メンタルヘルス ラインケア~ラインケアの要は管理監督者~


労働者のメンタルヘルス不調は増加の傾向があり、最近では職場のいじめや嫌がらせの相談件数も増加しています。

厚生労働省のラインケア研修マニュアルには、「管理監督者によるサポートは部下のストレス反応に良好に作用し、メンタルヘルス不調者の早期発見や職場復帰に関与する重要な人的資源でもある。」「メンタルヘルス対策のための職場におけるシステムを円滑に運用するためにも、管理監督者の理解と協力が必要。」と管理監督者の関与がメンタルヘルス予防に重要な役割を果たすとあります。

ラインによるケアが必要なのは、管理監督者は、部下である労働者の状況を日常的に把握している。
個々の職場のおける具体的なストレス要因を把握し、その改善を図ることができる立場にある、といった面からキーパーソンとなっています。

 

上司は最大の職場環境

職場環境イコール上司。部下たちが職場環境を改善することは難しく、職場環境の改善は上司にしかできないのです。

部下は上司が思っている以上に上司の事を見ています。上司の動きや一言を常に感じて仕事をしているのです。リーダーが職場の最悪なストレッサ―にならない為には教育・研修が必要です。

「ラインケア研修は年1回やっている」、「ラインケア研修はやったことがある」に留まっていないでしょうか?年1回では実践に結びつけるのは難しいです。

理想的なラインケア研修は年2回、セルフケア研修は年1回実施すると良いでしょう。ラインケアではコミュニケーション、集団分析結果勉強会、職場環境等の改善、個別相談対応、セルフケアなど毎回実践的なテーマで対話型のラインケアを取り入れ、知識とスキルを習得していくと良いでしょう。

※対話型のラインケア:グループワークを中心に、職場の問題解決に向けた自発的な行動を促すために有効です。課題を抽出し、受講者で検討内容を共有し、自職場(会社)のゴールに近づけるヒントになります。

 

相談体制が重要な理由

厚生労働省の調査によると、悩みを上司・同僚への相談している人は67%、つまり身近な上司へ相談する機会が多いです。

そこでしっかり対応できればメンタル不調は未然に防ぐ事ができます。

しかし、対応を誤ると部下は二度と相談に来なくなります。部下の心身の変化に気づかず、何気ない不用意な一言が部下の心を傷つつけていたり、ハラスメント行為に繋がってしまう場合もあります。

部下が話しかけてきたら、手を止めて向き合うなど、相談しやすい雰囲気をつくることも必要です。

 

ラインケアのポイント「声かけ」「傾聴」「アサーション」

メンタルヘルス対策では管理監督者の役割が大きいです。

日頃から部下に関心を寄せていますか、部下の変化を見逃さないようにしていますか、いつもと違う部下に気づく事がラインケアとして大切なことです。それには、管理監督者は日常的に自ら部下に声をかけましょう。

声かけや挨拶は「あなたの事を気にかけている。」といったポジティブストロークです。
ポジティブストロークによって、「実は聴いてほしい事がある・・・」と話し始めたら、傾聴しましょう。相談したことで悩みが解決する、解決しないが気が楽になったということが多いです。

また、自分の考えを正直に率直に相手の立場を考えて伝える「アサーション」、相手に理解してもらうことを目指す自己表現です。自分の思いがなかなか伝えられない時に使えるスキルです。対話型メンタルヘルスを心がけましょう。

 

いつもと違う部下に気づいたら

管理監督者には労務管理上何らかの対応をすることが求められます、しかしその背後に病気が隠れていることもあるので、それを確認する必要があります。

病気については産業医等の医師の仕事ですが、管理監督者は部下の話を聞き、産業医へつなぎましょう。

本人が面談を嫌がる場合は管理監督者自身が産業医のところに相談に行く場合もあります。

職場での対応は人事担当者と一緒に検討しましょう。
「死にたい」と言われパニック状態になってしまった管理監督者がいます、どんな場合でも自分が解決しようとしないでください。衛生委員会等で審議を行うなどして、仕組みを作っておくと良いです。

内部相談窓口や外部相談窓口についても知っておくことは大切です。管理監督者は、「安全配慮義務」の履行責任者です、管理監督者が 「何をしたか」「何をしなかったか」によって、安全配慮義務違反や注意義務違反などの過失が問われることもありますので、早めに対応するようにしましょう。

 

管理監督者のセルフケア

管理監督者自身が自分のセルフケアを行う事は、メンタルヘルス対策で重要なことです。

①簡単なリラックス法を身につける(マインドフルネス呼吸法、ストレッチなど)

②睡眠を十分とる(ポイントは起床時間 規則正しい生活で体内時計を整える)

③適度に運動する(こまめに体を動かす習慣をつける)

④ストレス解消をタバコ・酒・ギャンブルに頼らない(依存症)

⑤親しい人と交流する(客観的視点、自分の気持が整理できる)

⑥笑うこと(自律神経のバランスを整え、免疫力を正常化)

などがあります、どれからでも良いので実践してみてください。

自分がやって効果のあることは部下にも勧められます。上司が心身共に健康であると、部下・職場の健康な職場になります。
そして、いつもと違う自分に気づいたら、早めに対応しましょう。

著者 橋野由利子

音楽大学卒業後、ピアノ個人レッスン、ヤマハ音楽教室システム講師、県立高等学校・県立看護専門学校にて音楽講師を経験。
ホテルにて接客・会員事務局・エステやブライダルの立上げ・運営を経験する。その後、全国展開する会員制リゾートホテルにて、人材育成・社員表彰制度・教育訓練システム開発と運営、新入社員研修をはじめ、接遇マナー研修、OJT研修、中堅社員研修などの研修を担当、企業理念浸透活動と全施設コーナーのSOP(Standard Operating Procedure)作成と浸透活動などに携わる。ES&CS活動
現在、産業カウンセラーとして働く人の保健室「あとむらぼ」の代表として、メンタルヘルスケア支援、経営者の心理カウンセリング、キャリア開発支援の他、接遇マナー・メンタルヘルス研修・ハラスメント研修講師として活動している。また、メンタルヘルスを可視化するWINフロンティア㈱でメンタル&メタボ対策新ソリューションの提案の研修担当者として活動中。

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