新入社員に営業研修は必要か?


新入社員に営業研修は必要か?という声を研修の主催者からお問い合わせ頂くことがあります。

まだ社会経験がない新入社員が営業を学んでも理解できないので、意味はないのではないか?ということです。

私なりに、営業マンとして実践を積んできた経験と、営業コンサルティングで様々な企業のトップ営業マンを見てきた経験、セミナー&研修ネットで長年営業研修を行ってきた経験などを照らし合わせると、結論としては「大いに意味があります」です。

では社会人経験が全くない新入社員の段階で、なぜ営業研修を受ける必要があるのでしょうか。

自己流営業が役に立たない時代

セオリーを学んでも実践には役に立たない。とベテランの営業担当者は言います。

自分流のやり方を見つけることが大切である。と。

たしかに熟練した営業にとっては、自分流の方法がやりやすいのかもしれません。以前、書かせていただいたことがあるのですが、チャレンジャーセールスモデルという考え方があります。

これは営業担当者を5つの類型に分けて分析したモデルですが、その中で、一匹狼と呼ばれるタイプの営業が上記のような自己流に固執する営業なんです。一匹狼タイプの営業は、自己流を貫くことを信念としているため、そのノウハウは組織に共有されず、孤立してしまう傾向にある。場合によっては、組織をかき乱して転職することさえあります。

また私の考えで言えば、一匹狼型の営業は、顧客のタイプ(相性)により成約率に大きなブレが生まれる傾向にあります。

いわゆる一発屋に多いタイプと言えそうです。

自分流=自分にあった顧客に出会えた場合のみ確実な成約につながります(理由は、自分自身の営業トークや手法ばかりに意識を向け、磨くため顧客の要望を見ていないケースが多い)。
そして厄介なことに一匹狼タイプの営業は、傍から見るとやたらかっこいい生き方(ミステリアスなアウトサイダー)をしているようにも見えるんです。ですので一匹狼の理論は比較的周囲に受け入れられやすい。

しかし、残念なことにこの一匹狼は外れる割合が年々大きくなっていっているように感じます。

人口が確実に増えていく行動経済成長期の営業であれば、相性だけで選別することは良いでしょう。
しかし今の時代では、人口減少の中で確実に顧客化していく営業手法が必要不可欠となっています。

「昔取った杵柄」を振りかざしているベテラン営業が、今、なかなか売れにくくなっているのが現実ではないでしょうか。

一方で、チャレンジャーセールスモデルでは、論客型と呼ばれるタイプが最も売れる営業だとデータ分析しています。

論客とは、お殿様の城に囲い入れる知識人のことで、国の将来などについての見聞をお殿様に披露するような人間です。
売り手と買い手の関係を超えて、お客様にとってメリットがあると感じた時に耳に痛い話を面と向かって行うような営業がいます。

そういう営業は、顧客との信頼を獲得することが可能となります。

そしてこの論客型の特徴は、組織にそのノウハウを共有化させることで組織そのものの営業力を高めることができる点です。

論客型の営業は組織にも馴染み、組織で共有化することも可能な人材だと言えます。

型守破離で営業を組織に浸透させる

営業手法には時代にあったセオリーというものが存在します。
逆に自己流営業は、営業担当者の個にしか存在せず(暗黙知)その営業が転職や退職した時点で失われる事が多い。自分のノウハウを周囲に伝えたがらない秘密主義者が比較的多いからです。

本来の営業研修では、組織で共通して学ぶことが可能な「型」を習得することが目的です。

型守破離という考え方があります。

型=セオリーを知る
守=セオリーを忠実に守る
破=セオリーを自分流に変形させる
離=セオリーを生み出す

そして離を経たあとも、定期的に型へ戻ることがより良いものにしていく秘訣だと説いています。

まさしく新入社員に営業研修が必要な理由も、型を学んで頂くことに他なりません。
時代にあった基本的な型を学ぶことで、変な癖ができず正しい方法を習得することができます。

また、型の習得には実戦経験は不要で、同じ型を身体に染み込ませていく作業です。型を染み込ませることで次の実践でスムーズに能力を引き出すことができるようになるのです。

もし新入社員研修で営業手法を学ばなかった場合、配属された新入社員は、上司の独自の営業手法をまず学ばされます。(厄介なことに組織で営業ノウハウが共有されていることが少ない場合、その手法自体で当たり外れが大きくなる)

そしてその営業手法が正しいかどうかの判断がつかない新入社員ですから、その営業手法を正解として日々鍛錬することになるのです。また新入社員は吸収力が高く、はじめて学んだ知識はスポンジのように吸収し、結果、一匹狼コースを邁進することになるのです。

要するに離職率の高い危険な一匹狼を量産することにも繋がりかねないということです。

そういう意味でも、入社時に営業の型(セオリー)を学ぶことは非常に重要なポイントと言えます。

新入社員は組織を変える起爆剤となる

新入社員に営業研修をさせるメリットとしては、組織への共有が図られるという点もあります。
新入社員とは、今後もっとも長くその組織に勤める可能性が高い人材です。

そして新入社員は、先輩営業や上司にとっても常に目をかけておかなければならない存在です。
ブラザー制度など、先輩が部下にアドバイスする役割を持たせたり、至れるつくせり。

一番下の新入社員が変われば、当然、組織全体の営業力も変わっていくんです。

まずは新入社員にしっかりと型を学ばせること。
その型を先輩や上司に浸透させながら、組織としての営業力を高めていくことがこれからは必要となる時代です。

自己流の営業マン(一匹狼型営業)を生み出すのはやめにして、組織全体で営業力が高まる営業スキルを習得していってほしいと願います。

著者 渋谷雄大

神奈川大学卒業後、訪問販売会社にて最年少トップセールスを樹立。
その後、サプリメント専門チェーン事業部門の責任者として、ショッピングセンター・百貨店などへの出店戦略をはじめとして、人材育成、プロモーション・広報などを一手に引き受け多店舗展開を達成する。
その後、同社が倒産、サプリメント専門チェーン事業の譲渡交渉を担当。サプリメント専門チェーン事業を自然派化粧品会社譲渡成功に導く。自然派化粧品会社では生涯顧客化、ファン育成の実践ノウハウを獲得。自然派化粧品会社を退職後、WEBを活用したプロモーションを実践。営業強化、店舗戦略、人材育成、販売促進、Webコンサルティングなど幅広い分野でコンサルティングを行う。
講演数は年間150回を超える人気講師である。
現在はFacebook、Instagram、LINEなどソーシャルメディアを活用した、顧客育成コンサルティングプログラムや営業力強化など企業の収益向上コンサルティングを中心に展開している。

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