テーマ・部門別
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コンプライアンス・ハラスメント防止▼
- 明日から使える!実践型カスハラ対策・ハラスメント研修
- “繊細さん”“ハラスメント”時代に相応しい叱り方・褒め方研修
- 顧客志向で実践するシン・カスタマーハラスメントとクレーム対応研修
- カスタマーハラスメント研修 〜カスハラへの早期対策が必要不可欠〜
- 下請法基礎研修【コンプライアンスの本質を知る】
- ハラスメント防止研修【リーダー層向け】〜30代、40代の8割がハラスメントを感じたことがある〜
- アンガーマネジメント研修
- ハラスメント研修【全社員対象】
- 管理職向けハラスメント対策研修 ~組織の価値を高める実践的アプローチ~
- ハラスメント相談窓口研修
- コンプライアンス研修・コンプライアンス相談窓口担当者研修
- リスペクト・トレーニング研修 〜職場内での相互リスペクト醸成し、ハラスメントを抑止する〜
- ハラスメント防止研修【コミュニケーション良化とジェネレーションギャップ解消】
- SNS(ソーシャルメディア)利用のコンプライアンス研修
- ハラスメント防止研修【オーダーメイド動画研修】〜飽きない動画、見られる動画、役に立つ動画で研修成果を最大化〜
- 任天堂で実践したサプライチェーンのCSR推進
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SNS・DX・AI活用▼
- AI×営業スキルアップ研修(6時間)
- デジタルマーケティング&販売促進研修
- SNS活用研修 〜企業SNSの効果的な運用方法と炎上リスクへの対策(Instagram、X、TikTokなど)〜
- SNS活用研修(幹部向け)
- Instagram活用研修【初級編】~インスタグラム運用の基本を学び、自社PRツールの武器に変える~
- Instagram活用研修【中級研修】
- Instagram活用研修【上級研修】
- ライブコマース活用研修
- X(旧Twitter)ビジネス活用研修
- SNS炎上対応・リスクマネジメント研修
- SNS(ソーシャル・メディア)活用研修 〜Twitter(X)・Instagram・YouTube
- SNS活用研修(コンプライアンス)
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ビジネスマナー・CS・接遇・クレーム対応▼
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営業力▼
- 電話・メール対応研修
- テレアポ研修 アポイント習得までの段取りからストーリーで考える
- ディスカバリー営業研修 〜顧客と営業との新たな関係性を作る新営業スタイル〜
- 営業スキル伝承研修 〜ベテラン営業のスキルを伝承させて企業全体の営業力を高める〜
- 若手営業研修 〜経験学習モデルを使った実践的かつ効率的に営業力を高める
- 営業研修 〜明日からすぐ使える、成約率が高まる営業スキル向上〜
- 営業実践力向上研修
- 営業スキルアップ研修 〜仕事を拡大させるための営業スキル〜
- 営業研修 〜営業について徹底的に学び成果を最大化させる〜
- 電話営業の基本研修
- 質問力向上×プレゼン能力向上研修
- オンライン営業研修
- 営業パーソンのための顧客対応力研修
- 展示会成功講習・展示会で圧倒的に見込み客を獲得する具体策(出展者説明会対応)
- 女性営業研修〜女性の強みを活かすインサイト営業
- 営業パーソンのための実践マーケティング入門
- 住宅業界のための営業マーケティング研修
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情報セキュリティ・情報漏洩▼
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メンタルヘルス・ヘルスケア▼
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人材アセスメント▼
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グローバル・SDGs▼
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コミニュケーション・コーチング▼
- 転職入社時の導入(馴染む力養成)研修
- 指導社員養成および指導社員養成フォローアップ研修
- “繊細さん”“ハラスメント”時代に相応しい叱り方・褒め方研修
- 1on1面談の進め方講座
- チーム構築研修【小規模組織向け】
- 若手・中堅社員 事務・総務職研修
- 管理職向けコミュニケーション研修
- Zoom での勝負は「ノンバーバル(非言語)コミュニケーションで決まる!
- コーチング・部下育成研修
- コミュニケーション研修 〜職場を元気にするコミュニケーション活性化のポイント〜
- コミュニケーション「報・連・相」強化研修
- リーダーシップ・コミュニケーション研修
- ビジネスマナー&コミュニケーション研修
- コミュニケーション研修 〜チームビルディングでチームでのコミュニケーションを高める〜
- 安全管理コミュニケーション研修
- リーダーのためのエンゲージメント研修
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販売促進▼
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チームビルディング▼
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経理・財務▼
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評価・考課▼
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人事▼
- 転職入社時の導入(馴染む力養成)研修
- “無料でもここまで採れる”ハローワーク活用術研修・講演
- ~元大手人材紹介会社幹部がこっそり耳打ち~魅せられる地方企業の求人づくり研修
- ~人事制度成否の要~人事評価スキル研修
- ~もう採用コストを無駄にしない~人材定着・早期離職防止の為のたった3つのカギ研修
- 公平評価で組織力を向上する!人事評価者研修
- 採用面接官向け研修
- 1on1面談の進め方講座
- 女性のキャリアデザイン講座 〜転換期を生きる私達の人生戦略〜
- 職場復帰支援研修〜不調からの職場復帰のポイント
- 人事評価者研修 〜公正な評価基準を認識させ考課エラーを防ぐ〜
- 管理職のための労務管理研修
- インバスケット研修〈マネジメント編〉
- インバスケット〈アセスメント編〉
- 管理職向けアセスメント研修
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業務改善▼
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広報(広告・宣伝・CSR)▼
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マネジメント▼
- 会社を伸ばす「中小企業の賃上げ」セミナー
- 事業承継者の為の従業員マネジメント研修
- “繊細さん”“ハラスメント”時代に相応しい叱り方・褒め方研修
- 部下育成OJT・動機づけ研修
- ~もう採用コストを無駄にしない~人材定着・早期離職防止の為のたった3つのカギ研修
- 下請法基礎研修【コンプライアンスの本質を知る】
- BCP研修
- 若手・中堅社員フォローアップ研修 〜組織をけん引する人材への行動変容を目指して〜
- リーダーシップ開発研修 VUCA・AI時代を切り拓く組織開発とは?
- ウェルビーイング経営研修
- 売れる会社がやっているたった四つの繁盛の法則
- 後継者育成セミナー(事業承継のための研修)
- マネジメントゲーム研修 〜スタッフに経営・財務視点を身に付けさせ生産性を高める〜
- インバスケット〈アセスメント編〉
- 事業承継 完全対策セミナー
- 緊急時のためのBCP(事業継続・復旧計画)策定研修
- 管理職向け 戦略マネジメントゲーム研修
- ロジカルシンキング研修
- リーダーシップ・コミュニケーション研修
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法務▼
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部下育成▼
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仕事の基本▼
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販売▼
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企画・プレゼンテーション▼
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生産管理▼
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企画・マーケティング▼
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ビジネスマインド▼
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新規事業部▼
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キャリアデザイン▼
階層別
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新人▼
- AI×営業スキルアップ研修(6時間)
- 明日から使える!実践型カスハラ対策・ハラスメント研修
- 電話・メール対応研修
- テレアポ研修 アポイント習得までの段取りからストーリーで考える
- 高価格帯ホテルにおける 一流の接遇研修
- 新入社員研修 / 新入社員フォローアップ研修
- 未来を見据えた新入社員研修 〜2025年の変化に備える2日間・4日間プログラム〜
- 新入社員研修 〜社会人の基本とメンタルヘルス・AI・SNSコンプライアンス〜
- オンデマンド型・新入社員研修〜13本の動画で学ぶ〜
- ビジネスマナー研修 〜内定者・新人に向けた基本の「き」をマスター〜
- 新入社員のためのビジネスマインド講座
- 新人フォローアップ研修 ~組織で活き活きと活躍するために
- 新入社員研修
- 新入社員フォローアップ研修
- 新入社員フォローアップ研修(アセスメント手法を活用)
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若手・リーダー▼
- AI×営業スキルアップ研修(6時間)
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- ディスカバリー営業研修 〜顧客と営業との新たな関係性を作る新営業スタイル〜
- 営業スキル伝承研修 〜ベテラン営業のスキルを伝承させて企業全体の営業力を高める〜
- 若手営業研修 〜経験学習モデルを使った実践的かつ効率的に営業力を高める
- 営業研修 〜明日からすぐ使える、成約率が高まる営業スキル向上〜
- 若手・中堅社員 事務・総務職研修
- 若手・中堅社員のための事務・総務職研修 〜実務の基礎と「振る舞い力」向上に向けて〜
- 若手・中堅社員フォローアップ研修 〜組織をけん引する人材への行動変容を目指して〜
- 入社3年目能力強化研修〜次世代リーダーへの能力開花に向けて〜
- リーダーシップ開発研修 VUCA・AI時代を切り拓く組織開発とは?
- 女性のキャリアデザイン講座 〜転換期を生きる私達の人生戦略〜
- 営業研修 〜営業について徹底的に学び成果を最大化させる〜
- 電話営業の基本研修
- メンター育成研修 〜新入社員へのメンタースキル向上〜
- 店長研修
- 営業交渉術研修 〜交渉計画策定から交渉ロープレまで~
- 財務諸表の読み方研修
- リーダーシップ・コミュニケーション研修
- メンター研修
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中堅▼
- AI×営業スキルアップ研修(6時間)
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- 高価格帯ホテルにおける 一流の接遇研修
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- 指導社員養成および指導社員養成フォローアップ研修
- “繊細さん”“ハラスメント”時代に相応しい叱り方・褒め方研修
- 公平評価で組織力を向上する!人事評価者研修
- ディスカバリー営業研修 〜顧客と営業との新たな関係性を作る新営業スタイル〜
- 採用面接官向け研修
- 1on1面談の進め方講座
- 営業スキル伝承研修 〜ベテラン営業のスキルを伝承させて企業全体の営業力を高める〜
- 若手・中堅社員 事務・総務職研修
- 若手・中堅社員のための事務・総務職研修 〜実務の基礎と「振る舞い力」向上に向けて〜
- 若手・中堅社員フォローアップ研修 〜組織をけん引する人材への行動変容を目指して〜
- リーダーシップ開発研修 VUCA・AI時代を切り拓く組織開発とは?
- 営業研修 〜営業について徹底的に学び成果を最大化させる〜
- マネジメントゲーム研修 〜スタッフに経営・財務視点を身に付けさせ生産性を高める〜
- 営業交渉術研修 〜交渉計画策定から交渉ロープレまで~
- 財務諸表の読み方研修
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管理職▼
- AI×営業スキルアップ研修(6時間)
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- “無料でもここまで採れる”ハローワーク活用術研修・講演
- 指導社員養成および指導社員養成フォローアップ研修
- “繊細さん”“ハラスメント”時代に相応しい叱り方・褒め方研修
- ~人事制度成否の要~人事評価スキル研修
- 部下育成OJT・動機づけ研修
- 公平評価で組織力を向上する!人事評価者研修
- ディスカバリー営業研修 〜顧客と営業との新たな関係性を作る新営業スタイル〜
- 採用面接官向け研修
- 1on1面談の進め方講座
- チーム構築研修【小規模組織向け】
- リーダーシップ開発研修 VUCA・AI時代を切り拓く組織開発とは?
- 女性のキャリアデザイン講座 〜転換期を生きる私達の人生戦略〜
- 管理職向けコミュニケーション研修
- ウェルビーイング経営研修
- 管理職向けハラスメント対策研修 ~組織の価値を高める実践的アプローチ~
- リスペクト・トレーニング研修 〜職場内での相互リスペクト醸成し、ハラスメントを抑止する〜
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- マネジメントゲーム研修 〜スタッフに経営・財務視点を身に付けさせ生産性を高める〜
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- 管理職研修〜管理職に求められるマネジメントの基礎〜
- 管理職向け 戦略マネジメントゲーム研修
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- 危機に瀕したときの広報対応研修(プレスリリース・記者会見)
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役員・経営者▼
- 会社を伸ばす「中小企業の賃上げ」セミナー
- AI×営業スキルアップ研修(6時間)
- 明日から使える!実践型カスハラ対策・ハラスメント研修
- “無料でもここまで採れる”ハローワーク活用術研修・講演
- ~元大手人材紹介会社幹部がこっそり耳打ち~魅せられる地方企業の求人づくり研修
- 事業承継者の為の従業員マネジメント研修
- “繊細さん”“ハラスメント”時代に相応しい叱り方・褒め方研修
- ~人事制度成否の要~人事評価スキル研修
- 部下育成OJT・動機づけ研修
- 公平評価で組織力を向上する!人事評価者研修
- 採用面接官向け研修
- チーム構築研修【小規模組織向け】
- ウェルビーイング経営研修
- 売れる会社がやっているたった四つの繁盛の法則
- SNS活用研修(幹部向け)
- 後継者育成セミナー(事業承継のための研修)
- 職場復帰支援研修〜不調からの職場復帰のポイント
- 緊急時のためのBCP(事業継続・復旧計画)策定研修
- 危機に瀕したときの広報対応研修(プレスリリース・記者会見)
京セラフィロソフィーから学ぶ、中小企業経営に活きる「人を動かす」経営哲学

経営理念を掲げてはいるものの、それが現場に浸透しない。組織として一つの方向を向いて進んでいる実感がない。そんな悩みを抱える経営者の方は多いのではないでしょうか。
本記事では、稲盛和夫氏が実践してきた**「京セラフィロソフィー」という経営哲学**について、実際に稲盛氏が創業した企業で働いた経験を持つ立場から解説します。単なる書籍の要約ではなく、中小企業の経営現場でどう活かせるのか、という視点で掘り下げていきます。
理念と現場を結びつける具体的な行動指針とは何か。組織を一つにまとめ、持続的な成長を実現するために必要な考え方を、実践的な視点でお伝えします。
京セラフィロソフィーとは何か

京セラフィロソフィーとは、稲盛和夫氏が京セラを経営する中で、実体験に基づいて導き出した経営哲学です。フィロソフィー、つまり「哲学」という言葉が使われていますが、これは単なる理想論ではありません。約600ページにわたる書籍にまとめられたこの内容は、会社としての具体的な行動指針です。
私自身、稲盛氏が創業したKDDIに勤めていた経験があります。当時、このフィロソフィーを日々の業務の中で目にし、実践してきました。正直に言うと、最初は「これって宗教じゃないか」と思った社員もいました。でも実際に読んでみると、書いてあることは極めて真っ当なことばかり。人として正しいことを、ビジネスの文脈で具体的に示しているものです。
ここで重要なのは、社訓や経営理念との違いを理解することです。社訓というのは会社としての正しい方法、つまり「What(何をするか)」を示すもの。経営理念は企業の存在意義、つまり「Why(なぜやるか)」を語るものです。
それに対してフィロソフィーは、「How(どうやるか)」に重点を置いています。理念を実現するために、社員一人ひとりがどう行動すべきか。判断に迷ったとき、どう考えればいいのか。そこまで踏み込んでいるのが、このフィロソフィーの特徴なのです。
なぜ「行動指針」が経営に不可欠なのか
経営理念を掲げている会社は多いでしょう。でも、その理念が現場の判断に活かされているかというと、そうでもないケースが多いです。なぜか。それは、理念から具体的な行動までの距離が遠すぎるからです。
例えば「お客様第一」という理念があったとします。素晴らしい理念ですよね。でも、実際の営業現場で、利益を優先すべきか顧客満足を優先すべきか迷う場面に直面したとき、どう判断すればいいのか。その判断基準が明確でなければ、結局は個人の裁量に委ねられ、組織としての一貫性が失われてしまう。
京セラフィロソフィーが優れているのは、こうした日々の判断場面で立ち返れる具体的な指針を示している点です。判断に迷ったとき、フィロソフィーに照らし合わせて考える。そうすることで、組織全体が同じ価値観を共有し、一つの方向に向かって進めるようになります。
実際、KDDIは17社が合併してできた会社です。それぞれ異なる企業文化を持つ会社が、どうやって一つになれたのか。それは、このフィロソフィーという共通の行動指針があったからです。もともとライバル関係にあった会社同士が合併するわけですから、最初は反発もありました。でも、フィロソフィーに書かれていることは誰もが「正しい」と思える内容だった。その共通基盤があったからこそ、組織をまとめることができたのです。
5つの核となる考え方
約600ページにわたる京セラフィロソフィーですが、その核となる考え方を5つに絞ってお伝えします。これは私自身が読み込んだ上で、特に重要だと感じた要素です。
1. 心を高める
フィロソフィーの冒頭で語られるのが「心を高める」という概念です。心を高めるとは、人生の目的は心の浄化であり、心を立派にしていくことだと稲盛氏は言っています。
正直、この表現だけ聞くと「また宗教的な話か」と思われるかもしれません。でも、これは極めて実務的な話です。なぜなら、ビジネスの結果は、その人の心のあり方、つまり考え方に大きく左右されるからです。
稲盛氏は、人生や仕事の結果を決める方程式として、こう語っています。「考え方×熱意×能力=人生・仕事の結果」。この式の中で、能力と熱意は0から100までの範囲ですが、考え方だけはマイナス100からプラス100まである。つまり、どんなに能力があっても、考え方が間違っていれば、結果はマイナスになってしまいます。
だからこそ、心を高める、つまり正しい考え方を持つことが、すべての基盤になる。これは単なる精神論ではなく、ビジネスの成果を左右する重要な要素です。
2. 利他の心
「利他の心」とは、自分中心ではなく、他者のことを考えて行動するという姿勢です。稲盛氏自身、若い頃は決して完璧な人間ではなかった。受験に失敗したり、いろいろな挫折を経験してきた。そういう中で、多くの人に助けられてきた経験があるからこそ、利他の心の重要性を説いています。
ビジネスの現場では、どうしても自社の利益を優先してしまいがちです。でも、長期的に見れば、お客様のため、取引先のため、社会のために何ができるかを考える方が、結果的に自社の成長にもつながる。それが利他の心の本質です。
中小企業の経営者の方なら、この感覚は理解できるのではないでしょうか。目先の利益だけを追いかけていると、信頼を失い、長続きしない。逆に、お客様の本当の課題解決を第一に考えていると、紹介が生まれ、リピートが増える。それが利他の心を持つことの実践的な意味です。
3. 自ら燃える
フィロソフィーの中で、特に印象的だったのが「自ら燃える」という概念です。稲盛氏は、人間を3つのタイプに分けています。
火を近づけると燃え上がる「可燃性の人」。火を近づけても燃えない「不燃性の人」。そして、自ら勝手に燃え上がる「自燃性の人」。
何かを成し遂げようとする人、特にリーダーは、自燃性でなければならない。自ら燃えるためには、自分のしていることを好きになること、そして明確な目標を持つことが重要だと稲盛氏は語っています。
これは組織運営においても重要な視点です。すべての社員が自燃性であるわけではない。可燃性の人もいれば、不燃性の人もいる。でも、リーダーが自燃性であれば、可燃性の人に火をつけ、組織全体を動かしていくことができる。
稲盛氏自身、京セラだけでなく、全く畑違いの通信業界でKDDI(旧DDI)を立ち上げ、さらには航空業界のJALを再建しました。これができたのは、自ら燃える情熱があったからこそです。そして、その情熱が周囲を巻き込み、大きな成果につながっていきました。
4. インテグリティ(誠実さ)

私がこのフィロソフィーを読んで、頭に浮かんだ言葉が「インテグリティ」でした。これは英語で、日本語では「誠実さ」「真摯さ」と訳されることが多い言葉です。
ピーター・ドラッカーも、経営者に必要な資質として「インテグリティ」を挙げています。ただ、この言葉の意味は非常に深く、単純な翻訳では伝わりにくい。ある論文では、**「妥協性のない一貫性。自らの価値観や信条に忠実であり、ぶれない状態。そうあろうとする努力を具体的な行動で示し、結果に対する責任を果たすこと」**と説明されています。
京セラフィロソフィーに書かれているのは、まさにこのインテグリティです。稲盛氏自身、なぜこのような考え方に至ったのかと問われたとき、**「子供の頃から親や祖父母に言われてきた、人として正しいこと」**だと答えています。
公平、公正、正義、勇気、誠実、忍耐、努力、親切、思いやり、謙虚、博愛。こうした普遍的な価値観を、ビジネスの現場で具体的にどう実践するか。それを体系化したのが、京セラフィロソフィーです。
5. 原理原則に従う
ここまで少し哲学的な話が続きましたが、フィロソフィーは極めて実務的な内容も含んでいます。その代表が**「売上を最大にして経費を最小にする」**という原理原則です。
これを聞くと、「当たり前じゃないか」と思われるかもしれません。でも、この当たり前のことを徹底できている会社は、実は多くない。
稲盛氏がJALを再建したとき、まず驚いたのがこの原則が守られていなかったことだそうです。各部署ごとに予算が決まっていて、使い切ることが前提になっていた。売上を上げる部署と、経費を使う部署が分かれていて、全体最適が図れていなかった。
中小企業では、このような問題は起きにくいかもしれません。でも、事業が拡大してくると、部署ごとの最適化が全体の最適化と矛盾することが出てきます。そのとき、「売上最大、経費最小」という原則に立ち返ることが重要になります。
ここで少し脱線しますが、稲盛氏は税金についても独特の考え方を持っています。多くの企業が節税に力を入れる中、稲盛氏は**「税金はしっかり払うべきだ」**と主張しています。なぜなら、納税も企業の重要な社会的責任だから。
実際、ブラジルの若い経営者が稲盛氏に「この国では税金を払うのは難しい」と相談したところ、稲盛氏は「騙されたと思って払い続けなさい」と助言したそうです。その経営者は10年近く真面目に納税を続けた結果、銀行から「あなたは信頼できる」と言われ、事業拡大のための融資を受けることができた。これは、原理原則を守ることの実践的な価値を示す良い例です。
フィロソフィーを組織に浸透させる方法
ここまで京セラフィロソフィーの内容を紹介してきましたが、重要なのは、これをどう自社に取り入れるかです。600ページの書籍をそのまま社員に配っても、読まれない可能性が高い。では、どうすればいいのか。
まず、経営者自身が深く理解することです。フィロソフィーは読み物ではなく、辞書のように使うものです。判断に迷ったとき、何度も読み返し、自分の考えと照らし合わせる。そうやって、自分の中に落とし込んでいく。
次に、具体的な場面で使うことです。朝礼やミーティングで、フィロソフィーの一節を取り上げ、「今の私たちの状況に当てはめるとどうか」と議論する。判断に迷ったプロジェクトがあれば、「フィロソフィーに照らすとどうか」と問いかける。こうした積み重ねが、組織への浸透につながります。
実際、KDDIでは、ビジネス上の判断に迷ったとき、フィロソフィーに立ち返ることが習慣化されていました。例えば、取引先から少しグレーな提案があったとき。目先の利益だけを考えれば受けてもいいかもしれない。でも、フィロソフィーに照らすと、これは「動機善なりや、私心なかりしか」という問いに答えられない。だから断る。そういう判断が、組織全体で共有されていたのです。
中小企業の場合、大企業ほど複雑な仕組みは必要ありません。むしろ、経営者と社員の距離が近いことを活かして、日常の会話の中でフィロソフィー的な考え方を伝えていくことができます。「今のこの判断、フィロソフィーで言うとこういうことだよね」と、具体的な場面と結びつけて語る。それだけで、十分に浸透していくはずです。
まとめと次のステップ

京セラフィロソフィーは、稲盛和夫氏が約60年の経営経験の中で培ってきた実践的な知恵の集大成です。その本質は、「人として正しいことを、ビジネスの現場でどう実践するか」という問いに対する具体的な答えです。
心を高める、利他の心を持つ、自ら燃える、インテグリティを貫く、原理原則に従う。これらはすべて、組織を一つにまとめ、持続的な成長を実現するための土台となる考え方です。
私が40年近い社会人生活で学んだことは、ビジネスの本質は問題解決であり、そのためには正しい価値観と行動指針が不可欠だということです。京セラフィロソフィーは、その指針を与えてくれる、ビジネスにおける「聖書」のような存在だと私は考えています。
今日からできる3つのアクション
- まず、京セラフィロソフィーの書籍を手に取ってみてください。600ページすべてを読む必要はありません。目次を見て、今の自分や会社の課題に関連する章から読み始めればいいです。
- 次に、自社の経営理念や行動指針を見直してみてください。それは社員が日々の判断に使えるほど具体的ですか。もし抽象的すぎると感じたら、フィロソフィーのように、具体的な場面での行動指針まで落とし込むことを考えてみてください。
- そして、朝礼やミーティングで、フィロソフィー的な話題を一つ取り上げてみてください。「今週、利他の心で行動できた場面はありましたか」「自ら燃えるために、どんな目標を持っていますか」。こうした問いかけが、組織の価値観を共有する第一歩になります。
経営は人を動かす仕事です。そして人を動かすには、共通の価値観と明確な行動指針が必要です。京セラフィロソフィーは、その最良の手本となるはずです。
「京セラフィロソフィの経営哲学」を動画で更に詳しく!
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お知らせ
- 【ブログ更新】「AI活用は常識となり、これからはどう活用するかが問われている。」を公開しました!
- 【ブログ更新】「カスタマーハラスメント対策の新常識 ―「お客様は神様」から「お互い様」の時代へ―」を公開しました!
- カスタマーハラスメント対策の新常識 ―「お客様は神様」から「お互い様」の時代へ―
- 【ブログ更新】「賃上げ時代を生き抜く中小企業の戦略―コアスキルとオンボーディングが鍵を握る」を公開しました!
- 賃上げ時代を生き抜く中小企業の戦略―コアスキルとオンボーディングが鍵を握る
- 【ブログ更新】「中小企業に賃上げはなぜ急務なのか?持続的成長を叶える価格転嫁と生産性向上の秘訣」を公開しました。
研修・セミナー事例
- 動画プロモーションセミナーレポート:スマホ1台で始める!動画プロモーション入門講座
- ハラスメント研修を実施しました – なぜハラスメント対策は企業の生産性向上に不可欠なのか?
- AI×営業研修の研修事例
- 非言語コミュニケーション研修 ノンバーバルなコミュニケーションを高める
- 法人営業力強化研修レポート
- 人材採用&育成セミナーが開催されます【参加無料】
