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みなさんこんにちは。ジャイロ総合コンサルティングの講師をしております柴秀雄と申します。 今回は、ハラスメント防止コミュニケーションについてお話しいたします。
ハラスメントの多くは職場で起きるものですが、その多くは職場を構成する人々の間のコミュニケーションにその原因があると言えます。最近、世間にはたくさんのハラスメントの種類があふれており、法令で対策が義務化されている「セクハラ」「パワハラ」「マタハラ」以外にも、「スメハラ」「スモハラ」「カラハラ」「テクハラ」「エレハラ」などなど・・・。インターネット検索するだけで実に30種類程度の「○○ハラ」を見つけることができます。もはや、こうなるとハラスメントのインフレ化ともいうべき状況です。
どうしてこうなったのでしょうか。思うに「○○ハラ」で現わされる職場のストレス態様は、多くのものが、最近生まれたものではないと考えられます。例えば、「スモハラ」は「スモークハラスメント」の略で、非喫煙者にたばこを勧められたり、不可避的にたばこの煙に晒されることを言うそうですが、喫煙者などは昔からたくさんいましたので、今始まったストレス態様ではありません。しかし、今日、非喫煙者が多くの割合を占めるに至って、これまでたばこの煙を我慢してきた人たちが多数派となった結果、社会の嫌煙感情が際立つようになる。そうすると、喫煙者の配慮のない言動は、必然的に職場環境を悪化させるコミュニケーション問題、すなわちハラスメント行為として敵視されるようになります。
すなわち、「昔はよかったこと」でも、社会の状況が変わり、環境の変化も起こり、意識も高まることによって、「今はよくないこと」になります。そして、その瞬間に新しい「○○ハラ」が生まれます。特に今日は、「セクハラ」「パワハラ」「マタハラ」対策が法制化される時代ですので、かかる風潮の中で、連鎖的に「○○ハラ」仲間が誕生し続けているのだと思われます。まさにハラスメントのインフレ化は、今日の世相を反映していると言えるでしょう。
このように、ハラスメントを現象面でとらえるだけでなく、インフレ化を生み出さざる得ないコミュニケーション問題の真因についても目を向けなければなりません。ハラスメントを防止するためには、複数の人たちが集まる場所においてのコミュニケーションのあり方について、真剣に考える必要があります。これは、職場に限らない普遍のテーマですので、私たちひとりひとりの自覚にしっかりと落とし込まれるべきことです。そして、このコミュニケーションのあり方について考えるためには、そもそも私たちひとりひとりが、社会の人々に対して、どの程度距離感を保っていたいのかということについて考えることがたいせつでしょう。
思うに私たちは、職場という社会的な場所に赴くために、ありのままの自分の内面に、社会人というベールをまとってから出かけるのではないでしょうか。外面的に余所行きの服を着るのと同じで、心にも余所行きのベールをまとう、ということです。そして、職場での人たちとコミュニケーションをするときは、原則的に、この「社会人ベール」越しに会話をしたいものです。中には非常にフランクな方もいますが、そのような方でも薄いベールはまとっているはずです。ありのままの自分と同じ状態でいることはまれでしょう。つまり、フランクなひとと慎重なひとでは、ベールの厚みが違うだけです
もちろん職場においても、冗談を言ったり、からかったり、冷やかしてみたり。それは日常としてあるとは思います。でもそれらは、長年一緒にいる家族や気の置けない友人とのやりとりと同じものですか?違うのではないでしょうか。やはり余所行きの範囲内のコミュニケーションにとどめたいと思っているのではないでしょうか。
だから、突如相手から、このベールを突き破るような言葉遣いや態度で接されると、誰だってとても不愉快になります。なれなれしい言葉遣い、いわゆるタメ口、高圧的なで偉そうな言い方(偉くもないくせに!)、プライベートに踏み入れるような話題、言わなくてもいいようなフレーズ、職場とは関係のないことの持ち込み・・・。これらがコミュニケーション問題の源泉だと考えられます。
職場という社会において、お互いが一定の距離感を侵害しないということは、現代においてはとても重要なことです。 「職場の同僚は、決しておともだちではない」 それぐらいの感覚が必要でしょう。
コミュニケーション問題は職場だけの話ではありません。取引先との関係にだってあてはまることです。特に大手企業の担当者が、中小の仕入先に対して問題あるコミュニケーションを行う場面ではどうでしょうか。
あえてもう一度繰り返します。なれなれしい言葉遣い、いわゆるタメ口、高圧的なで偉そうな言い方(偉くもないくせに!)、プライベートに踏み入れるような話題、言わなくてもいいようなフレーズ、取引とは関係のないことの持ち込み・・・。これらが当たり前になってきたらどうなるでしょうか。その先に無理な要求や、不公正な取引、不当な取引制限制等が生まれる可能性は否定できません。こうなってくると、もはやコミュニケーション問題は、独占禁止法、下請法、消費税転嫁対策特別措置法などのコンプライアンス違反の問題に発展することだって十分考えられます。
コミュニケーションはコミュニケーション。コンプライアンスはコンプライアンス。そうではありません。コミュニケーション問題の先にコンプライアンス違反が生まれることは十分考えられます。だからこそ、コミュニケーションについて学ぶことは、コンプライアンス態勢の向上について学ぶことに他ならないのです。
著者 柴 秀雄
ジャイロ総合コンサルティング(株)・コンサルタント コンプライアンスの領域において、15年のキャリアを重ねてきたプロフェッショナル。幅広い法律知識とほろ苦い体経験をもとに、「ほんとうのコンプライアンスとは何か」を熱く語る講義が得意技。 1993年に入社した大手クレジットカード会社に勤務する中で、社内公募によってコンプライアンス部門に異動。その後、メガバンク、テレビショッピング、システムベンダーなどの法務・コンプライアンス部門のマネージャー等を歴任し、2019年に独立。行政書士事務所を経営しながら、企業の法務担当も務め、そしてジャイロのセミナーに登壇するトリプルワーカーである。
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