収集した営業情報を整理するフレームワーク


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こんにちは。コンサルタントの横山です。
前回は仮説営業力において、仮説を立てるのに必要な情報収集についてお話ししました。今回は、収集した情報を整理するフレームワークをご紹介します。

フレームワークは様々なものがあり、状況に応じて最適なフレームワークを使うことが大事です。営業が収集した顧客に関する情報について、経営上の仮説課題を導き出すのに最適なフレームワークとして、3C分析のフレームを使います。

3Cは戦略論ではお馴染みおツールですが、このフレームワークを意識しておかないと、つい忘れてしまうのが、顧客の「競合」です。3CとはCustomer(市場)、Competitor(競合)、Company(自社)を指します。顧客を分析する場合、Companyが顧客となります。Customerは顧客が対峙している市場のこと、そして忘れがちなのが顧客の競合、Competitorです。3C分析をする上では考える順番があります。まずは、顧客の市場がどうなっているのかを考えましょう。顧客を訪問する前に、顧客の顧客は誰なのか、その顧客が属する市場の動向は将来どうなりそうなのかを、その業界の「動向」や「見通し」などと検索すれば容易に調べられます。その後、その市場に対して、顧客の競合がどのように攻めてきているのか、それに対して、自社がどのようにアプローチするのか、これらを分析するのが3C分析です。

訪問時にヒアリングする際に、必ず聞いておきたいのが、顧客の競合についての情報です。この競合情報がないと、3Cの重要な要素の一つが欠けて分析が出来ません。いくら顧客の市場が成長していて魅力的であっても、その市場に対しての競合の出方が分からなければ、顧客を獲得することや維持することが出来ません。市場に対して競合が攻め切れていない様子が見られれば、そこを自社が突くのです。よって、自社は3C分析の中では、最後に考えます。

訪問時に顧客の競合情報を聞くことが忘れがちになることは述べましたが、もうヒアリングで一つ忘れがちな情報があります。それは、「自社」、すなわち我々の顧客の情報に相当するなかでも顧客の「あるべき姿」です。顧客の現状については営業担当者は比較的よく情報収集をしてきます。しかし、顧客がどういう「あるべき姿」を目指しているのかについては、ヒアリングしないまま訪問を終えてしまうことが多いのです。しかし、この「あるべき姿」を聞かないことには、現状と「あるべき姿」とのギャップが分析できず、顧客にとっての課題を発見することが出来ません。現状と「あるべき姿」にギャップがあるから、問題が発生しており、その問題を解決するための施策を提案するのが、課題解決型営業、すなわちソリューション営業なのです。我々は、3C分析をする上で、「自社」すなわち顧客の「あるべき姿」を掴まなければ、提案できないのです。

さらに戦略ということでいうと、「市場」に対しての仮説が鍵になります。先ほど、市場に対して競合がどうアプローチしているかを把握するべきと述べました。それは、市場の現状把握も大事ですが、市場の将来を見据えて市場がどう変化するかを推測し、その推測に基づいて競合に出し抜く行動を起こすことが戦略的な経営だからなのです。営業担当者は、顧客が対峙する市場が今後どのようになりそうか仮説を立て、それに対して競合の動きを睨みながら、顧客に対してどういう課題があるのかを指摘し、その解決策を提案するのです。

このように3Cのフレームワークを用いて、将来の仮説を立てながら、情報を整理していくと、顧客の課題を発見することができ、課題解決型の営業に繋がります。

著者 横山 仁久

上智大学文学部教育学科を卒業後、株式会社ベネッセコーポレーション九州支社にて高校営業を担当。上智大学総合人間科学研究科教育学専攻博士前期課程を修了した後、株式会社岩波書店に入社。書店営業として8年間在籍し、毎期のフェアで目標を達成。岩波書店創業百年では、同じく創立百年を迎えた上智大学との共催で記念シンポジウムを企画・運営。その後、十数年間の営業経験を活かし、首都大学東京社会科学研究科経営学専攻博士前期課程(MBA)を修了後には、経営コンサルタントに転職。コンサルティング会社2社を経て、独立。経営戦略、マーケティングの視点を取り入れたコンサルティング営業を専門として企業のコンサルテーション・研修育成に取り組んでいる。

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