社長が初めて研修を受講する


ある会社にてハラスメント防止研修の講師を務めた。

その会社では、最近に中間管理職によりパワハラが行われたということで、それに危機感を感じた経営者がハラスメント防止研修を行うことになったということだった。確かに、実際にハラスメントが発生していない職場では、ハラスメント防止研修などは不要かも知れないし、今までハラスメント防止研修を行った各企業において、ハッキリと言われたことがないが、まあハラスメントがあっても不思議ではない社風だなと思いながら、講師を務めていた。

その会社の経営者は女性であり、創業家ということだった。その女性社長が言うには、「私は今まで研修といったものは受けたことがありません。いきなり経営に就いて、指導する立場にずっとありました」ということだった。さらに、「その意味では、とても新鮮で貴重な体験をいたしました」ということだった。

具体的に、どのような貴重な体験なのかは聞きそびれたのだが、まあ研修の結果には満足いただいたのかなと思うところがあった。

 

研修の前に聴いていたところでは、その会社の幹部は全員が社長を特別扱いしているようで、研修の中でのロールプレイングには参加させない方が良いだろうとか、社長に発言を促さないでくれとかの要望を受け、私も「どんな社長なのか、厳しい方なのかな?」という思いで、研修が始まった。

でも、そんな事前の気遣いは一切不要だった。気持ちよく、あるいは熱心に受講いただいた。時折、社長にも発言を促しながら、私の言いたいことは言い切った。

その会社の社風は、少なくとも管理職以上の方々は、互いに地位をあまり意識することなくフランクに話しを行うようであり、こんな会社で本当にハラスメントが発生したのかな?というものであった。

いずれにせよ、社長自らが研修に参加され、また社長が研修を受講する経験が今までなかったということは、私自身も初めてのことであり、貴重な経験をさせていただいた。

著者 西村伸郎

大阪大学大学院 修了。
富士ゼロックス株式会社の研究所に勤務し、記憶装置などの研究業務に従事する。その後、研究企画・管理部門を経て、設計開発、製品リサイクルなどを統括する立場で経験を積む。
平成16年、富士ゼロックス株式会社を円満退社後、経営コンサルタントとして活動開始。
現在は、中小企業を中心に経営コンサルタント・社長参謀として活動する傍ら、企業研修や公的機関のセミナー講師を務める。人事評価システム、従業員満足度測定システム構築等で多くの実績を重ねる一方で、商店街活性化事業にも取り組むなど、幅広く活躍中。

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