なりかねます? なりかねません?
試験監督に駆り出されることがあります。その打ち合わせに行ってきました。
試験監督は、守秘義務や、書類の紛失がないよう注意義務が求められます。
あれれ? 言い間違いかな?
そういった説明をきいていたところ、担当者がこう言いました。
万一、答案用紙を紛失したりすると、試験会場の認定が外されるようなことになりかねます。
あれれ? 「なりかねません」じゃないの? 言い間違いかな…と思いつつ、引き続き説明を聞いていました。
が、また同じ使い方を。どうやらこの人は、「なりかねます」が正しいと思い込んでいるようです。
日本語は難しいですね。とくに「かねる」は、少しかっこいい言い回しをしようとして失敗が多いです。
クリーニング店の注意書きには…
以前、クリーニング店の店頭にこんな注意書きがありました。
仕上がり日以降、長く放置しないでほしいという内容で
「1ヶ月以上経過した場合、責任をとりかねません」
「責任をとりかねない」は、責任を取ることもあるという意味になるので、普通の文脈では使いません。ここでは当然、責任を取れないという意味なので、「責任をとりかねます」が正しいのです。
「責任を取ってくれるということですね」とユーモアを交えて指摘すると、慌てて直してありました(笑)
かねる→否定文 かねない→肯定文の意味に
つまり、
「かねる」は、否定文の意味(責任を取れない)になり、
「かねない」は、肯定文の意味(認定が外れる場合がある)になる、ややこしい言葉なのです。
こういった回りくどい言葉は、あまり使わないほうが無難かもしれませんね。
間違いやすい慣用句は多数
日本語や文章に関するセミナーは、これまでたくさん担当してきました。
最近は、手書きで文字を書くことが減りましたが、パソコンの変換間違いは多数みられます。変換間違いをしやすい漢字、多くの人が意味を取り違えている慣用句、わかりやすい文章を書くためのコツなど、楽しく学んでいただいています。
時代とともに言葉も変化していきますが、やはり基本は押さえておきたいですね。
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