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新入社員の育て方(後編)

長期研修には欠かせないOJTはコーチングで実効が上がる
接客応対といった高度なテクニックが必要な販売の新入社員・若手スタッフスタッフ教育は最低でも1年間を要することになる。とは言うものの、1年もの間、生産性も無いまま研修・教育を続けることは現状では不可能に近い。しかし、だからといって未熟なままで放っておけば本人が続かなくなるだけでは無く、相手先に迷惑をかける可能性もあり、結局は業績悪化につながってしまう。そこでOJT型と定期的な集合研修を組み合わせることが教育効果を上げるポイントになる。全体の教育スケジュールは別項を参照にしながら組み立てとチェックを実施して欲しい。
今、社員教育の分野でコーチングが注目されており、OJT効果を高めるのにもすこぶる有効である。
コーチングとは従来の社員教育に見られるような単に「教える」のとは違って、教育の受け手の「自発性」を高めるためのコミュニュケーションを中心にしたテクニックである。例えて言えば、「何々をしなければなりません」から「したい」気持ちに変えることであると言うことができる。こうすることによって「指示待ち若手スタッフスタッフ社員」から「自発的かつ積極的な若手スタッフスタッフ社員」に変えることができる上に新入社員・若手スタッフスタッフにも創意・工夫の気概が生まれてくる。
企業のコーチングにあたってはOJT型が望ましく、直接の上司がコーチとしての対応をはかり、現場での問題解決を中心に創意工夫を互いに考えるといった形が効率的だ。
OJT型のコーチング、すなわちOJC(オンザジョブコーチング/仕事上でのコーチング)の実践にあたっては先に上げた初期教育が徹底していることが前提になることは言うまでもない。

良好な人間関係の構築
コーチングの真髄は受け手の潜在能力とヤル気を引き出すことにある。上司(コーチ)と部下が面と向かえば部下は構えてしまい、場合によっては防御的な心理が働き心を閉ざしてしまう。そこでコーチ役の上司は先ず、相手の気持ちを開かせる必要がある。そのためには日頃から気軽に声をかけるようにして相手の抵抗感を薄めておく必要がある。日々の挨拶の中にちょっとした会話を挟むようにするとより効果的だ。
何より部下との良好な人間関係構築がOJCには欠かせない。

質問に慣れさせる
OJCの場合、教えるべきことを、教えるのでは無く、考えさせ、気づかせることになる。だからコーチは「どうしたいか?」を問うことが重要になる。だからといっていきなり、「この店を良くするために君は何がしたいか?」等と問うてもまともな答えは返ってこない。答えられる質問をして質問に答えることを慣らすのである。例えば、相手の家族のことや趣味に関する質問をさり気なく行うといった方法がある。

質問は肯定的に聞きながら具体的で実効的になるように促す。
「なぜ、できない」とか「なぜ、分らない」と言う言葉否定的で相手の自発性を削いでしまう恐れがある。
「なぜ」の部分を「なに」に変えてみると良い。例えば「なぜ、売上が上がらないんだ」といえば、その言葉の裏には「お前が悪いからだ」と言った言葉が感じられ、実に否定的で相手の自発的なヤル気は削がれ易い。そこで「なにのせいで、売上が上がらないのか」と聞けば、相手は自分のせいでは無いことが了解でき、客観的にかつ積極的に考えることをするようになる。そうした上で出てきた答えを都度肯定しながら話しを進め。相手の答えが具体的で実効性のあるモノになった段階で「では、君の言うとおり、それでやって見よう」と言えば相手のヤル気と責任意識は倍化する。
やらせて見せる
本人から引き出したアイデアとヤル気は出きる限り早い段階でやらせて見る必要がある。この際、側面的な支援は必要だが、中途で方法の転換を求めてはならない。場合によっては失敗する可能性があっても手も口も出さず慎重に見守る必要がある。軽度で経営的にも些少な失敗であれば敢えて失敗させることから、新たな問題解決に向けたOJCを行うことで部下の力量は大幅に上がることがある。
失敗は責めては行けないが失敗について真摯に考えさせることを避けてはならない。
何れにしてコーチングでは、アイデアの出しっぱなしはしない。相手の意見を充分に引き出した段階では「必ず、やってください」の強制の一言は欠かせない。

成功したら人前で褒める
成果としては小さくても良いから成功し易い問題を与え、「考えさせ」「納得させ」「実効させ」「褒めてやる」ことがモチベーションを高める最大のポイントになる。

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