを送る仕組みを組み込むと効果が継続します。研修の成否は、この「研修後設計」で決まります。研修当日のアンケート満足度は研修効果と相関しないことが多くの研究で示されており、中長期の行動変容こそが本来追うべき指標です。


失敗しないために知っておくべき、よくある落とし穴

落とし穴1:経営層の不在

経営層が研修に顔を出さない、メッセージも発しない――この状態で実施される研修は、ほぼ確実に「やらされ感」が残ります。冒頭5分でいいので役員からの本気のメッセージを入れてください。動画でも構いません。

落とし穴2:「研修1回で解決する」という幻想

ハラスメント問題は1回の研修で解決しません。年1回の単発研修で終わらせず、半年後のフォローアップ管理職向け個別研修との組み合わせを前提に設計するのが現実的です。年間計画で予算を確保してください。

落とし穴3:効果測定指標の欠如

研修満足度アンケートだけでは不十分です。相談窓口への相談件数の推移、エンゲージメントサーベイのスコア、離職率の変化、退職時面談での言及内容などを中長期で追うことで、研修投資の費用対効果が見えてきます。

逆説的ですが、相談件数が「増える」ことは研修成功のサインです。今まで埋もれていた声が表に出てきた証拠だからです。経営層には事前にこの逆説を共有しておかないと、相談件数の増加が「研修失敗」と誤解されかねません。


セミナー&研修ネットのハラスメント防止研修

セミナー&研修ネットでは、本記事でご紹介したようなグループワーク型のハラスメント防止研修を、企業ごとの状況に合わせてカスタマイズしてご提供しています。

参加者の役職構成、業種特有のリスク、過去の事案、研修に割ける時間――こうした条件を踏まえ、形だけの研修ではなく、職場の空気が変わる研修を設計します。

  • 研修実績10,000件以上
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「研修は実施したが職場が変わらなかった」というお悩みにこそ、ご相談ください。初回のヒアリングから企画提案まで無料で承っています。

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