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【パワハラ防止施行】もう一歩踏み込んだ対策を

2022年4月から、全ての企業を対象に施行された「パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)」。大企業から中小企業へと段階的に対象を広げる施策が取られ、ついに中小企業が加わりました。大企業に関しては2020年の6月から対策が義務化され、まもなく2年を迎えようとしています。「パワハラ防止法」が本格的に施行され、世の中はどのような変化を迎えようとしているのでしょうか。

パワハラ対策の課題とは?

パワハラ防止法が成立し、実際のところ企業では対策がとられているのでしょうか。2022年3月に、人材採用向けのサービスなどを展開するエン・ジャパン株式会社が発表したデータをご紹介します。

対策として多く実施されているのは「社内相談窓口の設置」

エン・ジャパン株式会社が企業の人事担当者に向けて「パワハラ対策」についてのアンケートを行い、497社から回答を得られた調査結果によると、66%の企業が「パワハラ対策を行なっている」と回答しています。

企業規模別に見ると、企業規模が大きくなるほど「対策を行なっている」という回答の割合が増えます。

  • 1〜49名の企業:45%
  • 50〜99名の企業:64%
  • 100〜299名の企業:75%
  • 300〜999名の企業:89%
  • 1000名以上の企業:90%

49名以下の企業でパワハラ対策を行なっているのは半数以下という実態が明らかになりました。

パワハラ対策を行なっていると回答した企業の中で、もっとも多かったのが「社内の相談窓口の設置(80%)」、次いで「就業規則に罰則規定を設ける(56%)」「パワハラの対策方針の明確化(45%)」でした。

ちなみに、「社外に相談窓口を設置」を回答した企業は26%で、多くの企業が外部委託ではなく内部のリソースで対応していることがみてとれます。また、「管理職向けの研修・講習会の実施」は44%、「従業員向けの研修・講習会の研修の実施は」は33%と、いずれも半数以下です。

結果をみると、多くの企業は自社内で施策を完結する傾向にあることがわかりました。パワハラ対策の義務化にあたり、さしあたって社内の人事部や総務部から人材を選出し、相談窓口の担当を担ってもらっているというところも多いのではないでしょうか。相談窓口のようなパワハラが起こった際の対策はもちろん、今後は「起こさせない」という方向性の対策にも取り組む必要があります。

課題は、管理職や役員の理解不足

同アンケートでもう一点注目したいのが、「パワハラ対策を進める上での課題」についての回答です。「管理職のパワハラに対する認識・理解が低い(55%)」、「パワハラの基準・境界が曖昧(43%)」 、「経営層のパワハラに対する認識・理解が低い(37%)」という結果でした。加害者になり得る立場の強い社員や経営層がパワハラに対する関心や理解が薄いと、職場の風土にも反映されやすいでしょう。

データ引用元:「497社が回答!「パワハラ対策」実態調査2022 ―人事向け情報サイト『人事のミカタ』アンケート―」

最近話題になった、大手外食チェーン・吉野家の炎上騒動も「ハラスメントに対する経営層の無理解」が一因としてあるのではないかと考えられます。常務取締役の男性が、大学主催の社会人向け講座の場で女性蔑視ととられる発言をし、受講者の発信によって明らかになったというのが騒動の大まかな経緯です。

発言内容をめぐり、連日ニュースサイトやSNSでも多くの意見が交わされました。外食チェーンといえば、たびたび「バイトテロ」でニュースを騒がせますが、今回の発端は経営層である役員というのも注目を集めた点の一つです。

経営層は、会社の名前を背負って外部に向けて発信をしたり、イベント・講演などに登壇したりする機会も多く、自身のふるまいが企業イメージに直結すると言っても過言ではありません。今回の騒動のような発言一つで、企業そのものの信頼や売上、株価などにも影響します。役員、一般社員などの線引きなく、全員がハラスメントやコンプライアンスに対する理解を深める必要があるでしょう。

パワハラ防止法には罰則が定められていないことを問題視する声もありますが、ハラスメント行為やそれに準ずる発言が明るみになることで、社会的な制裁は免れません。

これから有効になるパワハラ対策とは

インターネットやSNSの発達もあり、以前よりもハラスメント行為そのものが明るみに出やすい時代です。パワハラを防止するための施策は数あれど、何を優先するべきか判断に迷っている企業も多いのではないでしょうか。先に紹介したアンケートの結果から、相談窓口の設置を行いパワハラ事後の対策を進める企業が多いと明らかになりましたが、あわせて「パワハラを起こさせない事前の対策」の強化も欠かせません。

会社で指針を示すことは必須

企業としてパワハラに対する方針を明らかにし、社内に向けて発信することで、抑止力としての効果が期待できます。

  • 経営トップからの方針表明
  • 就業規則への罰則規定

上記のような取り組みが有効です。ハラスメント防止のための資料などを配布するだけでなく、「パワハラを容認しない」という姿勢を発言や実際の行動で従業員に示す必要があります。

研修で「パワハラを許さない」風土へ

研修や講習会などを導入していない企業は、「パワハラがあってはならない」という共通認識を強固にするためにも一度導入することをおすすめします。
セミナー&研修.netでは、受講者のポジションや社内の問題点などに合わせて選べる複数のハラスメント研修を用意しています。

管理職を対象とした「管理職ハラスメント防止研修」
自身が行為者にならないための部下とのコミュニケーションを学ぶ

新たな実効対策「リスペクト・トレーニング」研修
様々な世代や立場が集う職場で、お互いに相手を尊重しながら働くためのトレーニング

ハラスメント相談窓口研修
社内の相談窓口の担当者向けの研修

上記以外にも、幅広い研修をご提案しています。
研修はオンラインにも対応しているため、一度に大人数での受講も可能。講義のみにとどまらず、ケーススタディやグループワークなども織り交ぜながら、「自分ごと」としてハラスメントに向き合える内容が好評をいただいております。

職場のハラスメント・パワハラ防止対策特集

 

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