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知識習得型のハラスメント防止研修の限界と対応策

形式だけのハラスメント防止研修の限界と対応

パワハラ防止法施行にともない、多くの企業でハラスメント防止研修が実施されてきたのではないでしょうか。

しかしながら、そのハラスメント防止研修によって従業員ひとりひとりが当事者意識をもってハラスメント防止の意識が高まり、職場全体で向き合っているかと問われると疑問符がつく企業もあるのではないでしょうか。本当にそのハラスメント防止研修は効果があったのか? その効果性について改めて考えるべきかもしれません。

最近、某引越会社の集団イジメの現場動画がSNS上で拡散され、逮捕者が出る事態に発展してしまいました。ちなみに、その企業でもハラスメント防止研修は実施されていたとのことです。

また、別のケースでは、会社の上司からのセクハラに近いLINEのメッセージが、セクハラを受けた女性側にてSNS上で公開され、拡散、大きな問題になっています。セクハラに対する認識のズレは未だに解消しきれていなない状況です。そして、昔は蓋がされていたような事象が、大きな問題として明るみに出てくるでしょう。

ハラスメント防止研修は、法律上、必要だからとりあえず実施した、という企業も多いと思いますが、実態としては何ら行動が変わっていないとすれば、企業にとっては大きなリスクを常に抱え続けているのと同じです。

SNS時代の今、ハラスメント体質の企業は、常に危機にさらされている状況と捉える必要があり、たった1人のハラスメント事案が、企業全体の業績を大きく左右してしまう時代なのです。隠蔽や問題に蓋をすること自体が不可能な時代であり、抜本的に企業体質そのものを見直していくことが求められています。

そういう意味でも、単なる講義型の知識提供型のハラスメント防止研修の限界だと思います。「感動」という言葉はあれども「知動」という言葉はないのを考えるとわかりますが、知識で人は動かない。感情で人は動くものです。知識だけを伝えるハラスメント防止研修では、企業体質そのものを変化させていくことは難しいです。まして、2,3時間のハラスメント防止研修をたった1回実施しただけで行動変容まで促すのは、至難の業と言えます。

ハラスメント防止研修は、知識を教える場ではなく、感情で行動につなげる場所

パワハラ防止法やパワハラの6類型など、知識だけを学ぶのであれば厚生労働省のHPを読めば事足りるでしょう
しかしHPに掲載されているような、文章を知識として覚えればハラスメントが無くなるのであれば、ここまで様々な問題が噴出してはいないはずです。

もちろん、知識として「ハラスメントとは?」と知っておくことは必要ですが、それ以上に、「当事者意識をもたせられるかどうか?」「危機意識を自分事として捉えられるか?」「自分自身の行動はハラスメントになっていないか? …を常に自問自動できるか?」 これらを自身の頭で考えられるようにするのが、これからのハラスメント防止研修です。

ハラスメント防止研修の成否は、相互の理解と、関係性の良化にあり

ハラスメント問題には、必ず、2者以上の人間が関与します。
そしてそのハラスメントが起こる原因のひとつとして「ギャップ問題」です。

エイジギャップ(年齢の違い)に代表されるように、年代の違いで常識や価値観が異なります。

50代と30代では「今日、飲みに行かない?」と誘われた際の捉え方に大きなギャップが生まれる可能性があります。絵文字を多用し、プライベートにまで踏み込むようなメッセージは「おじさん構文」などと言われ、先般もNHKで特集されていましたが、これもエイジギャップ、ジェネレーションギャップであり、昔のコミュニケーションが今でも通用するはずだという勘違いから起こるものです。

会社内でのコミュニケーションのあり方や距離感の取り方は大きく変貌しており、改めて、相互理解の促進とお互いを思いやる姿勢を促すことが求められています。

こう考えると、ハラスメント防止研修の多くは、階層別(一般、管理職で分ける)に実施されることも多いのですが、相互の価値観のズレや認識のズレが問題だとすると階層を分けずに、階層を混在させるハラスメント防止研修なども有効な手段となりえるのではないでしょうか。

ただし、上司と部下を同じグループに混ぜることで、部下が思うように発言できなくなることもありますので、講師がしっかりコントロールすることと、研修のルールを明確にする(・上下関係は持ち込まない ・この場で話し合われたことは研修の外には持ち出さない、など)など環境整備は必要不可欠でしょう。

ハラスメントが起こる原因をメンバー間で話しあい共有することも大切

ハラスメントが起こるギャップや原因は多岐にわたりますがこのような条件をひとつひとつメンバーで共有し、理解を深めることがまずは重要ではないでしょうか。

  • パワーバランスの不均衡:上司と部下、教師と学生などの関係において、一方が他方に対してより多くの権力を持つ場合、ハラスメントはより頻繁に発生します。パワーバランスの不均衡は、一方のパーティーが他方をハラスすることを可能にし、被害者が自己防衛または報告する能力を阻害します。
  • 社会的・文化的規範の違い:異なる文化や社会の背景を持つ人々が一緒に働く場合、何が適切で何が適切でないかについての認識が異なる可能性があります。これは、意図せずしてハラスメントの行動を引き起こす可能性があります。
  • コミュニケーションの不足:ハラスメントは、一方が他方の感じ方を理解できない、または無視する場合に発生します。適切なコミュニケーションと理解が不足していると、誤解や誤解が生じ、それがハラスメントにつながる可能性があります。
  • 意識の欠如:ハラスメントの何が問題であるか、なぜそれが問題であるかを理解していない人々は、自身の行動がハラスメントであると認識しない可能性があります。教育と訓練はこのギャップを埋めるのに重要です。
  • ストレスや疲労:ストレスや疲労にさらされると、人は理性を失い、ハラスメントを起こす可能性があります。
  • アルコールや薬物の影響:アルコールや薬物の影響下にあると、人は自分の行動をコントロールできなくなり、ハラスメントを起こす可能性があります。
  • 育ってきた環境:ハラスメントを経験したり、ハラスメントを見たりした環境で育った人は、ハラスメントを起こす可能性があります。
  • 社会的な価値観:社会的な価値観がハラスメントを助長している場合があります。例えば、男性は力強く、女性は弱いなどの価値観は、セクハラを助長する可能性があります。

改めて、しっかりとした効果につながるハラスメント防止研修の実施や、職場でのコミュニケーションの見直しなど、行ってみてください。
難しい問題ではありますが、各企業が真摯に向き合い、職場の中で危機意識を持っていくことがこれから大切になっていくのだと思います。

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