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コンプライアンス経営の実践(一般従業員)その2

自己のコンプライアンス度をチェック

ここでは50問程度の簡単なテストを行います。このテストの中では、例えば、「ボールペン1本程度なら会社の物品を私的に流用しても問題ない」とか、「会社のパソコンで、私的なメールやインターネットの閲覧をしても問題ない」など基礎的なことを問いかけます。

このようなテストを行った場合、筆者の経験では、ほとんどの受講者が何らかの形であるべき姿ではない行動をしていることが多いようです。しかし、ここが重要なポイントです。今まで無意識に行っていたことが、実はコンプライアンス違反であることに気づいていただくことができるからです。ボールペン一本の公私の区別ができる人、できない人とでその意識は全く違います。公私の区分ができない人は、何かのトリガー(引き金)があれば、本来あるべき行動と全く違う方向に大きくそれて、エスカレートしていく可能性があります。これが犯罪(ルール違反)心理なのです。つまり、本当に些細なことから意識を変えていかないと、真のコンプライアンスの実現はできないのです。

研修の中では、今「あるべき姿」と違う方にチェックがついている方は、今後の課題としてしっかりと認識し、意識そして行動を変えるよう指導させていただいております。

勉強会や研修におけるポイント

勉強会や研修において、まず重要なことは、従業員の方に興味を持ってもらうことです。そして、コンプライアンスの重要性を理解してもらうことです。これらを促進するためには、以下のような工夫が必要と考えます。

1.事例の活用

単に、「法律はこうだ、ルールはこうだ、だからこうしなさい」だけでは、受講者は興味も示さず、理解もしづらい研修になります。従って、受講者がニュースや新聞の報道等で知っているような事例を多く使用することで、興味関心を惹きます。一方、最悪の結果(倒産、破綻、逮捕など)から危機意識を醸成します。その上で、関連する法律等を解説すると、興味をもって受講してもらえます。

2.経験を活用

失敗経験や、叱られた経験などを話す場合もあります。失敗経験から自身がどう思い、その後どのように意識や行動を変えていったかを話すことで受講者の理解の促進と共感を求めます。

3.質問の多様

質問も重要です。講師は受講者の理解度等を評価する役割がありますが、質問を投げかけることで受講者の理解度を評価することができます。理解度が目標に至っていない場合は、元に戻って解説する場合もあります。また、質問は受講者にあてられるのではないかという適度な緊張感をもたらします。

4.クイズ形式

テーマの性質上、小難しくなってしまうのがコンプライアンス研修・勉強会です。そのため、受講者の参加意欲を高めるためにもクイズ形式を取り入れることも有効な方法です。

5.分かりやすい表現

分かりやすい工夫は欠かせません。何故ならば受講者に理解してもらって初めて研修の目的が達成できるからです。そのためには以下のような工夫をします。

◆平易な言葉
◆複雑なことは図の活用
◆テキストは箇条書きの多様
◆ゆっくりしたテンポで話す
◆間の活用
◆板書の活用
◆パワーポイントの活用など

皆様の会社・組織のコンプライアンス推進の一助となれば幸いです。