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“営業の練習”のススメ-その1

“営業の練習”とは何か?

「営業研修」という言葉はよく聞くけれど、「営業の練習」はあまり聞き馴れないのではないでしょうか?
私の考える両者の違いは、その継続性や効果の違いにあります。営業研修とは、多くても年に数回、その時はなんとなく勉強になった、能力が向上したような気分になるけれど、いざ職場に戻ったらもうやらないというものも多いでしょう。それでは継続性がないし、効果も低いと言わざるを得ません。

それに対し“営業の練習”は、商談の合間に日常的に行うもので、それを「商談準備」と言い換えることも出来ます。
しかしあえてそれを「練習」と呼ぶ理由は、単に商談のための用意でなく、そこに継続的な能力向上のための取組みを織り込むことを想定しているからです。
そして私は「その一連の活動をフィードバックループにすること」がもっとも重要だと考えています。フィードバックループとは「そのサイクル(ループ=輪)を回せば回すほど結果や成果が増幅する仕組み」のことです。フィードバックは「分析・評価」の意味です。

つまり本番の商談をつど適切に分析・評価し、それに基づいて改善を加えて、次の商談でより高いパフォーマンスを発揮する、そうした能力自体を継続的に向上させることによって業績アップを図るのです。

私は日頃から、営業とスポーツには多くの共通点があると考えています。つまり営業マンをスポーツアスリートのように考え、練習することで業績アップを図ることが出来ると考えているのですが、両者にはよく似ているところと、そうでないところがあります。

よく似ているところは、例えば、

・どちらも継続的な成果の創出を目指している
・目に見える成果が継続しなければ立場が危うくなる(特にプロスポーツにおいては。この点、営業はそれほどではないかも知れません)

等があります。一方、似ていないところは、

・特にプロスポーツの世界には現役選手としての体力的な限界があり、それによって若くして引退を余儀なくされるが営業にはそれがない

等です。

ちなみにスポーツの世界では、現役引退後に指導者を目指す人も少なくありません。それが営業マネジャーとして部下を指導したり、私のように営業マンの練習のお手伝いをするという行為なのだとすれば、むしろそれはよく似ているところと考えることも出来るでしょう。

そして決定的に似ていないところは次の点です。
・特にプロスポーツ等には日頃の継続的な練習が欠かせないが、営業にはそうした概念すらない

実は、このコラムで私が特に言いたいのはこの点です。上の似ているところを考えれば、当然、練習についても似ていないとおかしいと思えるのに、実際にはそうでもないのはなぜでしょうか?

私は、そこに営業マンの能力向上のポイントがあるような気がしてなりません。
このコラムでは、そうした「営業の練習」について、私なりの考え方ややり方をご紹介していきたいと思います。

営業の練習に役立つ本

今回は、以下の2冊をご紹介します。

●『非才/マシュー・サイド著(柏書房)』

この本の中に次の一節があります。

『キール大学の心理学教授ジョン・スロボダが述べるように、「傑出するための近道があるなどという証拠はいっさいない」。史上もっとも成功したゴルファーであるジャック・ニクラウスも、同じことを言っている。「練習なしでほんとうにゴルフが上手になった人など、一人もいない。たくさん考えて、たくさんショットを打たないとだめだ。多くのプレーヤーを悩ませるのは、才能がないことじゃない。いいショットがくり返せないということなんだ。そしてそれに対する唯一の答えは練習だ」』

著者自身も卓球の選手経験があり、それに裏打ちされた事例を紹介していますし、他にも有名どころの一流スポーツアスリートがたくさん実名で登場しますので、とても興味深く読むことが出来ます。また「練習」の意味について考えるのにも好適な本です。
非才とは「才能にあらず」、すべてのものは練習で上達することが出来るという意味です。

これを営業に置き換えてみても、当然ながら、もともと営業が上手な人などいません。営業スキルを上げたいなら日頃の練習あるのみということでしょう。

●『戦略は直観に従う~イノベーションの偉人に学ぶ発想の法則~/ウィリアム・ダガン(東洋経済)」

以下は、その中にあったナポレオンの話です。
『ナポレオンは、野戦場において、勝利の決め手となる地点を求めては、軍隊を転々と移動させていた。決め手となる地点だと思わなければ、移動を続けた。途中でナポレオンは、敵がナポレオン軍が奪いにかかるだろうと想定する重要な目標地点を何ヶ所も通過した』

これはナポレオンの戦い方の特徴で、同書には、それがクラウゼヴィッツ(の手法)だと説明されています。ここで詳しくは述べませんが、クラウゼヴィッツは「戦略的直観・・・あらかじめ目標地点がわかったうえで物事を始めるということはない」ということを主張しています。(つど直観による適切な戦況判断を行い、最適な次の一手を決定する)
特にナポレオンの成功要因には、それ(直観)が誰より独創的だったことがあるといいます。

営業で言うなら、「わが社の商材がどの市場で勝利できるのか?」を求め続け、「ここだ」という市場で迅速に適確な計画を立案し実行する力と言えるでしょうか。

(“営業の練習”のススメ-その2-へ続く)

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本研修は、営業(渉外)担当者としての基本的な心構えや考え方(モチベーション)から、基本的なマナーや会話、商談に基本的な進め方(スキル)を学んでいただくことができます。特に商談スキル向上ではオリジナルのツール(商談スクリプト)の作成方法や使い方、研修後の継続的な取り組み(練習方法)まで身につけていただきますので、成果の上がる営業マンの育成にはお薦めのコンテンツです。

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