接客業において、お客様に心地よく過ごしていただくために欠かせない接客マナー。マナーの本質は、相手への気遣いや思いやりをを示すためのものです。しかし、「こうしておくのがルールである」と形骸化してしまっている店舗やサービスも多く見受けられます。今回は、マナーの本来の意味について考えてみましょう。
目次
ジョージア大使のディムラズ・レジャパ駐日大使の優先席マナーについての議論
2023年6月に、下記のツイートに対して「優先席に座らないで」という批判が巻き起こったそうです。
ゆらゆら都心へ進みます。 pic.twitter.com/1rVJmIUv2H
— ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使 (@TeimurazLezhava) June 18, 2023
そして、大使がコメントをしたのが下記。
優先席に座っていることに関して注意を受けました。
私が言うのも何ですが、理屈のない不要な圧力は、生きづらい社会につながるためやめましょう。空いている席に座ることに何ら問題はありません。大切なのは、必要とする方が来たときに率先して譲る精神です。
何なら、私の妻は、妊娠中や乳幼児を連れてときに、優先席を譲られた経験は一度もありません。だから、優先席に座っていることで、誰にも迷惑をかけていない私が注意される理由は理解できません。
さらに、人間として「当たり前」である他人に気を配ることができずに、変な社会のルールを押し付けるような、無機質な考えは私は正しいとは思いません。(原文ママ)
優先席に座っていることに関して注意を受けました。
私が言うのも何ですが、理屈のない不要な圧力は、生きづらい社会につながるためやめましょう。空いている席に座ることに何ら問題はありません。大切なのは、必要とする方が来たときに率先して譲る精神です。… https://t.co/mdbSfnhn6H
— ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使 (@TeimurazLezhava) June 18, 2023
「理屈のない不要な圧力」という部分に共感しました。マナーとは本来「他人への心遣い」であり、「べき論」ではありませんよね。
接客マナーとは
私たちを取り巻くマナー
電車に乗ると「社内マナーへのご協力をお願いします」といったアナウンスやポスターが目に入ります。内容は、優先席では席を譲る、社内での携帯電話の利用は控える、イヤホンで音楽を聞くときは音漏れに気をつける・・・などです。
電車の中だけではありません。結婚式のマナー、お葬式のマナー、ビジネスマナー、テーブルマナー、手紙のマナー・・・私たちの身の回りには、数多くのマナーが存在しています。
マナーという言葉の意味
「マナー」とは本来どのような意味なのでしょうか?国語辞典を引くと「態度、礼儀、礼儀作法」とありますが、マナーは本来、人間が集団で気持ち良く生きていくための知恵です。集団の中でお互いを気遣うことを、「決まり」としてわかりやすく形式化したのをマナーと呼んでいます。
当然、国や民族など、所属する集団が異なればマナーも変わります。たとえば日本では、食事の際に食べ散らかすのはマナー違反です。一方で、中国では食べ散らかすのが礼儀とされています。「食事を食べ散らかすこと=楽しんで食事をしている」という意思表示で、招待してくれた相手への礼儀だと考えられているのです。
そのほか洋食のマナーとして、食事が終わった後にナプキンを丸めてテーブルの上に置くというものがあります。日本ではみっともないと考えられがちですが、もとは「ナプキンをたたむのも忘れるほど美味しい食事でした」という感謝の気持ちを表すためのマナーなのです。
しかし、本来マナーに備わっている「他人を気遣う」という想いが忘れられ、その形式だけが残ることで逆に堅苦しくなってしまうケースが見受けられます。
接遇・接客のマンネリ化
さて、ここで店舗での接客マナーについて考えてみましょう。接客のマナーは数多くありますが、一例としてお客様へのお声掛けを取り上げます。
接客7大用語として、以下が挙げられます
- いらっしゃいませ
- かしこまりました
- 申し訳ございません
- 恐れ入ります
- お待たせ致しました
- ありがとうございます
- 少々お待ちくださいませ
これらは、接客の基本とされています。なかでも来店時の「いらっしゃいませ」と、お買い上げになった際の「ありがとうございます」は、店舗で必ず耳にするフレーズですよね。
最近では、挨拶がマンネリになっているケースも。コンビニやスーパーで「いらっしゃいませ」が棒読み、早口になっているスタッフをよく見ます。彼らは決してお客様の顔を見ようとせず、一方的に言葉を言っているだけにすぎません。セルフ形式の店舗だけではなく、飲食店やアパレルショップでも同じ場面に出くわすことがあります。
私が出会った2つの接客
先日、スカートを買いにアパレルショップに足を運んだ時のことです。夏のセールが始まったばかりの時期だったので、好みのスカートが値下げ価格で何種類も販売されていました。
自分の手持ちアイテムとの組み合わせを考えながら商品を手にとって検討していたところ、販売員の方が、商品整理をしながら私の隣で叫んだのです。
「いらっしゃいませー。店内、お買い得価格になっておりまーす。ぜひご覧くださいませー」
この一言で、私は手に取った商品をもとに戻して店をあとにしました。
どうしてもスカートが欲しかった私は、後日別のショップへ行き、同じように手にとって検討していました。再び私の隣に販売員の方が来たのですが、彼女は私に向かって語りかけてきました。
「いらっしゃいませ。セールが始まったばかりなので、今、一番お買い得ですよ」
この一言がきっかけとなり、私は彼女に手持ちの服がどのようなものかを伝えて、的確なアドバイスを受けながらスカートを買うことができたのでした。
接客に必要な本来のマナーとは
例としてご紹介した2人のスタッフの言っている内容はさほど変わりません。大きな違いは「お客様」である私に対しての気遣いがあるかどうかです。気遣いがないと、挨拶はマンネリ化してしまい、お客様が離れていきます。接客が重要である飲食店やアパレルショップならなおのことです。
一方でお客様を気遣う声掛けをしたスタッフは、それがきっかけでお客様との会話につながり、売り上げを獲得できたのです。
接客マナーが売り上げを左右する
価格や商品自体の魅力で大手チェーンと差別化をするのが難しい中小規模の店舗にとって、販売員に接客マナーを徹底させることが大きな機会獲得につながります。「お客様を気遣う」という本質に沿った接客が大きな差別化となり、リピーターを増やすことができるのです。
では、お客様への気遣いをもった接客を行うにはどのようにするべきでしょうか。大きく2点が挙げられます。
- お客様が話しやすい外見にする
- お客様を観察して、語りかける
①については笑顔、服装、身だしなみを指します。笑顔がなく、清潔感のないスタッフには誰も近づかないですよね。まずはお客様が近づいて話しやすいような外見を作りましょう。
②は、お客様と会話しようとする姿勢を指します。初めて顔を合わせる相手と会話するためには、先方の出方をよく見て、合わせることが大切です。お客様との会話に発展すれば、お客様に合う商品をすすめることができ、売り上げになります。
接客マナー研修で今一度「接客」の本質を考える
今回は接客業を例に挙げてお話しましたが、マナーが必要とされるのはどの業種・職種でも変わりません。販売職には販売職、営業職には営業職、管理職には管理職、それぞれに求められるマナーや立居振る舞いがあります。
従業員のマナーに対する意識をアップデートすることで、より多くのビジネスチャンスを獲得できるようになるでしょう。セミナー&研修.netでは、さまざまな接客研修やマナー研修を用意しています。
研修の一例
- 接客業向けビジネスマナー研修
- CSお客様対応力研修
- 管理職のための身だしなみ・服装研修
- CSお客様対応力研修
研修では実際の場面を想定したロールプレイングを多く取り入れており「この場合はどうすればいいだろう」と自分で考えながら学べるのが特徴です。マナーの形骸化させず、本質的な部分を理解しながら習得することを重視しています。
カリキュラムの一例として「接客業向けビジネスマナー研修(中堅スタッフ向け)」の一部をご紹介します。
- オリエンテーション
- 接客スタッフとして働く者の意識(講義、グループ討議)
- スタッフとして、何を意識して働けばよいのか
- お客様の満足とは
- クレームや苦情に対する心構え
- 第一印象の重要性(講義、動作訓練)
- 身だしなみの基本を再確認
- 表情管理による親近感の作り方
- 立ち居振る舞い(講義、動作訓練)
- 立ち居振る舞いの基礎を再確認
- 実際の接客業務の流れに乗せて実践(動作訓練)
- 差がつくお辞儀の方法
- 電話応対の基本を再確認(講義、動作訓練)
- ビジネス電話の基本
- 声の表情作り(第一声は店舗や組織の顔)
- 接遇力を強化する(講義、動作訓練)
- 気づく力を磨く、表現する力を磨く
- 一瞬を大切にする、自分流の接遇を考える
- 接遇力を強化する(二人一組のロールプレイング実習、ビデオ撮影と相互評価・講師評価のフィードバック)
- 言葉遣いにも今一度気をつけよう
- 挨拶はコミュニケーションの第一歩
- まとめ・質疑応答
上記はあくまで一例であり、研修内容や研修時間に関してはご要望に応じてカスタマイズ可能です。ぜひお問い合わせください!