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「チャレンジャー」しか勝たん!?チャレンジャー・セールス・モデルとは

これから必要とされる営業マンの姿

一昔前の営業といえば、自社の製品をいかに魅力的に説明するのか、顧客にニーズに対してどのようにして応えるのかが重視されていました。ところが、近年は営業を介さずとも、顧客が自分で情報を集められるようになりつつあります。

「情報を得るためにわざわざ営業マンに来てもらい、コミュニケーションをとるのが面倒…」そう感じる方も少なくないでしょう。つまり、単に商品を売るだけの営業、すでにあるニーズに対しての提案をするだけの営業では売れなくなってきているのです。単なる御用聞きでは、営業として成果をあげるのは難しいと言わざると得ません。

では、どんな営業スタイルであれば、顧客の心をつかむことができるのでしょうか。自社の営業部隊を見渡してみても、スタイルは人それぞれでしょう。押しの強い営業マンもいれば、待ちの営業マンもおり、千差万別です。

しかし、いわゆるトップ営業と呼ばれる人たちに多くみられるタイプがあるのはご存知でしょうか。ビジネスの名著として名高い『チャレンジャー・セールス・モデル 成約に直結させる「指導」「適応」「支配」』では、4年間にわたり90社・6000人の調査を実施し、そんなトップ営業たちの行動モデルを読み解いています。

『チャレンジャー・セールス・モデル』とは?

『チャレンジャー・セールス・モデル 成約に直結させる「指導」「適応」「支配」』(以下、『チャレンジャー・セールス・モデル』)
マシュー・ディクソン、ブレント・アダムソンによるビジネスの実践書。綿密なリサーチにより営業マンを5つのタイプに分類し、成功モデルを読み解きます。

5タイプの営業マンが存在する

『チャレンジャー・セールス・モデル』では、営業マンは以下の5つのタイプに分類しています。

チャレンジャー(論客タイプ)

顧客に独自の視点を提供し、課題を解決しようとするタイプです。必要があれば相手にプレッシャーを与えることも。

ハードワーカー(勤勉タイプ)

いわゆる努力家タイプで、時間を惜しまず仕事をして成果をあげようとします。スキルアップにも熱心。

リレーションシップ・ビルダー(関係構築タイプ)

顧客と良好な関係を作ることに注力するタイプです。献身的に対応するため好かれやすく、サービス精神も旺盛です。

ローンウルフ(一匹狼タイプ)

直感に従って行動し、ルールに縛られない自由人タイプ。管理をするのが難しいため、上司は気苦労が絶えません。

リアクティブ・プロムレムソルバー(受動的な問題解決タイプ)

細やかな気配りができる几帳面なタイプ。問題解決に長けているのが強みです。

さて、これらのなかでトップ営業はどのタイプに多いのでしょうか。

答えは…「チャレンジャー」そして「ローンウルフ」です。
一方で、トップ営業のなかでもっとも割合が少ないのは「リレーションシップ・ビルダー」だと言われています。

自社にチャレンジャーやローンウルフが少ないからといって、嘆く必要はありません。各タイプの能力は、トレーニングによって身につけることが可能なのです。

しかしローンウルフに限っては組織で扱うのが難しいうえ、天才肌なところがあるため、こちらを目指すのはおすすめしません。営業マンの能力開発をするなら、チャレンジャーの特性を学び、身につけさせると良いでしょう。自社の営業マンが“最強集団”になるのも、夢ではありません。

チャレンジャーの強みとは?

チャレンジャーの強みについて、もう少し掘り下げて解説します。
このタイプには、教え導く・適応する・支配するという3つの特性があります。

教え導く

チャレンジャーは、顧客の潜在的な課題やニーズを掘り起こすことに長けています。ヒアリングですんなりと出てくるようなものではなく、顧客自身も気づかないニーズを示すのです。

これは、表面的な要望に応えていく営業スタイルではできないことであり、顧客からすると「目からウロコ」の、非常に価値のある情報提供といえるでしょう。人間関係の構築ではなく、指導によって信頼を得るのがチャレンジャーのやり方なのです。

適応する

自社の製品やサービスを適切な形で提案するために、顧客の業界やビジネスの特性の理解に余念がないのもチャレンジャーの特性の一つです。また、意思決定者へのアプローチを効率よく進めるために、まずは窓口となる担当者からの共感を得られるように働きかけます。

支配する

「支配する」とは、場の主導権を握ること。チャレンジャーは、必要あれば顧客にプレッシャーを与えることも厭わないという特徴があります。また、通常であれば持ち出しにくいお金に関する話も堂々と意見を主張し、理に敵わない値下げの交渉などは毅然と跳ね除けます。

対照となるリレーションシップ・ビルダー

さて、ここまでチャレンジャーの特性についてお話ししましたが、このタイプと対照的なのが、リレーションシップ・ビルダーです。いわゆる和を重んじるタイプの営業マンであるため、相手を緊張感させず、穏やかな関係を築くことで協力してもらうとうスタイルが特徴です。

相手に機嫌を損なうことがないため、決定的に失敗をすることは少ない分、顧客に新しい視点や気づきを与えることもないため大きな成果を出しにくいのが欠点と言えるでしょう。

チャレンジャーとローンウルフ以外のタイプは、トップ営業の割合は少ないものの、平均的な営業マンとしてやっていくには問題ありません。むしろ、それぞれの特性を活かす形で活躍できるでしょう。

しかし、顧客の潜在的な課題を引き出し、新たな需要を作る能動的な営業マンを増やすなら、チャレンジャーモデルについて学び、理解を深めるのが近道です。

チャレンジャータイプは作れる!

『チャレンジャー・セールス・モデル』には、「チャレンジャー」の特性や、それをどうすれば実際の業務に落とし込み、自分のものにできるのかが解説されています。ただし、この本は日本人にミスマッチな部分があり、実際に役立てようとするなら、日本の企業のスタンダードも踏まえたうえで最適化する必要があります。

セミナー&研修.netでは、営業向けの研修にチャレンジャーモデルの要素を組み込むことが可能です。企業の業務内容や課題に合わせ、スムーズに業務に組み込める形で提供しているので、自社の営業スタイルを変えたい、営業マンのレベルアップをはかりたいと考えている方は、お気軽にお問い合わせください。

各種営業研修についてはこちら!

チャレンジャーセールスモデルの続編「隠れたキーマンを探せ!」

チャレンジャー・セールス・モデルは、どちらかといえば「営業マンのタイプ」や「営業手法」に論点を置いて書かれた営業本ですが、続編である隠れたキーマンを探せ!は「顧客の見方」に焦点をおいて書かれた本となっています。

売り手側(営業側)のチャレンジャー・セールス化が重要なだけではなく、実は、買い手側にもチャレンジャーがいて、そのチャレンジャーをどう見つけるか?そして、どのように働きかけるべきか?という状況に変化しています。

モビライザーを探せ!

買い手側にも、チャレンジャー・セールス・モデルと同様に、物事を成し遂げる情熱と行動力をもつ隠れたキーマンである「モビライザー」が存在し、そのモビライザーへのアプローチがポイントとなります。

なおチャレンジャー・セールス・モデルと同様に、顧客側にもいくつかのタイプが存在します。モビライザーと呼ばれるのは以下の3タイプになります。

ゴー・ゲッター(やり手)

他者の良いアイデアを支持し、常に求める以上の成果を求めるようなタイプ。

ティーチャー(教育者)

新しい知見を与えることが好きで、また同僚や幹部からの意見を求められるような頼られるタイプ。

スケプティック(懐疑論者)

不透明なプロジェクトを慎重に検討し、破壊的なアイデアに備えさせたり、変革のために小さな成功を収めるべきである、という慎重に対策を講じるタイプ。

従来型の営業手法「ソリューション営業」も陳腐化しており、顧客の要望を吸い上げて提案したとしても最終的には価格判断に陥るケースが増えており、これを「ソリューションの墓場」と呼んでおりソリューション営業の限界にも言及しています。

営業マンにとって、マシューディクソンの書籍はバイブルと言っても過言ではないでしょう。
時代とともに変化する営業手法を客観的に捉え、次に何をすべきか?を示唆してくれますので、ぜひともご一読をおすすめします。

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