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テレワーク実施が第3フェーズへ、リモートワークとリアルとの役割分担を見直そう

はじめに

日経BP総合研究所による調査「ワークスタイルに関する同号・意識調査」をまとめテレワークを週3日以上と答えた割合が上昇に転じたとのことです。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02854/052900001/

コロナが収束し、一時期は「何でもかんでもリアル・対面が良い」というオンライン化に対する振り戻しがありましたが、ここ最近はオンラインとリアルのメリット・デメリットを冷静に判断する流れに変わってきたと言えます。

オンラインとリアルは対立する構造ではなく、それぞれ役割が異なっており適材適所で使い分けることが非常に重要になってきます。

オンラインの最大のメリットは「時間と距離」を超えることにあります。
より柔軟性の高い働き方が行えることが最大のメリット。

逆にリアルの最大のメリットは「感覚の共有」にあります。
五感「味覚・聴覚・触覚・嗅覚・視覚」それと感情「喜怒哀楽」を直に共有することができる点です。

リアルでできること、オンラインでできること

リアルで圧倒的に優位なのは「観察量の多さ」。

オンラインは画面上で見える範囲で得られる情報量に制限されますので、自ずと得られる情報量は限られてしまいます。リアルの場合は、空気感や背景、相手の感情、画面外の情報などより多くの非言語的分野を含めた情報を得られます。

そういう意味では、OJTや部下育成などの場面ではリアルをメインにする方が良いかも知れません。観察と模倣を通じて成長するのが人と言われています。より多くの情報量(言語化されていないニュアンスにふれることができる)がインプットできる対面指導が向いているかもしれません。

逆にオンラインの場合、時間と距離を超えることができるので、普段は会えないような人と気軽にZoomミーティングができたり、短時間でより多くの人と面談や商談ができるという点が挙げられます。

営業職であれば、初回面談はオンラインにすれば無駄な時間を省くことができます。オンライン商談で判断してから、リアルで会うのかを判断する、といったオンライン活用が可能ではないでしょうか。

些細な会議やミーティングなどはオンラインで充分。

オンラインには、他のメリットもあります。リアルよりも「感情の共有」がされにくいことはメリットでもあり、新入社員や若手が発言しやすくなります。とりわけオンラインのチャット機能は、年齢の差や役職の差を超えて幅広い意見を引き出すのに向いているようです。
一方、リアル会議だと上司が一方的に話してしまって部下たちが抱いている考えや意見が出てこないということも多いので、若手の意見を引き上げるにはオンライン活用が一つの選択肢となりえます。

オンラインはインシビリティを生み出す

ただし、オンラインはインシビリティ(礼節の欠如)が起こりやすいという点は覚えておく必要があります。インシビリティとは、ハラスメントまで明確ではないが、なんとなく失礼。というモヤッとした状態です。例えば、テキストコミュニケーションをする中でぶっきらぼうに冷たい返答をする。質問に対して返答しない。ホウレンソウがなくなる。など、ハラスメントとまでは行かないけれど、もやもやしてしまうような行為です。

オンラインの場合は、感情の共有が無いことや相手の顔が見えないことから「やらなくてもいいか」となりがちです。今までは当たり前にやっていたことを「端折る」ことが増えます。

挨拶をしない。返答をしない。クッション言葉を入れない。など今までやっていたことをしなくても良いと錯覚してしまう。これによりインシビリティが生まれてしまいます。

オンラインの場合は、相手と対面しないがゆえに「相互信頼の構築」がとても重要となります。相手から信頼されていないのでは?となりやすいのがオンラインであり、インシビリティの蓄積が相手との不和を生む原因となりやすいという点を覚えておきましょう。

オンラインで生産性が下がるのか?

「リモートワークを増やすと生産性が下がる」
これも良く聞きますが、これまでのところリモートワークにしたから生産性が明確に下がるとは言えない状況です。結論を言えば、さして変わらないようです。

リモートワーク、生産性に大きな影響与えないもよう-米SF連銀調査

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-17/S7DOJ4T0G1KW00

良く考えればわかることですが、リアル時代にサボっていた人は、リモートでもサボる。リアルで仕事をしている人は、リモートでも仕事をしている。という結論です。リアルだから、リモートだから、という違いは無いのではないでしょうか。

さらに言えば、オンラインやリモートをより有効活用するための工夫が不十分なのだと感じます。オンライン・リモートをリアルの代替手段として捉えているケースが多いのですが、そうではなく全く別の特性を持ったコミュニケーション手段だと捉える必要があるのです。

例① 画面の共有・意見の共有

オンラインでは共有が非常にラクです。画面共有やメモの共有(私はiPadを使って手書きメモを共有しながら打ち合わせをしています)、さらにはチャット機能を使って同時に複数の意見を聞き出すことがでいます。短時間で多くの情報が共有できる点はメリットとして大きいのではないでしょうか。

例② 相手の表情を読み取る

Zoomでは相手の表情が意外なほど良く見えます。実は対面以上に相手の表情を読み取りやすいツールでもあります。また距離感を一定に保ち続けられるため、例えば、声の大きい主張の強い相手と打ち合わせをする際にはZoomなどのオンラインツールを介したほうが対等な商談に持ち込めます。

他にもオンラインの活用方法は様々ありますが、オンラインを新たなコミュニケーションツールとして捉え直す時期に来たと言えるのではないでしょうか。

報告・連絡はリモート&自動化、相談はリアル。

先日拝聴したNewsPicksでもオモシロイ切り口がたくさんありましたが、特に報告と連絡は過去を伝えるものなので自動化やリモート、オンラインを活用する。逆に、相談は未来を作る観点なのでこの部分についてはリアルを中心に行う。という切り分け方は非常に参考になりました。

最後に、今こそリモートワークとリアルを改めて見直して、役割分担すべき時代に突入したのではないでしょうか。それぞれのメリット・デメリットを考え、うまく使い分けていきましょう。