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落ち度がなくても炎上はありえる?「巻き込まれ」SNS対策について


企業の魅力を発信したり、ユーザーとの双方向のコミュニケーションを取れるSNS(ソーシャルメディア)。有効に使いこなすことができれば非常に便利なツールですが、近年ではSNSによる企業の炎上がニュースに取り上げられることも多々あります。昨年は、大手外食チェーン・吉野家の当時の常務取締役本部長の不適切発言や、人事担当者による就職差別とも捉えられる発言が、SNSを通して明るみに出ました。

SNSの運用コンサルティングなどを行う株式会社コムニコの発表によると、2022年に観測されたSNS炎上の総数は247件(前年比+119件)、平均炎上日数は21日(前年比-10日)でした。また炎上が多く観測された業種の集計は、1位が飲食サービス業、2位がスポーツ、3位が食料品メーカーであり、食品関連の企業はとくに炎上が起きやすい傾向にあることがわかります。

参考:株式会社コムニコ『【SNS炎上最新情報】2022年に起きた炎上件数・言及数まとめ』

炎上は企業や従業員の対応が引き金となるケースが多くみられます。ところが、2023年1月に発生した株式会社あきんどスシローの事例はユーザーによる不適切行動が原因となりました。今回は、企業ではなくユーザーが引き起こす炎上について考えてみましょう。

あきんどスシローの炎上

2023年1月、回転寿司チェーン・スシローの岐阜県内の店舗で、男性客による迷惑行為(店内の備品を舐めたり、回転レーンにある商品の寿司に唾液をつけるなど)が行われました。その様子を撮影した動画がSNSで拡散され、大きな話題に。親会社となる株式会社FOOD & LIFE COMPANIESは株価が大幅に下がり、時価168億円分もの損失があったと報じられたことも注目を集めました。

参考:Business Journal『スシロー、高校生の迷惑行為で「株価168億円下落」 億単位の損害賠償の可能性も』

この事例はあくまで消費者の迷惑行為に起因するものであり、企業側がきっかけではありません。しかしこの件でスシローはイメージダウンやそれに伴う株価暴落など、多大な被害を被っています。

これまで、飲食店やコンビニエンスストアで起きる炎上は、従業員による「バイトテロ」などが多く報道されてきました。ところがSNSが発達した現在、どこに炎上の火種があるのか予想するのは難しいものです。今回取り上げたスシローの事例のように、自社の従業員ではなくお客様や取引先といった外部要因で炎上が起こることもありえます。今一度、炎上があった際の行動フローを見直すべきではないでしょうか。

炎上が拡大する流れ

炎上が拡大していくプロセスについて理解しておくことも大切です。SNSによる炎上は、【火種の発生→火種の拡散→炎上】という3つの段階で拡がっていきます。

  1. 火種の発生…炎上のきっかけが起こる
  2. 火種の拡散…まとめサイトなどに掲載されることで多くの人の目に触れ、火種が拡がる
  3. 炎上…拡散により、無関係の人が炎上に参加する

なるべく早期の段階で火種に気づき、対応することが重要です。

Instagramは炎上しにくいって本当?

火種の発生や拡散はSNS上で展開されることが多く、とくに「リツイート」機能があるTwitterが炎上しやすい傾向にあります。Instagramには、リツイートのようにほかのユーザーの投稿をリポストする機能がなく、24時間で消滅する「ストーリーズ」機能の利用が活発であることから、炎上に繋がりにくいというイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

しかし、今回のスシローの炎上事例は、Instagramのストーリーズへの投稿が引き金となりました。ユーザーの不適切な行動が原因で炎上する場合、事態に気付けず対応が遅れてしまう恐れも。自社に関連するSNSの動きには、常にアンテナを貼っておく必要があります。

炎上は早期対策が肝

実際に炎上が起きてしまった場合、速やかかつ適切な対応によって、できる限り拡散を抑えることが大切です。炎上はおよそ72時間で沈静化すると言われているため、その時間内に可能な限りの対処を行いましょう。

スシローのケースでは、迷惑行為が発覚したのが2023年1月29日でした。翌日の1月30日、翌々日の2月1日には現状報告や実施済み・実施予定の衛生対策についての声明を発表しています。2月3日には、騒動を受けて店舗オペレーションの一部を変更することも明らかにしました。

参考:株式会社あきんどスシロー『SNSで拡散されたスシロー店舗での迷惑⾏為について』『SNS で拡散されたスシロー店舗での迷惑行為に関するお知らせ』『店舗運営方法の一時変更について』

「誰がどのように対応するのか」フローを作っておくことも大切

スシローの事例のようなSNS炎上は、決して対岸の火事ではありません。飲食店に限らずどのような業種の企業であっても、外的要因による炎上対策を行う必要があります。具体的には、実際に炎上があった場合の対応フローを策定してくことをおすすめします。「誰が、どのタイミングで、どのように対応するのか」といった役割の明確化や行動指針、判断基準などを定めておくことで、いざというときにスピーディーな対処が可能です。

また、SNSの仕組みや炎上そのものについても理解を深めておくと良いでしょう。セミナー&研修.netでは、SNSの炎上対策についての研修を用意しています。たとえば「SNS(ソーシャルメディア)利用のコンプライアンス研修」は、SNSを利用するにあたり心得ておきたいコンプライアンス、情報漏洩や誤爆の対策、炎上の予防などについて取り上げているのが特徴です。SNS炎上について知っておくべき内容を一通り網羅できます。

ほかにも、自社で炎上があった際のプレスリリースや記者会見での対応についての研修や、情報セキュリティについての研修などさまざまなカリキュラムがあり、今後SNSを活用していくうえで欠かせない知識を得られます。企業の業務内容や方針などに合わせて研修内容のカスタマイズも可能です。オンラインでの実施も承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください!

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