テーマ・部門別

階層別

“営業の練習”のススメ-その8-

商談成功率を高める“自分の決め事”を作るのもいい

今度は一転、サッカーの話です。取り上げるのは、ある日の日経新聞の記事にあった、先のサッカーアジア杯、カタール戦で1点目をあげた香川真司選手の言葉です。

覚えている人もいると思いますが、その1点は客観的に見ると香川選手というより(確かほとんどは)岡崎選手のゴールでした。いわゆる「ごっつぁんゴール」というやつです。最後の最後に香川選手が頭で押し込んだ形にはなったものの、そこで触らなくてもおそらくボールはゴールに転がり込んだに違いありません。

秀逸なのは、それに対する香川選手の回想でした。

「あのゴールは自分の良さが生きたものだと思う。パスを出した後、止まらずゴール前に走り込むようにしている。ムダになるかも知れないけれど、ボールがこぼれてくる可能性もあるから」(記事より引用)

それを読んで私は「なるほど!」と感心しました。これは得点を狙うサッカー選手にとってはなにより大事なことです。香川選手は、独創的な習慣、自分に対する決め事を作ることで、得点の確率を格段に高めていました。これこそが上の創意工夫の好事例と言えるでしょう。

「パスを出したら、止まらずにゴール前に走り込む」

ついでにこの考え方を是非、営業活動にも組み込みたいものです。

どうするかと言うと、例えば受注率や商談成功率を高めるために、「○○したら、必ず、□□□する」という自分に対する決め事を作ります。

サッカーのゴールと商談のクロージングは状況がよく似ていますから、例えばパス(商品の説明等)の後には必ず、

「これについて御社の状況に即して具体的にご提案いたしましょうか?」とか「(ご購入は/提案のご要望は)いかがですか?」

等と聴いてみるのもよいでしょう。(ゴール前に走りこむように。必ずしもそれが正解というわけではありませんが、それは香川選手と同じように、ゴール/クロージングの確率を格段に高めてくれるに違いありません)

営業の練習に役立つ本

今回は、以下の2冊をご紹介します。

●「実践ゲリラ・マーケティング入門~お客の心に飛び込め!~ /ジェイ・C・レビンソン ウィリアム・リード共著(講談社)」

この中で、特に私が気に入っているのは、「マーケティングは結果でなくプロセスであり、忍耐力を要するもの」という考え方です。

営業でも忍耐力を持ってプロセスを着実に進めていかなければならない。(念のため、それは単に決まった手続きを漏れなく行うということではありません)

例えば「商品等を買ってもらうために、何度、売り手のメッセージが相手(顧客)の心に浸透しなければならないか」という点について、同マーケティングの考え方では、それが9回だといいます。さらに、「その3回のうち2回について、相手は注意を払っていない」。

つまり、9回相手にメッセージを届けようとするなら、少なくともトータル3×9→27回のメッセージを発信しなければならないということになります。またこの間、必ずしも相手から何らかのよい反応が得られるわけではありません。(だから多くの売り手はその前にアプローチを止めてしまう)

そして途中、9回メッセージを発信して、3回相手にそれを届けることが出来たとき、はじめて「どこかで見たことがあるぞ」、「これだけマーケティングを継続しているのだから成功している会社に違いない」等と相手が思い始めるのだそうです。

ならば短期間で立て続けに27回メッセージを発信しても駄目だということになります。一定の期間をかけて地道にアプローチを継続しなければならないでしょう。

「見込みのない先は早めに見切って、新たな見込み先にシフトしたほうがよい」等という考え方もありますが、それがあまりうまくいっていないのは(だとすれば)、忍耐力が足りないからでは?

●「全米No.1のセールス・ライターが教える 10倍売る人の文章術/ジョセフ・シュガーマン著(PHP)」

全米No.1のセールス・ライターと言われるジョセフ・シュガーマン氏は、「広告の目的は、唯一、コピーを読ませることにある」と言っています。

もっと具体的に言えば、それは広告の「第一センテンスを読ませる」ことです。そして第一センテンスの目的は、唯一、第二センテンスを読ませること、さらに第二センテンスの目的は、唯一、第三センテンスを読ませること、・・・となります。

私はこの考え方がとても気に入っています。そうした思考は広告だけでなく、セールス現場でも共通のものだからです。

例えばセールス現場における営業動作(上の「商談体幹」)を、[イントロ]⇒[相手の状況の明確化]⇒[相手の問題の明確化]⇒[問題の掘り下げ]⇒[解決すべき問題の絞込み]⇒[提案]⇒[クロージング]とした場合、

[イントロ]は、次の[相手の状況の明確化]のためにあり、
[相手の状況の明確化]は、[相手の問題の明確化]のために、
[相手の問題の明確化]は、[問題の掘り下げ]のために、
[問題の掘り下げ]は、[解決すべき問題の明確化]のために、
[解決すべき問題の明確化]は、[提案]のために、
そしてそれは[クロージング]のためにある、と考えれば、それぞれのフェーズ(部位)で「今、何をどうすべきか?」が明確になってくるでしょう。
これは営業で必要な先行マネジメントにおいても、とても大事な視点なのです。

書けるということは、即、できることに直結します。できるのは本番においてだけですが、書くことはいつでも練習できます。

では今回はここまでです。次回のコラムもお楽しみに。

最後に、ネット講座「ルーズリーフに8つのフォームを書いて営業の売上がドンドン上がる講座」も、是非一度覘いてみてくださいね。

コラム執筆コンサルタントの関連研修

日々の活動に、即、活かすことが出来る営業の実務に直結したロジカルシンキング(論理的思考)の考え方・やり方を理解します。また、営業の上達のために取り組むべき具体的な練習方法を身につけます(ツールを活用した効果的な方法です)。