財務省・前事務次官、狛江市長、相次ぐセクハラ事件


#MeTooの文字がネットを通じ世界中を駆けめぐる。

ハリウッドの大物プロデューサーが何十年にもわたって女優やスタッフに性的嫌がらせをしてきたことが明らかになり、世界的に波紋を呼んでいる。

もはや、セクハラ被害者女性たちは黙ってはいない。こうした中、我が国では財務省事務次官がセクハラ疑惑で辞任に追い込まれ、地方自治体の首長がセクハラ問題で辞意を表明せざるを得ない事態に陥った。

狛江市長のセクハラ事件は市長という立場を利した卑劣な行為であると同時に、対応のまずさが際立っている。当初は「セクハラ」そのものを否定し辞任についても「全く考えていない」と全否認。程なく、女性職員4人から抗議文が提出されると、一転して「セクハラとして申し立てられたら認めざるを得ない」とセクハラ行為を認める一方で、具体的な行為について問われると「記憶にない」と説明。「認識の中ではセクハラのレベルではない」「心に一点の曇りもない」などと述べながら「市政に混乱を招いた」として辞意を示した。こうした、開き直りともとれるような発言は、狛江市民をはじめとする世間一般から激しい反発を招いた。

セクハラ、すなわち「セクシャルハラスメント」は男女雇用機会均等法が1997年に改正されたのを機に社員の募集、採用、昇進などで女性差別を禁止、女性に対するセクハラ規定が整備された。また、2007年4月には改正男女雇用機会均等法が施行され、それまでは女性労働者に限定していたセクハラ規定を男性労働者にも適用し、男女双方への性による差別的取り扱いを禁止している。

セクハラの特徴は「する側」と「される側」の認識の違いにより問題化するケースが殆どである。例えば、男性上司が好意を感じる女性部下に対して、「君、そこまで頑張らなくても良いよ。僕がやっておくからさ、所で君には彼氏は居るの」と聞く。それを聞いた女性部下は「私は一人前の社員として仕事しているつもりです。彼氏はいませんけど、それが何か?」と、とても嫌な感じを抱いたら、それは、性的な差別に基づくハラスメントの端緒であり、それ自体が性的イジメと認定される可能性も高いのである。そうして見ると、先の狛江市長の発言は全く意味をなさないことになり、むしろ開き直りの悪あがきにしか見えず、世間一般を敵に回し兼ねないことになってしまう。

ハラスメントの怖さは、「風評として下劣・卑劣の極み」と捉えられ、自らの立場や評価を崩してしまい、自らにとって最後の支えともいうべき家族を含め関係者に対しても拭いようの精神的な苦痛を負わしてしまうことである。

セクハラ防止策

先ずは研修等を通じて、客観性の高い「自己認識」を持つことである。

セクハラの要因は「性的関心」という極めて人間的なところにある。だから、性的関心を無くせというのは無理なことであり、それを了解しないまま「性的関心すなわち悪」と決めつけてセクハラ研修が組まれると、実効性は全くないモノになってしまう。

人間的と言ったとき「ヒューマニティ(人間としての品性)」と「ヒューマンネイチャー(人間の野生)」とが同居していると考えるべきであり、先ずは、己に潜む「人間の野生(性的関心)」に対する認識を明確にし、それに対して「人間としての品性」を優位に置くことで欲望のコントロールを実効化することが重要である。

弊社の研修では、セクハラ・セルフチェックリストに基づいて、セクハラに係る自己の状況把握を明確にし、その上で男女でのグループディスカッションを行うことで自らにとって有効なセクハラ対処方法が見つけられ、結果的にセクハラの陥穽にはまることを防ぐことになる。

時代的な変遷に気づく

セクハラに限らず、ハラスメントを構成する要件は時代が変わることに伴う社会認識の変化によって変わっていく。例えば、30年前に課長が部下の女子社員に「君もそろそろ年だろう。好きな人でもいるのか。どうだい、僕の後輩でとても良い男がいるんだ、一度、会って見ないかな」と言ったら、その女子社員は少しばかり頬を赤くして「ハイ、ありがとうございます。両親に相談してみます」と言い、家に戻りそのことを伝えると母が「とても良い課長さんね、とにかくお会いしたらどうかしら」と応えるケースも少なくなかったろう。しかし、今どきそんな話をしようものなら、ほぼ確実に「セクハラ」と認定されることになる。

セクハラを中心としたハラスメントに関しては「昔はそうだった」「皆もしている」は全く通用しない。この辺の所の理解を深める研修がハラスメント対策の実効性を高める。

事例検討によるセクハラに気づく能力の涵養

セクハラの怖い点は、セクハラをしている当人がそれに気づかず段々とエスカレートしてしまいやがては事件と化してしまうことになる。そうした中では、何がセクハラにつながるのかも含めてセクハラ行為に気づくことが重要である。

弊社のハラスメント研修の特徴として、豊富な事例に基づいた「ケース」を題材にグループ別(各グループ毎に事例が違う)に徹底的な議論を行い、要因と対策と起きてしまった場合の会社的取組みと個人として対応について実際的に学んでいただくことで実効性を高めている。

筆者の場合は特に、講義冒頭で「セクハラ」による相手に与えるダメージの深刻さと「セクハラ」をした側の致命的な状況を話すことからスタートし、「気づく」ことの大切さを意識して頂くようにしている。

 

文 大木ヒロシ

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