まもなく努力義務期間が終了し、規模を問わず全企業が対象となるパワハラ防止法。「対策は万全」という企業もあれば、「法対応にやや不安がある」という企業もあるでしょう。そこで今回は、施行を迎えるにあたり「ここだけは押さえておきたい」というポイントをまとめました。最終チェックや、自社で整備できていない点の把握に役立ててください。
パワハラ防止法の概要
まずは、パラハラ防止法の基本的な内容についてのおさらいです。あわせて、『今さら聞けない!?パワハラ防止法とその対策とは』もチェックしてみてください。
2022年4月からいよいよ全企業が対象に
パワハラ防止法の正式名称は、「改正労働施策総合推進法」です。2019年の5月に成立し、大企業は2020年6月にすでに施行されています。一方、中小企業は、2022年3月末までを「努力義務期間」とし、2022年4月1日より新たに施行されます。 「改正労働施策総合推進法」の策定により、法律で初めてパワハラについての言及や定義がなされたことで大きく注目を集めています。
パワハラの要件
厚生労働省が「職場におけるハラスメント関係指針」内で示したパワハラの定義は以下の通りです。
- 優越的な関係を背景とした言動
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えている
- 労働者の就業環境が害されるものである
上記3つをすべて満たすものが、パワハラとして認定されます。
企業に求められる対応
パワハラの発生・蔓延を防ぐために、企業には以下の対応が義務付けられています。(参照:「職場におけるハラスメント関係指針」)
- パワハラに対する事業主の方針等の明確化や、周知・啓発
- 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するための体制整備
- パワハラの発生や相談に対する迅速かつ適切な対応
- 相談者・行為者のプライバシーの保護、申告により相談者側に不利益が発生しないための配慮
つまり、事前に会社としてのパワハラに対する対応を明らかにしたうえで、実際に起こってしまった場合は、スピーディーかつ適切に対応をするということです。
セルフチェックのすすめ
すでに対策済みの企業も、まだ不十分ではないかと不安な企業も、まずは自社のセルフチェックを行いましょう。
パワハラに対する事業主の方針等の明確化や、周知・啓発
パワハラ防止法では、事業主がパワハラについてどのような方針で対策を行うのかの明確化や、社内での周知・啓発活動が義務づけられています。具体的には、下記ができているかを確認しましょう
- パワハラを禁止する旨を就業規則に加える
- パワハラが発覚した場合の行為者に対する処分を規定し、就業規則に加える
- どういった行為がパワハラにあたるのか、また企業としてパワハラについてどのような方針で対策するのかを従業員に周知する
- パワハラ防止法についての社内方針の説明会や研修を実施し、従業員の理解度を高める
会社として「パワハラに対して厳しい姿勢をとる」と明らかにして、従業員に安心感を訴求することが大切です。また、発覚した場合の処置についての就業規則での明文化は、ハラスメントの抑止力としての役割も期待ができるでしょう。
社内での啓発活動としては、研修が効果的。従業員がハラスメントを「自分ゴト化」することが重要であるため、全員が参加しやすいオンライン形式で、ワークショップ・レポートを通して一人ひとりが発信の機会を持てる内容がおすすめです。
相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するための体制整備
パワハラが生じたときにすぐに対応ができるよう、社内の体制を整えておくことが大切です。そのために、下記が網羅されているかを今一度チェックしてみてください。
- パワハラの相談を受け付ける窓口を設置する
- 相談窓口の存在を周知する
- 相談の対応業務を行うのが従業員である場合、業務フローの決定や教育を実施する
- 定期的にアンケートを行い、社内の状況を把握する
パワハラが発生した際の相談先として専用の窓口を設置しましょう。中小企業の場合は従業員が相談員を兼ねる場合も多々ありますが、人によっては「相談しにくい」と感じるでしょう。そのため、外部委託の社外窓口がおすすめです。相談方法も、電話やメールなど複数の選択肢を用意しておきましょう。
相談のプロである第三者の方が、安心して実情を打ち明けられるという方も多いものです。
パワハラの発生や相談に対する迅速かつ適切な対応
パワハラに関する相談や従業員からの申告があった際、迅速かつ公正な対応が求められます。たとえば「上司が部下を怒鳴る」という行為があった際、それが命の危険を伴う作業現場の場合は「部下の安全を守るための叱責」の可能性もあります。一方、密室で他に誰もいない状態で長時間にわたり行われたのであれば「理不尽な罵倒」とみなされる場合が多いでしょう。スピーディーな事実確認と、その後の対処についてのフローを定めておくことが大切です。
- 相談や申告があった際の、事実確認→行為者の処分→再発防止策策定までの一連の手順を明確にする
- 相談・申告内容がパワハラに該当しなかった場合の対処について定める
- 事実確認を行う社内の担当者を選定する
対処が素早く、的確であるほど従業員の安心感は高まります。フローは運用の中でどんどん改善を重ねましょう。
相談者・行為者のプライバシーの保護、相談者側に不利益が発生しないための配慮
「社内で多くの人に知られたらどうしよう」「パワハラを相談したことで、評価に影響があるかもしれない」と二の足を踏むことがないよう、関係者のプライバシーの保護や、安心して相談できる環境への配慮が必要です。
- パワハラに対する事業主の方針を周知する際、相談におけるプライバシーの保護(相談者・行為者両方)についても説明する
- 相談を理由として、解雇や業務の評価が下がるなどの不利益が発生しないことを就業規則に定める
相談者の心理的安全性の確保が重要です。
プロの手を借りて、効率良い対策を
セルフチェックについては、東京労働局が配布している「自主点検表」をもとに現状把握をしてみるのもおすすめです。(参照:東京労働局「パワハラ防止対策(改正労推法) 自主点検」)
自社での対応に不安がある場合は、研修や相談窓口は外部に委託をするのも一つの方法です。
セミナー&研修ネットでは、オンラインでのパワハラ防止研修を用意しています。従業員全員が一堂に会するのが難しい今だからこそ、オンラインを検討してみてはいかがでしょうか。講義一辺倒ではなく、一人ひとりが考えながら学べるワークショップなどを取り入れている点も特徴です。研修を通じて、ハラスメントを「他人事」ではなく「自分ゴト」として捉える社内風土の醸成をサポートします。