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「チャレンジャー」しか勝たん!?チャレンジャー・セールス・モデルとは

デジタル化やコロナ禍を経て、営業のあり方が大きく変化しています。従来型の「押し込み営業」や「提案営業」だけでは、もはや成果を上げることが難しい時代となりました。では、これからの時代に求められる営業マンとは、どのような存在なのでしょうか?

本記事では、最新の営業研究と実践データに基づき、成功する営業マンの5つのタイプと、特に注目すべき「チャレンジャー型」の特徴を詳しく解説します。さらに、実際の成功事例を交えながら、これからの営業マンに必要な具体的なスキルと育成方法をご紹介します。

この記事からわかる事

・従来型営業が通用しなくなった背景と最新の営業トレンド
・成功する営業マンの5つのタイプとその特徴
・チャレンジャー型営業の具体的手法と成功事例
・これからの時代に求められる営業スキルと育成方法
・デジタル時代における効果的な営業アプローチ

この記事の筆者:渋谷雄大

神奈川大学卒業後、訪問販売会社にて最年少トップセールスを樹立。その後、サプリメント専門チェーン事業部門の責任者として、ショッピングセンター・百貨店などへの出店戦略をはじめとして、人材育成、プロモーション・広報などを一手に引き受け多店舗展開を達成する。しかし、同社が倒産。責任者としてサプリメント専門チェーン事業の譲渡交渉を担当し、サプリメント専門チェーン事業を自然派化粧品会社への譲渡成功に導く。現在はジャイロ総合コンサルティングの代表として、創業支援、営業強化、店舗戦略、人材育成、販売促進、DX戦略など幅広い分野でコンサルティングを行う。 講演数は年間150回を超える人気講師である。【資格・著書】 中小企業診断士/「繁盛店が必ずやっているチラシ最強のルール」(ナツメ社)

なぜ今、営業改革が必要なのか

デジタル化の波は、ビジネスのあらゆる領域に押し寄せています。その中で、営業という職種も大きな変革を迫られています。なぜ今、営業改革が必要なのでしょうか。その背景には、主に3つの要因があります。

1つ目は、顧客の情報収集力の向上です。インターネットの普及により、顧客は自分で製品やサービスについて詳しく調べることができるようになりました。その結果、営業マンの「情報提供」という役割が相対的に低下しています。

2つ目は、競争の激化です。グローバル化やオンライン化により、顧客の選択肢は飛躍的に増加しました。単に製品の特徴を説明するだけでは、競合他社との差別化が難しくなっています。

3つ目は、顧客ニーズの多様化と複雑化です。経済環境の変化や技術革新により、顧客が抱える課題はますます複雑になっています。「これさえあれば解決」という単純な提案では、顧客の満足を得ることは難しくなっているのです。

こうした状況の中で、従来型の営業手法だけでは十分な成果を上げることが困難になっています。では、具体的にどのような変化が起きているのでしょうか。次のセクションで詳しく見ていきましょう。

デジタル化がもたらした顧客行動の変化

デジタル化は、顧客の行動パターンを大きく変えました。その変化を理解することが、これからの営業成功の鍵となります。主な変化として、以下の3点が挙げられます。

情報収集の自立化

かつては、製品やサービスに関する情報を得るには、営業マンに頼るしかありませんでした。しかし今や、顧客は自らインターネットで情報を収集し、比較検討することができます。実際、B2B取引においても、購買プロセスの7割以上を顧客自身で進めてしまうというデータもあります。

この変化は、営業マンの役割を「情報提供者」から「価値提供者」へと変えることを要求しています。単なる製品説明ではなく、顧客の課題解決に直結する独自の洞察や提案が求められているのです。

オムニチャネル化

顧客とのコンタクトポイントが多様化しています。対面での商談だけでなく、メール、Web会議、SNS、チャットなど、様々なチャネルを顧客は使い分けるようになりました。これは、営業マンにとって機会でもあり、挑戦でもあります。

各チャネルの特性を理解し、適切に使い分けることで、顧客との接点を増やし、関係性を深めることができます。一方で、一貫性のあるメッセージを発信し、シームレスな顧客体験を提供することが求められます。

意思決定プロセスの変化

デジタル化により、企業の意思決定プロセスも変化しています。従来の「トップダウン」型から、より「ボトムアップ」型の意思決定が増えています。これは、情報へのアクセスが容易になったことで、現場レベルでの判断や提案が重視されるようになったためです。

この変化は、営業マンにとって重要な意味を持ちます。トップ層だけでなく、実務レベルの担当者との関係構築も重要になってきているのです。彼らのニーズを深く理解し、適切な提案ができる能力が求められています。

これらの変化を踏まえ、次のセクションでは、コロナ禍がさらに加速させた営業スタイルの転換について見ていきましょう。

コロナ禍で加速した営業スタイルの転換

2020年に始まった新型コロナウイルスの世界的流行は、ビジネスの在り方を大きく変えました。特に営業活動においては、それまでの常識を覆す急激な変化が起こりました。ここでは、コロナ禍で加速した営業スタイルの主な転換点について解説します。

リモート営業の普及

感染症対策として、対面での商談が制限されたことで、リモート営業が一気に普及しました。Zoom、Microsoft Teams、Google Meetなどのオンライン会議ツールを使用した商談が当たり前になりました。

この変化は、単に対面からオンラインへの移行というだけではありません。営業プロセス全体を見直す契機となりました。例えば、商談の時間が短くなる傾向があるため、より効率的で焦点を絞った提案が求められるようになりました。また、画面共有機能を活用した視覚的なプレゼンテーションの重要性も高まっています。

デジタルツールの活用拡大

リモート営業の普及に伴い、様々なデジタルツールの活用が進みました。CRM(顧客管理システム)の高度化、営業支援AI、デジタルマーケティングツールなど、テクノロジーを駆使した営業活動が増えています。

これらのツールを効果的に活用することで、顧客の行動をより正確に把握し、適切なタイミングでアプローチすることが可能になりました。また、データ分析に基づく科学的な営業手法の導入も進んでいます。

ハイブリッド型営業の台頭

コロナ禍の収束後も、完全に元の営業スタイルに戻ることはないでしょう。むしろ、対面とリモートを組み合わせた「ハイブリッド型営業」が主流になると予測されています。

この新しいスタイルでは、初期の情報提供や簡単な打ち合わせはオンラインで行い、重要な商談や契約締結時には対面で会うといった使い分けが一般的になると考えられます。営業マンには、状況に応じて最適なコミュニケーション方法を選択する柔軟性が求められます。

これらの変化は、従来型の営業手法の限界を浮き彫りにしました。次のセクションでは、なぜ従来型営業が通用しなくなったのか、その理由を3つ挙げて詳しく解説します。

チャレンジャー型営業の詳細解説

皆さん、こんにちは。営業改革コンサルタントの山田健一です。前回は、デジタル時代における営業の変革について解説しました。今回は、その中でも特に注目を集めている「チャレンジャー型営業」について、詳しくお話ししていきます。

「チャレンジャー型営業って何?」「なぜ今、注目されているの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。この記事を読めば、チャレンジャー型営業の本質と、それを実践するための具体的な方法が明確になります。ぜひ最後までお付き合いください。

チャレンジャー型営業とは何か

チャレンジャー型営業とは、顧客の既存の考え方や業務プロセスに挑戦(チャレンジ)し、新たな視点や解決策を提供する営業スタイルです。従来の「押し売り」や単なる「提案型」営業とは一線を画す、新しいアプローチ方法といえます。

具体的には、以下のような特徴があります:

  • 顧客が気づいていない課題や機会を指摘する
  • 業界の常識や慣習に疑問を投げかける
  • 顧客の思考の枠を広げる新しい視点を提供する
  • 顧客との対話を通じて、共に解決策を創造する

つまり、チャレンジャー型営業は、単に製品やサービスを売り込むのではなく、顧客のビジネスに真の価値をもたらすパートナーとしての役割を果たすのです。

なぜチャレンジャー型が注目されているのか

チャレンジャー型営業が注目を集めている背景には、ビジネス環境の急激な変化があります。デジタル化やグローバル化の進展により、企業は常に新しい課題に直面しています。そんな中で、従来型の営業手法では十分な成果を上げることが難しくなってきているのです。

実際、ある調査によると、B2B取引において最も成果を上げている営業マンの53%がチャレンジャー型だったという結果が出ています。これは、リレーションシップビルダー型(21%)やハードワーカー型(18%)を大きく上回る数字です。

なぜチャレンジャー型が高い成果を上げているのでしょうか。その理由として、以下の3点が挙げられます:

  1. 顧客に新たな気づきを与えられる
  2. 複雑な課題に対して独自の解決策を提示できる
  3. 顧客との信頼関係を深めやすい

これらの特徴は、まさに現代のビジネス環境で求められているものといえるでしょう。次に、チャレンジャー型営業に必要な具体的なスキルについて見ていきましょう。

チャレンジャー型の6つの核心的スキル

チャレンジャー型営業を実践するには、以下の6つの核心的スキルが必要です。これらのスキルを磨くことで、より効果的な営業活動が可能になります。

1. 洞察力

顧客の業界や事業について深い理解を持ち、表面的には見えない課題や機会を見出す力です。これには、日頃からの情報収集と分析が欠かせません。業界誌を読むだけでなく、顧客の競合他社の動向や、関連する技術トレンドにも目を向けることが重要です。

2. 教育力

顧客に新しい視点や知識を提供し、「目からウロコ」の体験をさせる力です。ただし、一方的に情報を押し付けるのではなく、顧客との対話を通じて理解を深めていく姿勢が大切です。例えば、「御社の業界では〇〇が一般的ですが、実は△△という新しいアプローチが効果的だと考えられています。これについてどうお考えですか?」といった問いかけから始めるのも良いでしょう。

3. 質問力

顧客の本質的なニーズや課題を引き出す力です。表面的な要望だけでなく、その背景にある本当の課題を探り出すことが重要です。「なぜそう考えるのですか?」「もし〇〇だったら、どうでしょうか?」といった深掘りの質問を重ねることで、顧客自身も気づいていなかった課題が明らかになることもあります。

4. コミュニケーション力

複雑な内容をわかりやすく伝え、顧客の共感を得る力です。専門用語を多用するのではなく、顧客の立場に立った説明が求められます。また、一方的に話すのではなく、顧客の反応を見ながら双方向のコミュニケーションを心がけましょう。

5. 提案力

顧客の課題に対して、独自の価値ある解決策を提示する力です。ここでは、自社の製品やサービスにこだわりすぎず、顧客にとって最適な提案を行うことが重要です。場合によっては、他社の製品と組み合わせた提案や、業務プロセスの改善提案なども含まれます。

6. 交渉力

顧客との Win-Win の関係を構築し、取引を成立させる力です。ただし、チャレンジャー型営業では、単に価格や条件の交渉だけでなく、提供する価値の重要性を顧客に理解してもらうことが重要です。「この提案によって、御社にはこれだけの価値がもたらされます」という具体的な数字やシナリオを示すことが効果的です。

これらのスキルは、一朝一夕には身につきません。日々の実践と振り返りを通じて、少しずつ磨いていく必要があります。次のセクションでは、これらのスキルを活用した具体的な手法について、詳しく見ていきましょう。

顧客との対話を変革する質問力

チャレンジャー型営業の核心は、顧客との「対話」にあります。特に重要なのが、顧客の思考を広げ、新たな気づきを促す「質問力」です。ここでは、効果的な質問のテクニックについて解説します。

オープンクエスチョンの活用

まず重要なのは、「はい」「いいえ」で答えられる質問(クローズドクエスチョン)ではなく、相手の考えを引き出すオープンクエスチョンを多用することです。例えば:

  • 「現在の業務プロセスについて、どのようにお考えですか?」
  • 「もし予算の制約がなければ、どのような改善を行いたいですか?」
  • 「5年後の御社や業界の姿をどのように描いていますか?」

こうした質問は、顧客自身の思考を促し、潜在的なニーズや課題を浮き彫りにします。

「なぜ」を掘り下げる

顧客の発言に対して、「なぜそう考えるのですか?」と掘り下げていくことで、表面的な要望の背景にある本質的な課題が見えてきます。ただし、「なぜ」の連発は尋問のように感じられる可能性があるので、表現を工夫しましょう。例えば:

  • 「そのようにお考えになった背景を教えていただけますか?」
  • 「その判断の基準について、もう少し詳しくお聞かせください」

このような質問を重ねることで、顧客自身も気づいていなかった本質的な課題が明らかになることがあります。

仮説検証型の質問

事前の分析や洞察に基づいて仮説を立て、それを確認するための質問を行うのも効果的です。例えば:

  • 「御社の業界では〇〇が課題だと言われていますが、実際はいかがでしょうか?」
  • 「他社では△△という方法で効率化を図っていますが、御社ではどのような取り組みをされていますか?」

こうした質問は、顧客に新たな視点を提供すると同時に、自社の知見や分析力をアピールすることにもつながります。

質問力を磨くことで、顧客との対話はより深く、実りあるものになります。

従来型の営業手法「ソリューション営業」も陳腐化しており、顧客の要望を吸い上げて提案したとしても最終的には価格判断に陥るケースが増えており、これを「ソリューションの墓場」と呼んでおりソリューション営業の限界にも言及しています。

営業マンにとって、マシューディクソンの書籍はバイブルと言っても過言ではないでしょう。
時代とともに変化する営業手法を客観的に捉え、次に何をすべきか?を示唆してくれますので、ぜひともご一読をおすすめします。

セミナー&研修.netでは、営業向けの研修にチャレンジャーモデルの要素を組み込むことが可能です。企業の業務内容や課題に合わせ、スムーズに業務に組み込める形で提供しているので、自社の営業スタイルを変えたい、営業マンのレベルアップをはかりたいと考えている方は、お気軽にお問い合わせください。

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