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営業交渉術研修〜できる営業パーソン養成講座(中小企業大学校・関西校)開催レポート

できる営業パーソン養成講座開催レポート

営業研修テキストジャイロ総合コンサルティング株式会社の渋谷雄大です。

 2023年7月12日(水)・13日(木)9:30〜17:30の2日間にわたり開催された「できる営業パーソン養成講座(主催:中小企業大学校関西校)」の講師として登壇させていただきました。

今回の営業研修では、様々な業種・業態から集まった営業パーソンを対象にして営業力強化について学んでいただきました。
おかげさまで毎回ご評価をいただくことができており、おかげさまで3年連続で実施させていただいてます。

営業トレンドの理解①営業活動とAI活用の組み合わせ

2023年の営業研修ですが、初日午前中の講義は、今の時代に必要となる営業スキルについて解説させていただきました。
これからの営業活動とどうしても切り離せないのがChatGPTなどの生成系AIと組み合わせた営業展開についてではないでしょうか。

営業活動にChatGPTなどのAIを組み合わせることで営業としての生産性向上に確実に結びつきます。営業戦略立案や企業分析、提案書の作成、想定問答集の作成などの活用方法など営業として活用できる業務分野は多数考えられます。実は、今回の本研修の数日前にに発表・実装されたChatGPTの新機能であるコードインタープリターという新機能があるのですが、これは色々なファイル(Excelファイルなど)を読み込ませて、企業分析やグラフを作らせたり、逆にChatGPTからExcelデータやマインドマップデータにしてエクスポートできる機能です。外部ファイルの読み込みや外部ファイルへの変換ができるようになったことで、今後の営業活動において飛躍的に活躍の場が広がっていきます。

今回の研修では実際に実演しながらChatGPTと営業活用について解説しました。一般公開されている企業の財務諸表データ(Excelファイル)をChatGPTに読み込ませ、企業分析と営業としてどのような提案をすべきか?を考えさせてみました。加えて、ChatGPTに想定営業会議を実施させ、仮想の議論をさせることでインサイトセールス(画期的な提案)の原案を考えさせました。

ChatGPTなどはあくまでも生産性向上のための道具です。道具は使い方次第で毒にも薬にもなります。営業として成約率を高めるためのキーファクターは「現場に出向く時間をどこまで増やせるか」が重要です。今の営業は、事務作業が増えており、なかなか現場周りだけしていれば良いという訳にはいきません。事務作業で何時間も掛けていたような業務をChatGPTを使うことで、時間短縮し、そこで余った時間を営業活動に割いていくこと。そのように改めて、行動スケジュールを見直していかなければなりません。営業活動のどの部分をデジタル化(DX)させていくのか?ということもこれからの営業は考えていく必要があるのではないでしょうか。

営業トレンドの理解②「決められない顧客が増えている」そんな時代の営業活動のポイント

続いての講義は、コロナを境にした顧客心理の変化についてです。コロナ禍で在宅勤務が増え、インターネットの活用が爆発的に伸びました。その影響で、インターネット上にはクチコミやSNS上の情報など情報量も飛躍的に伸びたのです。こうなると、なにか新しい取り組みをしようにも、その情報分析やファクトチェックなどに膨大な時間を咲かざるを得なくなりました。そして、あまりに膨大な情報を処理しきれなくなり、新しいことに取り組むことをしない「事なかれ主義」が増えてきていると言われています。

要するに「意思決定そのものをしない取引先」が増えているということです。

営業としては、決めてくれない相手ほど困ることはありません。「断るか決めるか?」どちらにせよ決断してくれれば良いのですが、現実問題として、「連絡が取れなくなる」「検討中が続く」など、意思決定そのものを避ける傾向が強くなっていますが、この対応策を考える必要があります。

今回の研修では、その対応策について解説し、決めてもらうための具体的なアプローチ方法を学んでいただきました。

営業の基本① 雑談は難しいスキル

営業の世界では、木戸に立てかけし衣食住という雑談のルール?がありますが、実は雑談というスキルは実はかなり高度なスキルの一つと言えます。特にコロナ禍では立ち話や雑談が極端に減少しました。ですので、立ち話やちょっとした雑談慣れしていない若手営業が非常に多くなっているのです。ですが、ベテラン営業からすれば、雑談なんて簡単でしょ、と一言で終わらせてしまいます。

特に、新規営業での雑談ほど難しいものはないでしょう。警戒している相手に雑談で心を開かせる。聞くだけで難しいと思いませんか?
営業研修では、実はここでコケている営業が多いわけですから雑談のポイントからお伝えさせていただきました。

実際、人間関係がうまく作れていない状況で、何気なく雑談(天気の話など)をしたところで上滑りした会話になるケースが多いですしあまり意味をなさない雑談をさせられていることも多いのではないでしょうか。でも、昔の営業マンの感覚で「雑談から入りなさい」とだけ指導されているからしているのですが、雑談ひとつとっても相手との関係し絵によって雑談すべきタイミングは変わりますし、雑談スキルというものを磨かないとなりません。

例えば、相手との関係性がまだ構築できていない段階(相手との関係性が対等でない)では、雑談から営業に入るのはNGです。この場合は、プロとしてのインサイト提案をズバッと行い「この営業は他のところとは違うかも」と一目置かれるようにする。認められてから、はじめて雑談に入る。逆に、対等な状況からスタートするルートセールスなどの場合や、自社商品が差別化できている場合(相手から来てほしいなど問い合わせが入った案件)などは、雑談から入ることが可能です。

何でもかんでも雑談から入りなさい、というのは今の時代には少し乱暴な考え方だと言えます。

ちなみに私の場合は、木戸に立てかけし衣食住ではなく、以下のロビン・ダンバーの友情の7つの柱を使うようにしています。7つの項目をベースに共通点を探っていく方法です。

ロビン・ダンバー友情の7つの柱

自分の営業スタイルを知る グループワークで自分自身の営業特性を理解

初日の午後はワーク中心で実施。複数人(6人程度)の会議場面を想定したロールプレイングです。複数人での交渉の場合、タックマンモデルというものをベースに場の支配を考えて、「場の支配」を意識していくことが重要となります。形成期、混乱期、統一期、機能期それぞれで商談の主導権を握っていく必要があります。営業パーソンとして、どのような関わりを持てば良いのか?をワークを通じて習得いただきました。

今の時代、BtoBでは意思決定者の数は5人以上と言われています。その5人以上の意思決定者のコンセンサスをどのように取るかが営業の役割の一つと言えます。ですので、複数の意思決定者に対してどのようにファシリテーションをしつつ、営業として場の流れをコントロールしていくか、最終的に自社・顧客にとってメリットが大きい落とし所に持ち込めるか?という非常に難しい舵取りを体験していただきます。

タックマンモデル

※初日の最後が終わり、帰りのエレベータでたまたま受講者の方と一緒になった際、「もう5時30分、7時間があっという間だったと私も含めてグループのみんなと話していました!」と言ってくれたことが何よりでした。

2日目は個人交渉に特化した営業研修

研修2日目は、個人営業場面を想定したロールプレイングからスタートです。
個々人で営業スタイルは異なりますが、自分自身の営業上の特性を把握することが重要です。

自分で自分のことはおおよそ15%ほどしか理解していない、という調査結果もあります。

  • 追い込まれると、逃げ腰になる人。
  • 一方的に捲し立てて、相手の話を聞かない人。
  • 相手の話を聞いているフリをしているけれど、実際にはあまり聞いていない人。
  • 相手の意見に迎合しすぎて、自分の意見を持てない人。
  • 勝手に妥協案をだして、値引きや条件交渉をしてしまう人。
  • 相手に攻められると急に弱気になってしまう人。
  • 最初は勢いよく交渉するも、後半息切れしてしまう人。

いろいろなタイプがありますが、自分自身の営業にはどのような特徴があるのか?を自己理解することからはじめます。
まずは自分の営業スタイルを知らなければ、改善しようがありません。

そのうえでどのような営業が効果的かを考えていただくのが2日目の目的です。

質問手法と営業に必要なストーリーを考える午後の講座

午後の講座では、SPIN話法などの営業手法を、ワークを通じながら習得していただく内容としました。

SPIN話法とは、アメリカの営業コンサルタントであるニール・エリックソン氏が考案した営業手法です。SPINは、Situation(状況)、Problem(問題)、Implication(影響)、Need-Payoff(解決)の4つの頭文字をとったものです。

SPIN話法では、まず顧客の現状を把握し、その上で顧客が抱えている問題や課題を明らかにします。そして、その問題や課題が顧客のビジネスにどのような影響を与えているのかを理解します。最後に、顧客が解決したい問題や課題を明確にし、その問題を解決することで顧客がどのような利益を得ることができるのかを提案します。

SPIN話法は、顧客の立場に立って話をすることで、顧客の信頼を得て、より効果的な営業を行うことができる手法です。

以下に、SPIN話法の具体的な例をいくつかご紹介します。

  • Situation(状況)

    • 貴社では、どのような商品やサービスを提供されていますか?
    • 貴社のターゲット顧客はどのような方ですか?
    • 貴社の競合他社はどのような会社ですか?
  • Problem(問題)

    • 貴社では、どのような問題を抱えていらっしゃいますか?
    • 貴社が抱えている問題は、ビジネスにどのような影響を与えていますか?
    • 貴社が抱えている問題を解決するために、これまでどのようなことを試みましたか?
  • Implication(影響)

    • 貴社が抱えている問題が解決されなければ、どのようなことが起こり得ますか?
    • 貴社が抱えている問題が解決されれば、どのようなメリットが得られますか?
  • Need-Payoff(解決)

    • 貴社が解決したい問題は何ですか?

    • 貴社が解決したい問題を解決することで、どのような利益を得ることができますか?

ただし、実際はSPIN話法を使いこなすのは非常に難しく、ポイントを押さえていかないとなりません。

ちなみに今回の研修では、ChatGPTを使ってSPIN話法の掘り下げを行わせる方法も試していただきました。
SPIN法という非常に難しい営業手法も、AIの組み合わせで理解を深めることができます。
受講生たちで考えたSPIN話法のアイデアをChatGPTに読み込ませて、さらに追加のアイデア、抜けている視点などを指摘してもらうわけです。
こうすることで想定していなかった新しい切り口のヒントも得られるわけです。SPIN話法 ChatGPTちなみに最新バージョンのChatGPTでは、SPIN法の項目をマインドマップにまとめさせることもできます。
下記の図は、サンプルデータですが、SPIN法でまとめた内容をマインドマップにまとめさせる以外にもExcelに書き出すなど、工夫次第で営業効率の大幅な向上が可能です。

ChatGPTマインドマップ

AAR(アフターアクションレビュー)で短期間で営業の戦力化

そして最後に重要なことが、営業としての振り返りとチーム共有です。

AAR(After Action Review)とは、ミッション完了後に実施されるミッション評価のことです。AARでは、ミッションの成功要因、失敗要因、改善点などを分析し、次のミッションに活かします。AARは、チームの学習と成長を促すための重要なツールです。AARを通じて、チームメンバーは自分の役割を振り返り、改善点を見つけることができます。また、AARはチームメンバーのコミュニケーションを促進し、チームの結束を強めます。

AARを効果的に実施するためには、以下の点に注意する必要があります。

  • AARは、ミッション完了後できるだけ早く実施してください。
  • AARは、参加者全員が自分の意見を自由に述べられる環境を作りましょう。
  • AARは、事実に基づいた評価をしてください。
  • AARは、次のミッションに活かせる具体的な改善策を立ててください。

AARを効果的に実施することで、チームの学習と成長を促し、チームのパフォーマンスを向上させることができます。

これまでの営業は、ひとりひとりの営業センスに任せている側面が強かったわけですが、これだけ情報量が増えている時代の営業はチームで情報を共有し、インサイトをともに考える。情報を集結させることでチーム営業力を高めることが必要不可欠です。そういう意味でもAAR手法は有効な手段となりえます。

今回の営業研修では、従来の営業手法に加えて、最新のAI(ChatGPT)を組み合わせたより効果性を高める方法をお伝えさせていただきました。
営業だけができること、AIに任せることなどを、切り分けることで、より精度の高い営業チームができていくのではないでしょうか。

受講されたみなさま、ご苦労さまでした!

受講者アンケート結果・感想

【成果を上げる営業パーソンの考え方と行動パターンを学ぶ①】
・チャットGPTの活用について、目から鱗でした。
・chat gpt
・様々な法則、テクニックを学びました。思い出しながら実際に使っていきたいです。
・ビジネスや営業としての理論など自分の知らないことがありました。
・補足説明があり、より分かりやすかった。
・自社に持ち帰ってどこまで活用できるか。
・感覚で感じていたことを言語化してもらった。
・営業の幅がひろがりました。
・チャットGPTの有用性が学べたのはとてもよかった。
・自分で実践してみないと完全には理解できないと思う。
・なんとなく感じていたことが、言語化されたように思います。
・chat GPTなど最新の技術にも触われて、とても勉強になりました。
・各種PCツールが良かった。
・経験や例を交えて説明下さり大変わかりやすかったです。
・チャットGPTを知り使いたいと感じました。
・難しい文言もあった為。
・自分で実践してみないと完全には理解できないと思う。

【成果を上げる営業パーソンの考え方と行動パターンを学ぶ②】
・ワークメイン、グループならでは、様々な意見を聴けて勉強になりました。
・chat gpt。
・SPINの質問など自身でさらなる理解を深めないといけないと感じました。
・補足説明がありより分かりやすかった。
・自社に持ち帰ってどこまで活用できるか。
・ロープレが参考になった。
・質問の大事も質が上がる(打合せ精度)。
・他の営業の方のやり方等参考になりました。
・自分の意見を主張する大切さを学べました。
・客の誘導の仕方を学べた。
・営業の場面ではないときのロールプレイングを実施したことで理解しやすかった。
・ロープレしてそれぞれの意見が出て学びました。

【営業力向上のための行動プラン】
・いずれ、管理職側に立った時の部下の指導方法を学べたと感じました。
・ロープレを通して自分の特徴を理解できた。
・補足説明がありより分かりやすかった。
・自社に持ち帰ってどこまで活用できるか。
・他の受講者の方の話も参考になった。
・プロセスの大事さを改めて実感。
・講師の方からフィードバックもあればなお良かったと思います。
・質問の方法が深くわかりました。
・自分の立ち居振る舞いを学べた。
・営業の質向上、自信になった。

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今回の研修とは若干カリキュラムは異なりますが、企業にあわせてカリキュラムのカスタマイズをさせていただいております。

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