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詐欺から身を守ろう

詐欺や悪徳商法についての講演をすることがありますが、人のお金を巻き上げることに、どうしてこうも抵抗がないのかと呆れてしまいます。

 

急増する特殊詐欺

最近とくに多いのが「特殊詐欺」。2017年の被害総額は、390億円だそうです。

特殊詐欺とは、結婚詐欺のような接触して金品をだまし取るものと違い、面識のない不特定多数を対象に、電話やはがき、メールなどを使ってだます詐欺のことです。

代表的なのが「オレオレ詐欺」とも呼ばれる「なりすまし詐欺」で、被害総額は203億円強と特殊詐欺被害額の半分以上を占めます。被害者の多くは高齢者で、子や孫の非常事態に慌ててお金を用意してしまいます。

これほど報道されているのに、なぜ引っかかるのだという声もありますが、子や孫を思う気持ちが先立ち、気が動転してしまうのは間違いないでしょう。そうなると、声が違うことも気づきません。

 

我が家で起こったなりすまし事件

実は、お金を要求する電話ではありませんでしたが、母も一度、だまされたことがあります。電話を取るとボソボソ。高校生だった私の長男かと思って、「Tか?」と名前を呼ぶと、「そう」。「どうしたの?」「モヤモヤしてる」。

母は私に「Tが性のことで悩んでいるみたい。昼間、電話してきた」。

Tにそっと尋ねると、「授業中なのにかけるわけがない」。

それでも母は「Tの声だった」と主張します。

状況を詳しく尋ねたところ、そういえば「今どこ?」と聞くと、最初「会社」って言った…と思い出し、ようやく「なりすまし」とわかりました。どうも、わいせつ電話の類だったようです。

わざわざ「会社」と言うのを「何言ってるの?学校でしょ?」と訂正させてまでTだと思い込んでしまう恐ろしさを目の当たりにしました。

 

役所から医療費が還付されるはずがない

オレオレ詐欺以外にも、「還付金があるからATMで手続きを」という手口が横行しています。お金を振り込んでもらうのに、こちらがATMを操作するなんて、おかしいのですが、うまく誘導されてしまうようです。

それに、知っておいてほしいのは、「医療費の還付」なんてありえないということです。

医療費控除という制度はありますが、これは医療費が多くかかった人の所得税を軽減するもの。「医療費の還付」でなく、「医療費控除による所得税の還付」なのです。

税務署に確定申告をして、税務署から還付されます。

しかも、こちらから申請して初めて還付されるもの。何もアクションを起こしていないのに、役所関係から電話連絡があることは絶対にありえません。

役所であれ、税務署であれ、この時点でおかしいと思ってほしいですね。

 

詐欺に遭わないためには

世の中に蔓延する詐欺事件について、まず肝に銘じてほしいのは、下記のことです。

・詐欺師の手口は極めて巧妙である

・誰でも思い込んでしまったり、気が動転したりすることがある

・つまり、いつでも、誰でも、どこでも だまされる危険がある

 

そして、詐欺に遭わないために一番大切なことは、「手口を知ること」。どんどん新手の詐欺や悪徳商法が登場するので、「まさか」と思うことばかりです。常にニュースなどにも耳を傾けるとともに、多くの人と話をすることで、情報を共有してください。

先ほどの「医療費還付」もそうですが、「知識をもつこと」は大切です。劇場型詐欺のように、「事故現場」で弁護士や警官が示談を勧めることはあり得ませんし、「示談すれば起訴されない」こともありません。

また、一度だまされた人は、再びだまされるケースが多いので、注意が必要です。だまされやすい、優しい性格であることに加えて、「あのときの損を取り戻せる」などとうまく心理を突かれるからです。

架空請求詐欺、当選詐欺も急増していますが、とにかく人に相談すること。第三者がきけば、おかしな点が見えてくるものです。また騙されたと気づいたら、「恥ずかしい」「勉強代だと思って」などと、泣き寝入りしないこと。泣き寝入りすることが、被害を拡大させます。

だまされてしまった場合も、「ぼーっとしているからだ」「欲をかくからだ」などと本人を責めないこと。悪いのはだます方です。ショックを受けている本人の気持ちに寄り添い、善後策を考えてくださいね。

これからも、さらに新手の詐欺が登場することでしょう。ふだんから家族や周りの人とコミュニケーションを取ること、ニュースなどを通じて手口を知っておくことが詐欺被害から身を守る一番大切なことだと思います。

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