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AI活用は常識となり、これからはどう活用するかが問われている。

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はじめに:現場から見たAI活用の本質

AI技術の急速な進化により、企業におけるAI活用の議論が活発化しています。しかしながら、多くの企業が直面している課題は、「何ができるか」ではなく「何をすべきか」という本質的な問いかけです。

本記事では、実際の営業現場や新入社員研修の実践例を通じて、企業が真に取り組むべきAI活用の在り方について記述します。効率性と効果性を両立させるAI活用の原則とはなにか。その原則を明らかにしていきます。

営業現場におけるAI活用の正しい境界線

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人が担うべき領域とAIに委ねる領域

営業活動においてAIを活用する際、最も重要な視点は「人が担うべき仕事」と「AIに任せる仕事」を明確に区別することです。この境界線を誤ると、効率化を追求するあまり、本来の営業効果を損なうことになってしまいます。

近年、自律型AIの発展により、企業の問い合わせ先を自動検索し、トークスクリプトに沿って音声でアポイントを取得するシステムが実用化されています。確かに技術的には実現可能ですが、この手法には看過できない問題が潜んでいます。

アポイント取得において人間が不可欠な理由

アポイント取得をAIに委ねることへの懸念は、単なる技術的限界の問題ではありません。営業プロセス全体を俯瞰すると、アポイント取得は「最初の接点」であり、その後の商談、提案、受注へと続く一連の流れの重要な起点です。

人間の営業担当者であれば、電話での会話の中で「もう1点だけお伺いしてもよろしいでしょうか」と自然に追加質問を投げかけ、訪問時に必要となる情報を先取りできます。この柔軟な対応は、訪問する担当者自身の思考をリアルタイムでトレースしているからこそ可能となるものです。

一方、AIが機械的にアポイントを取得した場合、訪問担当者との間に情報のギャップが生じやすくなります。顧客のニュアンスや温度感といった言外の情報が欠落することで、訪問時に期待と提案内容にずれが生じるリスクが高まります。

第一印象の重要性と信頼構築

実際にAIによるアポイント取得の音声記録を検証すると、確かにアポイントは成立しています。しかし、電話口の向こう側で顧客が抱く印象は決して好ましいものではありません。明らかにAIらしい対応に対し、「何か怪しい会社ではないか」という疑念を抱かせてしまうケースが散見されます。

世界17カ国を対象としたYouGovの調査では、実に約50%もの消費者が、AIを駆使した広告画像の生成・編集をするブランドに対して強い不快感や不信感を抱いているという調査結果が出ています。

営業活動の本質は、顧客との信頼関係を構築し、その上で受注を獲得することにあります。最初の接点で不信感を抱かせてしまえば、その後の営業プロセスすべてが困難なものとなります。効率化を優先するあまり、効果性を軽視してしまっては本末転倒と言えるでしょう。

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httpsforbesjapancomarticlesdetail74973
消費者の50がAI生成の広告を敬遠

AIが真価を発揮する領域

ヒアリング内容の文字起こしと議事録作成

一方で、AIに積極的に委ねるべき業務も明確に存在します。顧客訪問後のヒアリング内容の文字起こしは、その代表例です。

営業担当者が顧客との対話に集中できるよう、会話内容の記録はAIに任せることで、より質の高いコミュニケーションが実現します。文字起こしされた内容を議事録化し、迅速に顧客へメールで送付することで、プロフェッショナルな印象を与えることができます。

営業リストの精査と情報収集

営業リストの精査や市場情報の収集といった、データ処理を伴う業務もAIの得意分野です。膨大な情報の中から有用なデータを抽出し、整理する作業は、人間が行うよりも正確かつ迅速に処理できます。

このように、AIの強みを活かせる領域と、人間の感性や判断力が不可欠な領域を適切に見極めることが、真の意味でのAI活用につながります。

無駄な仕事を生み出さないための原則

新機能の誘惑に抵抗する

AI技術の進化により、これまで不可能だった様々なことが実現可能となりました。例えば、ChatGPTでジブリ風のイラストを生成する機能などは、その典型例です。

しかし、ここで立ち止まって考える必要があります。「これまで絵を描いていなかった企業が、AI で絵を描けるようになったからといって、それを業務に取り入れる必然性があるのか」という問いです。

営業活動において、顧客との信頼関係構築と受注獲得という本質的な目的に対し、ジブリ風のイラストが真に貢献するのでしょうか。新しい技術の魅力に惹かれるあまり、本来不要だった業務を増やしてしまう危険性に注意を払う必要があります。

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バナー作成における効果性の検証

同様の問題は、AIによるバナー作成においても見受けられます。確かにAIを活用すれば、短時間で大量のバナーを生成できます。しかし、重要なのは「コンバージョン率」という成果指標。

AIが作成したバナーと、人間のデザイナーが最後の一手間をかけて仕上げたバナーを比較すると、その違いは明確に認識できます。簡単に作成できたとしても、問い合わせ数が減少するのであれば、その効率化は意味を成しません。

8割をAIに、残り1割を人間の力で

実践的なアプローチとして推奨されるのは、作業全体の80〜90%をAIに委ね、最後の10%に人間の力を注ぐという方法。

この最後の10%において、言葉のニュアンスを調整したり、AI特有の違和感を解消したり、個性を付加したりといった工夫を施すことで、AIの効果性は飛躍的に向上します。この手間を惜しむか惜しまないかが、AI活用の成否を分ける重要な分水嶺となります。AIで生成したものをそのまま使うのではなく、ひと手間をかける事が大切です。

新入社員研修におけるAI活用の実践事例

和歌山県海南商工会議所での取り組み

具体的な成功事例として、和歌山県海南商工会議所で実施された2日間の新入社員研修をご紹介します。約20名の新入社員を対象に、AI活用とコンプライアンス、特にSNSリスク回避に焦点を当てた研修が展開されました。

この研修の背景には、地域の中小企業こそAIリテラシーを向上させる必要があるという認識があります。東京や大阪、福岡といった都市部の企業が積極的にAIを活用する中、地域企業が同じ土俵で競争するためには、従業員のAI活用能力を早期に育成することが不可欠です。

グループワークによる新商品・サービス開発

研修では、5つのグループに分かれて新商品または新サービスの開発というテーマに取り組みました。その過程において、重要な3つのステップがあります。

ステップ1:人間によるアイデア創出

最初のステップでは、グループメンバー5名で地域の課題や潜在的ニーズについて徹底的に議論します。この段階ではAIを使用せず、純粋に人間の感性と経験に基づいてアイデアを出し合います。

新入社員だからこそ持つ、学生時代に感じた疑問や不安、社会人になりたての新鮮な視点は、極めて価値の高い着眼点となります。社会人経験を積むと、こうした素朴な疑問は次第に忘れ去られてしまいます。だからこそ、この初期段階で人間が主導権を握ることが大切になってきます。

ステップ2:AIによる情報の肉付けと深掘り

アイデアの骨格が固まったら、次はAIの出番です。市場調査、データの裏付け、キャッチコピーの生成など、アイデアを具体的な提案に昇華させるための作業をAIに委ねます。

新入社員にとって、アイデアはあっても、それを整合性のある戦略に落とし込んだり、収支計画という数値に変換したりすることは容易ではありません。こうした専門的な作業をAIがサポートすることで、短時間で質の高い提案資料が完成します。

ステップ3:人間によるプレゼンテーション

最終段階では、再び人間が主役となります。AIを活用してプレゼンテーションの構成を最適化しつつも、実際の発表は新入社員自身が行います。

サンドイッチ方式の効果

入口と出口を人間が担うサンドイッチのような構造で、中間プロセスでAIが支援することがポイントになります。2時間という限られた時間枠の中で、新入社員が作成したとは思えないほど高品質なプレゼンテーションが完成しました。

参加した商工会議所の経営指導員からも驚きの声が上がり、新入社員自身も「疑問をAIに問いかけることで、スムーズに情報がまとまり、裏付けデータやリンクを通じてさらに深い資料にアクセスできた」と効果を実感していました。

企業がAI活用で成功するための3つの原則

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これまでの事例と考察を踏まえ、企業がAI活用で成功するための原則を整理しましょう。

原則1:人間とAIの役割分担を明確化する

効率化だけを追求するのではなく、営業プロセス全体における各工程の意味を理解し、人間が担うべき領域とAIに委ねる領域を戦略的に設計することが求められます。

特に顧客との初期接点や最終的なコミュニケーションといった「信頼構築の場面」は、人間が責任を持って対応すべき領域です。

原則2:効果性を常に検証する

新しい技術が利用可能になったからといって、安易に導入するのではなく、それが本当に成果指標の向上につながるかを検証する姿勢が不可欠です。

コンバージョン率、顧客満足度、受注率といった具体的な数値で効果を測定し、効率化が効果性の低下を招いていないか常にモニタリングする必要があります。

原則3:最後の10%に人間の力を注ぐ

AIが生成した成果物をそのまま使用するのではなく、最後の仕上げに人間の感性と判断力を投入することで、AIの可能性を最大限に引き出すことができます。

言葉のニュアンス調整、AI特有の違和感の解消、独自性の付加といった細部への配慮が、競合との差別化要因となります。

終わりに:人間の力を信じたAI活用を

AI技術の進化は、私たちに多くの可能性をもたらしています。しかし、その可能性を真に活かすためには、技術的な実現可能性だけでなく、人間の役割の本質を深く理解することが求められます。

営業においても、新入社員教育においても、AIはあくまで「サポーター」であり、主役は人間です。

人間の感性、判断力、創造性という強みを活かしつつ、AIの処理能力と正確性を戦略的に組み合わせることで、これまでにない価値を創出することが可能となります。

3年後、5年後にはAIの役割がさらに拡大する可能性があります。しかし、現在の現実に即した最適なAI活用方法を学び、実践することが、未来への確かな一歩となるのです。

人の力を信じ、AIをサポーターとして上手に活用しながら、企業の真の競争力を高めていく。これこそが、これからの時代に求められるAI活用の在り方と言えるでしょう。


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