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みなさん、こんにちは。朽木鴻次郎です。ジャイロ総合コンサルティングで研修/セミナー講師をしています。主なテーマはコンプライアンス推進、ハラスメント防止などの企業法務 です。今回は「SNS向けコンプライアンス」についてです。
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インターネットを介した人と人との繋がりや交流を補助し促進するサービス、それがSNS (ソーシャル・ネットワーキング・サービス)です。日本では黎明期のニフティーサーブなどによるパソコン通信から始まり、ミクシィやGREEなどの交流サイトから、フェイスブックやインスタグラム、ユーチューブ、ツイッターと発展してきました。個人でブログを開設するハードルもものすごく低くなりました。SNSはとても楽しいものです(※1)。
私もブログ、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムをプライベートで楽しんでいます。SNSは生活のアクセントですね。ぜひ始めていただきたい。
(※1)本稿ではSNSの定義を広くインターネットで情報発信ができてインタラクティブな意見交換機能がついているものとしています。ゆるい定義です。
昨今では、個人が個人として私的にSNSを利用して楽しむだけではなく、企業が、業務の一 環としてツイッターやインスタグラム、フェイスブックなどのSNSを利用することも珍しく はなくなりました。 いや、「珍しくない」どころか、ホームページに加えて、ツイッター やインスタグラム、フェイスブック、それぞれのSNSの特性を活かしてビジネスを展開しないと生き残れない時代になっています。
炎上するのが怖い? そんなことでSNSの世界に飛び込むことをためらっているとしたらもったいないです。
全然怖くない。
ちょっとした常識的な注意をしていれば、めったに炎上することなんかありません。コンプ ライアンスに注意していたとすれば、万一理不尽に炎上しても全く問題なく解決に向かうでしょう。SNSなんて怖くないんです。
SNS活用研修(コンプライアンス)
多くのSNSで採用されている「いいね」や「フォロワー」のシステムは人々が持っている承 認欲求や共感欲求を上手にくすぐるスグレモノです。人は楽しいことや悲しいことを感じる と、それを誰かに伝えたい、そして共感してほしい、認めてほしいという本能を持っている と言われています。人々の承認欲求や共感欲求、SNSはそれをうまく使って巨大に発展しています。
そんなSNSですが、うっかり不適切な発信をしてしまって、情報漏洩や人権侵害を引き起こしてしまう可能性もあります。コンプライアンス違反な発信をしてしまうと、ネガティブコメントをもらったり、拡散炎上し、誹謗中傷や人格否定をされたり、ひどい場合には社会問題にも発展します。
プライベートのSNSアカウント。匿名やペンネーム(ハンドルネーム)での発信だったはずが本名やプライバシーを晒されたりするケースも稀ではありません。情報発信やプロモーションのために作ったビジネスの公式アカウント。コンプライアンス違反や不適切発言で、かえって企業の信頼を毀損してしまうこともあります。
SNSを楽しむために、ビジネスに活用するために、コンプライアンスの観点から気をつけること、ほんのちょっと意識すること、それがこのコラムのテーマです。
低レベルでの問題投稿が世の中にはあふれています。ツイッターを「バカ発見器」と呼ぶ人もいるくらい、低レベルの発信をしてしまう人たちがいます。
狂言殺人、土下座強要、スピード違反自慢、いじめ、動物虐待などの「悪質系」、ファストフードやコンビニでのバイトテロ(食べ物に悪ふざけ)、マンション屋上の給水タンクで泳ぐなどの「悪ふざ系」、そんな低レベルの画像や動画を公開するタイプです。
間違った正義感を振りかざす人もいます。路上ライブが禁止されているにも関わらずライブをやっているアーチストがいる。その人からわざわざCDを買う。そして目の前でそのCDを 踏みつけて壊す。なぜ?と悲しい目をするアーチストに「路上ライブは禁止なんですよ!」 と吐きつける。行き過ぎた正義感を振りかざし、動画を投稿する人がいます。「疲れてたからおばあさんに席を譲らなかった」なんて発言に対して全人格を否定するかのリプライをする。こんな間違った倫理を振りかざす意識高すぎ系。
悪いことを悪いと言われるまで気づかない。線路が続く風景が絵になるからといって、踏切から立ち入り禁止エリアに入って写真を撮る人。テーマパークのグッズ売り場で売り物のぬ いぐるみにキスしている写真を撮ってインスタに投稿する人。でもそのぬいぐるみは買うわ けではありません。
「無意識」。これ、実は気をつけなければいけないんです。「コンプライアンスは知識より意識」と言われます。「無意識に違反してしまっていないかな?」こう考えてみることが大 切なんですね。差別などの人権侵害など、無意識にコンプライアンス違反をしてしまってい ることはないでしょうか?
悪質系や悪ふざ系、意識高すぎ系は別にして、SNSコンプライアンス違反の大半は無意識やうっかりが原因です。大別すると三つです。
1. 人権への配慮不足(差別など) 2. 行き過ぎた意見や暴言 3. 情報の漏洩
人権問題、差別問題には注意が必要になります。その多くは「無意識に」犯してしまっているコンプライアンス違反です。人種差別、国籍差別、出自、性差別…。差別って差別してい る方は「キョトン?」です。気がつかないんです。「差別は人権問題」という知識はある。しかし、意識が追いつかない。そして無意識に差別的発信をしてしまう。
特に気をつけたいのが「ジェンダー」関連です。鈍感な政治家じゃないですが「女性は子供を産むもの」「男性は外で仕事、女性は家庭を守る」「男性の方が女性よりも優れている」 そういった価値観での発言や、下ネタジョーク発言。
ディズニーが典型でよく引き合いに出されていますが、最近のハリウッド映画は、マイノリティや女性が主人公になってるものが多くなってるとお気づきですか?そうなんです。 ジェンダーに代表される多様性に配慮しているんです。なんでも新作の007は黒人女性だとか。(ジェームス・ボンドが女性になるのではなく、コードネーム「007」が黒人女性に引き継がれるらしいですけど。)
「行き過ぎた意見や暴言」の例を探してみると、大量に見つかりました。酷いですね。「行き過ぎた」意見・暴言なのか、「差別」なのか。はたまた「悪質系」なのか、多分どの要素もあるんでしょう。ご家族の前で、同じことを言えるかどうか、恥ずかしくないのか、そんな気がするものばかりです。
人を傷つける暴言は絶対NGです。でも、ネットには暴言が多いです。ついつい流れに流さ れて、「ブス」「バカ」「必死すぎ」「死ね」そんな暴言を発信してはいけません。政治的 に反対な立場でも「xx死ね」なんて暴言は許されないものです。
それでは政治的発言、意見や心情の発露は全てコンプライアンス違反か? 例えば、捕鯨問題、靖国問題、日韓問題、現政権への批判などは、全てコンプライアンス違反なのか?
そう問われれば、そうではありません。健全な議論と誹謗中傷やディスとは違います。言葉使いに配慮し、意見の異なる相手へのリスペクトがあれば、コンプライアンス違反には問われないかもしれません。とはいえ、自分では礼儀正しくても、コメントやリツイートなどで 暴言を吐かれてしまうこともあります。そして、健全な意見が暴言へとエスカレートしてしまうのです。
私はこう思うんです。わざわざネット(地雷原)で危ない行動をとることはないのでは?昔から、「政治の話」「野球の話」「宗教の話」は世間話では避けたほうがいい、そう言われていますね。ネットでも同じことです。
ビジネス用のSNSアカウントなら、そのビジネスとは関係のない政治問題や社会問題はなおさら避けたほうがいいかもしれません。
SNSでのコンプライアンス違反、その典型の最後は「秘密情報の漏洩」です。
・「うちの会社、景気いいからボーナス期待できそう」 ・「クチキ先輩のドイツ出張の壮行会で盛り上がった!うぇーい!」
そんな何気ない一言が「秘密漏洩?」にも当たる可能性があります。決算は発表されていないし、ドイツのプロジェクトは社命をかけた極秘のものです。
何気なく撮った社食での一枚の写真。「今日のお昼はスペシャルランチ!」でもそのかたわ らに写り込んでいた書類には重要な個人情報が….!
情報漏洩は「ついうっかり」が多いようです。
それでは、プライベートのSNSで、職場のこと、仕事のことは一切触れてはいけないのでしょうか?
企業の側から考えてみましょう。仮にそう望んだとしても、従業員のSNSを「禁止する」ことはできないでしょう。個人の自由を制限することになるからです。「SNSの利用にあたっては、品位を保ち、秘密情報が漏洩しないように厳重に注意すること」就業規則やガイドラインにそう定める。できるのはその程度でしょう。「届出制」にする?それも微妙ですね。 オススメしません。
では、従業員の側から考えてみましょう。SNSにアップしてみんなに見てもらいたい、共感して欲しい、リア充ぶりを発信したい、そんなことと、「秘密情報をうっかり漏らしてしまって、会社から厳重な注意を受ける、下手すればクビ」というリスクを天秤にかけるのです。 承認欲求とクビになるかものリスクです。どちらが重いでしょう。
職場のことを書く書かないは、秘密情報の漏洩をしない限り個人の自由です。ところが「秘密情報」はつい、うっかり漏らしてしまうものです。
SNS炎上対応・リスクマネジメント研修
あれが危ない、これに気をつけて、みたいなことを書きました。でもね、よくよく考えてみると、普通の生活でしちゃいけないこと、しない方がいいことを、SNSでもしないだけなんです。
SNSなんて怖くない! むしろとっても楽しいですよ!
SNS向けコンプライアンス その2
著者 朽木鴻次郎
ジャイロ総合コンサルティング(株)・コンサルタント 「企業法務・コンプライアンス」をテーマとし「企業の秘密を守る」「SNS利用の注意点」「パワハラやセクハラ、職場のいじめやいじり」などの領域に詳しい。 84年一橋大学法学部卒業後、数社での経験を経て、04年から任天堂勤務。DS/3DSシリー ズ、Wii/Wii U、Switchなどの立ち上げに関わるとともに国内外のサプライチェーンでの CSR/法令遵守推進活動に従事。18年に任天堂退職。一貫して法務畑。1960年(昭和35年)生。
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