テーマ・部門別
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コンプライアンス・ハラスメント防止▼
- 顧客志向で実践するシン・カスタマーハラスメントとクレーム対応研修
- カスタマーハラスメント研修 〜カスハラへの早期対策が必要不可欠〜
- 下請法基礎研修【コンプライアンスの本質を知る】
- ハラスメント防止研修【リーダー層向け】〜30代、40代の8割がハラスメントを感じたことがある〜
- アンガーマネジメント研修
- ハラスメント研修【全社員対象】
- 管理職向けハラスメント対策研修 ~組織の価値を高める実践的アプローチ~
- ハラスメント相談窓口研修
- コンプライアンス研修・コンプライアンス相談窓口担当者研修
- ハラスメント防止研修【コミュニケーション良化とジェネレーションギャップ解消】
- SNS(ソーシャルメディア)利用のコンプライアンス研修
- リスペクト・トレーニング研修 〜職場内での相互リスペクト醸成し、ハラスメントを抑止する〜
- ハラスメント防止研修【オーダーメイド動画研修】〜飽きない動画、見られる動画、役に立つ動画で研修成果を最大化〜
- 任天堂で実践したサプライチェーンのCSR推進
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SNS・DX・AI活用▼
- デジタルマーケティング&販売促進研修
- SNS活用研修 〜企業SNSの効果的な運用方法と炎上リスクへの対策(Instagram、X、TikTokなど)〜
- SNS活用研修(幹部向け)
- Instagram活用研修【初級編】~インスタグラム運用の基本を学び、自社PRツールの武器に変える~
- Instagram活用研修【中級研修】
- Instagram活用研修【上級研修】
- ライブコマース活用研修
- X(旧Twitter)ビジネス活用研修
- SNS炎上対応・リスクマネジメント研修
- SNS(ソーシャル・メディア)活用研修 〜Twitter(X)・Instagram・YouTube
- SNS活用研修(コンプライアンス)
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ビジネスマナー・CS・接遇・クレーム対応▼
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営業力▼
- ディスカバリー営業研修 〜顧客と営業との新たな関係性を作る新営業スタイル〜
- 営業スキル伝承研修 〜ベテラン営業のスキルを伝承させて企業全体の営業力を高める〜
- 若手営業研修 〜経験学習モデルを使った実践的かつ効率的に営業力を高める
- 営業研修 〜明日からすぐ使える、成約率が高まる営業スキル向上〜
- 営業実践力向上研修
- 営業スキルアップ研修 〜仕事を拡大させるための営業スキル〜
- 営業研修 〜営業について徹底的に学び成果を最大化させる〜
- 電話営業の基本研修
- 質問力向上×プレゼン能力向上研修
- オンライン営業研修
- 営業パーソンのための顧客対応力研修
- 展示会成功講習・展示会で圧倒的に見込み客を獲得する具体策(出展者説明会対応)
- 女性営業研修〜女性の強みを活かすインサイト営業
- 営業パーソンのための実践マーケティング入門
- 住宅業界のための営業マーケティング研修
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情報セキュリティ・情報漏洩▼
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メンタルヘルス・ヘルスケア▼
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人材アセスメント▼
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グローバル・SDGs▼
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コミニュケーション・コーチング▼
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販売促進▼
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チームビルディング▼
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経理・財務▼
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評価・考課▼
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人事▼
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業務改善▼
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広報(広告・宣伝・CSR)▼
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マネジメント▼
- 下請法基礎研修【コンプライアンスの本質を知る】
- BCP研修
- 若手・中堅社員フォローアップ研修 〜組織をけん引する人材への行動変容を目指して〜
- リーダーシップ開発研修 VUCA・AI時代を切り拓く組織開発とは?
- ウェルビーイング経営研修
- 売れる会社がやっているたった四つの繁盛の法則
- 後継者育成セミナー(事業承継のための研修)
- マネジメントゲーム研修 〜スタッフに経営・財務視点を身に付けさせ生産性を高める〜
- インバスケット〈アセスメント編〉
- 事業承継 完全対策セミナー
- 緊急時のためのBCP(事業継続・復旧計画)策定研修
- 管理職向け 戦略マネジメントゲーム研修
- ロジカルシンキング研修
- リーダーシップ・コミュニケーション研修
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法務▼
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部下育成▼
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仕事の基本▼
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販売▼
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企画・プレゼンテーション▼
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生産管理▼
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企画・マーケティング▼
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ビジネスマインド▼
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新規事業部▼
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キャリアデザイン▼
階層別
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新人▼
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若手・リーダー▼
- ディスカバリー営業研修 〜顧客と営業との新たな関係性を作る新営業スタイル〜
- 営業スキル伝承研修 〜ベテラン営業のスキルを伝承させて企業全体の営業力を高める〜
- 若手営業研修 〜経験学習モデルを使った実践的かつ効率的に営業力を高める
- 営業研修 〜明日からすぐ使える、成約率が高まる営業スキル向上〜
- 若手・中堅社員 事務・総務職研修
- 若手・中堅社員のための事務・総務職研修 〜実務の基礎と「振る舞い力」向上に向けて〜
- 若手・中堅社員フォローアップ研修 〜組織をけん引する人材への行動変容を目指して〜
- 入社3年目能力強化研修〜次世代リーダーへの能力開花に向けて〜
- リーダーシップ開発研修 VUCA・AI時代を切り拓く組織開発とは?
- 女性のキャリアデザイン講座 〜転換期を生きる私達の人生戦略〜
- 営業研修 〜営業について徹底的に学び成果を最大化させる〜
- 電話営業の基本研修
- メンター育成研修 〜新入社員へのメンタースキル向上〜
- 店長研修
- 営業交渉術研修 〜交渉計画策定から交渉ロープレまで~
- 財務諸表の読み方研修
- リーダーシップ・コミュニケーション研修
- メンター研修
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中堅▼
- 公平評価で組織力を向上する!人事評価者研修
- ディスカバリー営業研修 〜顧客と営業との新たな関係性を作る新営業スタイル〜
- 採用面接官向け研修
- 1on1面談の進め方講座
- 営業スキル伝承研修 〜ベテラン営業のスキルを伝承させて企業全体の営業力を高める〜
- 若手・中堅社員 事務・総務職研修
- 若手・中堅社員のための事務・総務職研修 〜実務の基礎と「振る舞い力」向上に向けて〜
- 若手・中堅社員フォローアップ研修 〜組織をけん引する人材への行動変容を目指して〜
- リーダーシップ開発研修 VUCA・AI時代を切り拓く組織開発とは?
- 営業研修 〜営業について徹底的に学び成果を最大化させる〜
- マネジメントゲーム研修 〜スタッフに経営・財務視点を身に付けさせ生産性を高める〜
- 営業交渉術研修 〜交渉計画策定から交渉ロープレまで~
- 財務諸表の読み方研修
- メンター研修
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管理職▼
- 公平評価で組織力を向上する!人事評価者研修
- ディスカバリー営業研修 〜顧客と営業との新たな関係性を作る新営業スタイル〜
- 採用面接官向け研修
- 1on1面談の進め方講座
- チーム構築研修【小規模組織向け】
- リーダーシップ開発研修 VUCA・AI時代を切り拓く組織開発とは?
- 女性のキャリアデザイン講座 〜転換期を生きる私達の人生戦略〜
- 管理職向けコミュニケーション研修
- ウェルビーイング経営研修
- 管理職向けハラスメント対策研修 ~組織の価値を高める実践的アプローチ~
- 「身だしなみ接遇研修」「管理職向け身だしなみ・服装研修」
- リスペクト・トレーニング研修 〜職場内での相互リスペクト醸成し、ハラスメントを抑止する〜
- マネジメントゲーム研修 〜スタッフに経営・財務視点を身に付けさせ生産性を高める〜
- 管理職のための労務管理研修
- 管理職研修〜管理職に求められるマネジメントの基礎〜
- 管理職向け 戦略マネジメントゲーム研修
- 営業交渉術研修 〜交渉計画策定から交渉ロープレまで~
- 女性が働きやすい職場をつくるための男性管理職向け研修
- リーダーのためのエンゲージメント研修
- 管理職向けアセスメント研修
- 危機に瀕したときの広報対応研修(プレスリリース・記者会見)
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役員・経営者▼
能登半島地震に改めて学ぶ危機管理の要諦~災害イマジネーションを鍛える~
令和6年能登半島地震の発生
元旦に発生した地震は、正月番組ですっかり正月気分に浸っていた気分を瞬時に恐怖に貶めた。16時10分に石川県能登地方で発生したこの地震は、マグニチュード7.6、最大震度7を観測し、令和6年能登半島地震と命名された。発生後は、輪島市を最大1.2mの津波が襲来したとされ、沿岸部では津波による被害が発生した。
この地震により実に200名以上の方々が犠牲となった。亡くなられた方々に衷心より哀悼の意を表すると共に、ご家族・親族の方々には衷心よりお悔やみ申し上げたい。また一日も早く地震発生前の平穏な日々、家族が安心して一緒に過ごせる日がやってくることを願ってやまない。
地震発生から3週間を経過しようとしているが、未だ安否不明の方々もおられ、今なお断水で思うように水が使えない地域が多くあり、寒さも相まって、過酷な避難生活を強いられていることを思うと本当に心が痛む。
能登半島は2007年にもM6.9震度6強の能登半島沖地震が発生している。2000年にはM6.2の石川県西洋沖地震、1993年にはM6.6の能登半島沖地震と地震頻発地域であることが分かる。こうした地震頻発地域であるという背景もあってか、実は筆者も、新潟県中越地震以降、2010年前後に珠洲市で市町村防災研修を実施したことがある。珠洲市が災害対策を熱心に考えられていたからこそ、防災研修に招聘されたのだと考えている。珠洲市役所を訪れた際のことは明確に記憶している。研修では、いざ地震が発生すると、停電になり、通信が使えない状況が起こり得るので、災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板等を活用し、家族の安否を確認することの重要性を理解してもらうように努めたことを昨日のことのように思い出す。珠洲市が甚大な災害を被っている報道を見るたびに、あの時お世話になった市役所の方々、また受講された方々が全員無事であること、また一人でも多くの方が助かっていてほしいと願わずにはいられない。
出典:地震調査研究推進本部地震調査委員会令和6年度能登半島地震の評価
能登半島地震の被害の概況と復旧状況
地震発生から3週間が経過し、地震や津波、BCP、地域防災に係る有識者や専門家から今回の能登半島地震について様々な見解が登場するに至っている。当初最大で1.2mとされた津波が実は6mに及んだのではないかという調査研究やそもそも能登半島地震の研究がまだ浅いがために、能登半島地震に対する警戒が不十分だったのではないかとする意見等も見受けられるようになっている。
そこでまず、全様の詳細はまだつかめていないまでも、およその被害が分かっているので、被害の概要を認識するところから始めてみたい。非常災害対策本部の報告によれば、1月13日12:00現在で、死者215名、負傷者1,183名、全壊656棟、半壊424棟、住家被害が合計で6,511棟に上っている。また、石川県、富山県、新潟県で17件の火災が発生した。とりわけ輪島市での火災による被害は甚大で、輪島の朝市で知られる市場が全焼している光景が何度も報道されている。警戒レベル4の避難指示の対象者は1,100名に及んだ。ライフラインに関しては、断水が氷見市14,000戸、七尾市21,800戸、輪島市10,000戸、志賀町8,800戸、珠洲市4,800戸、能登町8,800戸など合計105,300戸となっている。電力では、11,700戸が停電している。都市ガスについては1月13日時点で、ほとんど解消に向かっている。通信については、NTTドコモでは、七尾市、珠洲市、輪島市等で北部7割の面積で障害が発生したものの、1月12日14時時点で2割強まで回復したとされ、他の通信キャリアも同日までにかなりの面積をカバーできるまでに回復したとされる。また、1月19日時点で緊急復旧を終えた道路の区間は主要な幹線道路がおよそ9割、沿岸部を通る国道249号及び8割で緊急復旧を終えているとされるが、半島北部の沿岸沿いの国道を中心に大きな被害が主注したエリアでは未だ復旧せず、地震による土砂崩れ等を警戒しながらの復旧作業が続いているとのことである。この他、輪島市で防潮堤や海沿いの岩礁がおよそ4m隆起したことなどが報告され、数千年に1階の現象との指摘もある。3週間が経過してもなお断水はほとんど解消されておらず、2月末から3月末になるのではないかと推測されている。
阪神・淡路大震災や東日本大震災、熊本地震の教訓は活かされたのか?
さて、上記の通り、被害は甚大でまだまだ復旧には時間がかかると思われるが、これほどの被害が発生してしまったのは、これまでの大規模災害の教訓が活かされていなかったのではないかとの疑問が湧いてくる。県外から応援に駆け付けた救護班が被災地で活動する中で聞こえてきたのが、実は、今までの災害時の教訓が活かされていないという声である。断水の影響で基幹病院が医療破綻に陥っているといった報告や上下水道の復旧がなされておらず、道路が壊滅的で物資が届かない、あるいは、避難所でも段ボールベッドが足らずに冷たい床で寝ている現状に、救護班が入っているのに対応できていないことに驚きを禁じ得ないといった声が聞こえてくる。
そもそも阪神・淡路大震災は防災の在り方のターニングポイントとなった災害である。6400名余りの犠牲者の内、建物倒壊による圧死が8割以上に上り、旧耐震基準の木造建物が多かったという反省に基づき、国は耐震化を強力に推し進めるべく、国土強靭化計画を策定して推進した。建物が倒壊したことで道路がふさがれ、緊急車両が通れない、あるいは耐震化が図られていない水道管が破壊されたことで消防活動に支障をきたしたことなどが教訓となり、建物や水道管、貯水槽等のインフラの耐震化が進んだ。これにより、2003年に76%だった全国の住宅の耐震化率は87%にまで上昇し、神奈川県や東京都では90%を超えるに至っている。一方で、石川県輪島市の多芯化率は2022年で46%、珠洲市は2018年度で51%であった。水道管についても石川県の耐震適合率は36.8%に留まっていた。このように、阪神・淡路大震災で明らかとなった耐震化の必要性が石川県、特に能登半島では周知・徹底されていなかった可能性がある。背景には過疎化と高齢化で、建替えを強力に推し進めづらい事情があったと考えられる。名古屋大学の福和伸夫名誉教授の「地方では限られた財源でインフラを強化するのが難しい面もあった」との指摘もある。
しかしながら、阪神・淡路大震災で得られた教訓を活かしていれば、これほどまで被害は拡大しなかったのではないかと考えてしまう。先に紹介したように、能登地方は幾度となく大きな地震に見舞われてきている。もし、阪神・淡路大震災を惹起せしめた、兵庫県南部地震クラスの地震が襲来したら、どのような被害が発生するだろうとのシミュレーションは容易にできたのではないだろうか?能登半島の地理的な条件下で、もしひとたび大地震が発生すれば、沿岸部を通っている基幹道路が寸断され、急な山地で道路も狭く、迂回することが難しい状況下で、一体どのようにして物資を運搬することができるだろうか?物流が滞り、陸路での物資の搬入は厳しくなり、空路や海路を使わざるを得なくなるのではないかと想像することは難しくないように思える。
室崎益輝神戸大学名誉教授は、「震災の教訓が能登に伝わっていない」とする。特に、避難所の限界が浮き彫りになったとし、インフラの復旧が見通せないため、石川県や政府が県内の宿泊施設や北陸各県への広域避難を推進するが、高齢者だけでなく、コミュニティー単位で動くことが大切で、地域に残る人のため、集落ごとの小規模な仮設住宅の建設も重要だと警鐘を鳴らす。背景には、阪神・淡路大震災で、抽選で高齢世帯などを優先して仮設住宅への入居を進めた結果、コミュニティーの分断を生んだとの思いがある。この点は実は、新潟県中越地震の際にも指摘された点である。当時孤立した山古志村の村長が全村移民を決めたが、結局コミュニティーを分断したために、体調の変調を訴える住民が続出したことを看過してはならない。すなわち、できる限りコミュニティーは維持すべきというのが筆者の持論でもある。
室崎氏はさらに、初動対応の遅れを指摘する。通常であれば、発災から2、3日後までに自衛隊が温かい食事やお風呂を被災された方々に提供してきたが、今回の能登半島地震では、緊急消防援助隊の投入が小出しで救命ニーズに追い付いていないとする。本来は想定外を念頭に、迅速に自衛隊、警察、消防を大量に派遣すべきだったとするのである。その背景には、被災状況の確認を直後にできなかったことがあるとする。このため、国や県のトップがこの震災を過小評価してしまったのではないかと推察している。すなわち、最大の問題は、被災地で何が起きているかを把握するシステムが機能しなかったことにあるとするのである。私自身も同じように感じていた。現地の被災状況が分からないために、迅速な意思決定ができない状況に追い込まれてのではないかと感じていた。まずは、情報収集が何より重要であり、そのためにどのようにして情報を収集するかシミュレーションしておくべきなのであって、今回の対応は聊か遅いと言わざるを得ない。そもそも、あの阪神・淡路大震災の際に危機管理が機能しなかったと反省の下に、災害対策本部を30分に以内に立上げ、各省庁から情報収集を行えるように体制を刷新したのではなかったか?もう一度、災害対策本部における情報収集の在り方や意思決定の在り方を議論する機会としたい。
さらに、室崎名誉教授は、初動対応についても、自衛隊、警察、消防の邪魔になるとして、民間の支援者やボランティアが駆けつけることを制限したが、初動から公の活動だけでは無理があって、民の活動も必要であり、医療看護や保健衛生だけでなく、避難所のサポートや住宅再建の相談などに専門のボランティアの力が必要だとしている。想定外の事態であるという認識の下、 苦しんでいる被災者を目の前にして、「道路が渋滞するから控えて」ではなく、「公の活動を補完するために万難を排して来て下さい」と言うべきであったとする。結局のところ、マンパワー不足と専門的なノウハウが欠如したために後手後手の対応にならざるを得なくなっているとする。政府は「お金は出します」というリップサービスではなく、関連死を防ぐなどの緊急ニーズに応えられる具体的な対策を提供すべきで、「必要な人材を出します」というサービスに徹するべきとしている。
この点については、今後の議論を待つ必要があるが、私見では、被災地の状況が明らかになっていない段階でボランティアに万難を排して来てください、というのはクライシスマネジメント及びリスクマジメントのあるべき姿として望ましくないと考えている。すなわち、ボランティアにも災害対応力がある人、行政が求めている支援が何か、被災地でも取られている支援が何かをきちんと把握して必要な支援を行える人材、何よりも自分自身のリスクマネジメントがきちんとできる人でなければ、かえって二次災害を惹起せしめ、現場を更に困難ならしめることになりかねない。筆者の提案は、災害ボランティア登録制度である。予め研修や講習を受け、ボランティアとして現地に入って支援を行うことができる適格がある人材を送るようにすべきである。このため、こうしたネットワークの構築を国が主導し、必要な人材を県の要請に応じて投入するのである。こうすれば、被災地の手を煩わせることこともなく、必要な人材を必要なだけ現地に派遣することができるようになる。これとても、いざ災害が発生してからではなく、いざという時に備えて、平時からこうした人材の育成・登録のためのシステムを構築しておくことが重要ということである。あくまでも試論であるが、今後是非検討してもらいたい施策である。
また、東北大学の今村文彦教授が指摘するように、震災後の応急仮設住宅など用地確保や移転かさ上げ化をめぐる合意形成が難航した点などの教訓を活かし、事前復興の重要性も改めて認識する必要がある。
このように、阪神淡路大震災や東日本大震災等の教訓が必ずしも活かされていなかったことは非常に残念ではあるが、今回の能登半島地震を教訓にして、改めて教訓を見直してみることも必要なのではないかと筆者は考えている。
危機管理の要諦-地域防災もBCPも災害イマジネーションで備える-
能登半島の地理的特性で、山地の傾斜が急なうえ、ほとんど緑地であり、半島である。どうしてもルートが限られるため、復旧復興を困難ならしめることは容易に想像できる。国道249号線は能登半島を走る大動脈であり、その大静脈が大地震に遭遇し、土砂崩れや地割れ、あるいは液状化等でずたずたに分断された場合にはどのようなことが起こるのか、事前にシミュレーションできたはずではないかと思うのである。
既に私達は、阪神・淡路大震災により高速道路が倒壊し、物流が停滞した教訓を得ているし、東日本大震災でも道路が大打撃を受けて、物流に大きな障害が生じた教訓も得ている。東日本大震災では、国土交通省東北地方整備局や宮城県、自衛隊が協力して、くしの歯作戦と称する道路啓開を決行したことはよく知られている。幹線道路が使えなくなった場合の備えをシミュレーションしておくことで、道路を啓開するための事前の協力体制を構築しておく、迂回路を設けておく、あるいは海路を使ったアクセスの確保等の複数の対策を講じることができたように思う。気象条件の問題をクリアすることを条件として、道路が使えない場合の空路を使った物資の運搬も想起される。
私は能登半島地震が発生した直後に、直感的に直ぐにホーバークラフト(エアークッション艇)を想起した。道路が寸断され、空路も気象条件が厳しく、かつ平地が少ない条件下で着陸が困難だとしたら、仮に4m港が隆起していたとしても、水陸両用のホーバークラフトなら物資を搬入できるし、場合によっては重機類も運搬可能であると考えたのである。報道を見ると、実際に、自衛隊が。50トンの戦車まで揚陸させられる水陸両用のLCAC(エアークッション定)やその母艦となる輸送艦おおすみを出動させて、道路啓開用の重機やトラックを揚陸してい艇る。ただし、その揚陸についてもことはそう単純ではなく、全長28m、全幅14m、排水量85tで上陸できる箇所は限られ、その後陸揚げされた重機やトラック類を砂浜から一般道に至るまでに、道路マット施設車など上陸支援教材も必須であり、トラック等がスタックしないような配慮も必要なことを併せて考える必要がある。
最後に、危機管理の要諦について述べておきたい。これは他のコラムでも述べていることであるが、人は、次に何が起こるかということがイメージできなければ絶対に適切な対応をすることができない、これを災害イマジネーションと呼ぶが、私たちは、いざ災害が発生したら、ある特定状況下で刻々と状況が変わる中で、どのようなことが起こるかを想像できる力が肝だということである。被害想定にリアリティーがあればあるほど、災害発生時の想定外をなくすことができる。すなわち、災害イマジネーション力を養成することで、事前の対策を効果的なものとすることができ、また、災害発生後は常にどんなことが起こりそうかをイメージ(想像)しながら、適切な対応をすることが可能になるということである。災害が発生する前の被害抑止、被害階軽減、災害予知と早期警戒という被害発生前の事前準備がリスクマネジメントであり、災害発生後の被害評価、緊急災害対応、復旧、復興がクライシスマネジメントである。
地域防災にしても、企業・組織のBCPにおいても、危機管理の要諦は災害イマジネーションにある。すなわち、地域防災では様々な自然災害(ハザード)や新型ウィルス感染症が発生した場合に、どのような被害が発生するのかをできるだけ具体的にイメージすることであり、企業・組織のBCPについては、これらに加えて、コンプライアンス、情報漏洩等のリスクが顕在化した場合の被害想定をできるだけ具体的にイメージすることである。そして想定した被害を未然に防ぐため、あるいは被害を軽減するためにはどのような方策を講じたらいいかを検討することで適切なリスクマネジメントが可能になる。一方で、クライシスマネジメントは、災害発生後は想定外の事態に想像力を駆使して、この後どのようなことが起こりそうかを先読みして対応することが必要になる。クライシスマネジメントにはより一層災害イマジネーションが求められることになる。
では災害対応力を向上させるための災害イマジネーションを養成するためにはどうしたらいいのか?それには、具体的な状況を付与することで、その先に何が起こるかを想像(イメージ)する訓練をする以外にない。要は、訓練や演習である。様々な状況をイメージすることで想定外を可能な限りなくすことがクライシスマネジメントには重要な要素になる。
今回の能登半島地震はまさにこうした災害イマジネーション、大地震が発生したら、自分がいる状況下でどんなことが起こりそうか、地理的な条件下ら、主幹道路が寸断される、迂回道路も土砂災害等で不通になる、上下水道が使えなくなる、そして、直下型地震が来たら、旧耐震基準の建物は倒壊する可能性が高く、下敷きになる可能性が高い等イマジネーションを働かせる訓練や演習を行うことで、災害が発生する前の対策(リスクマネジメント)を講ずることができたように思うのである。
今回の自衛隊のホーバークラフトの揚陸についても、日頃の鍛錬の賜物であると言える。
平素から、日本各地の沿岸で、陸上自衛隊が重機を揚陸させる訓練を続けていたからこそ、国土交通省の重機(油圧ショベル)等を安全に揚陸することができたのである。別件ではあるが、羽田空港の事故についても同じことが当てはまる。日頃の鍛錬があったればこそ、軌跡が起きたと言える(羽田空港事故については他のコラムで取り上げているのでそちらを参照されたい)。
最後になるが、JAIROが提供するBCP研修・セミナーはこうした災害対応力を養成するために災害イマジネーション力がつくように設計されている。災害対策の本質、地域防災の本質、BCPの本質が何であるのかを、マニュアル至上主義ではなく、いざという時、主体的に判断できる人材の養成を目指している点が特徴である。つまり、マニュアルがなくても動ける人材の養成である。また、JAIROの地域コースや防災リーダー養成コース、災害対策の基礎知識(eラーニング)、BCP研修を受講頂ければ、日業業務におけるパフォーマンも向上し、組織・社内のリスク・コミュニケーションが活性化され、コンプライアンスの強化をもたらすことができる。能登半島地震を契機に、自社のBCPを見直したい、演習がうまくいかない、いざという時、本当に機能するか地震がないといった課題や不安をお持ちの方はぜひこの機会にJAIROの防災・BCP関連コースの受講を検討頂きたい。
2024年2月19日にBCPセミナー(無料セミナー)を開催いたします。
執筆者:木村正清
お知らせ
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- ” カスハラに新たなアプローチを提案する一冊が登場”『お客とお店のためのシン・カスハラ対策~カスハラ対策で伸びる店・カスハラで潰れる店』を出版(2024年11月8日発売)
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