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コンプライアンス経営とは?

21世紀のキーワード“コンプライアンス経営”

日本でコンプライアンスという言葉が本格的に使われ始めて約10年たちましたが、この言葉の重みはより一層高まっています。1990年代初めのバブル経済崩壊後、大手証券会社による損失補てん、金融機関の不正融資、銀行の海外支店の巨額損失事件、銀行や証券会社、大手企業による総会屋に対する利益供与事件など、一般の投資家や株主の利益を損ねる問題が一気に表面化しました。

これは商法の欠陥や日本的慣行などから一部の経営者や社員の暴走を牽制・抑止する機能が日本の会社になかったことや、日本人の横並び意識、“みんなで渡れば怖くない”といった意識や、組織内部のチェック体制の不備などが原因としてあげられます。

この反省からも商法が改正され、監査役の権限強化や、株主代表訴訟制度の改革、また総会屋への利益供与に対する罰則強化などの改革が行われてきました。

また、バブル崩壊後、日本経済は金融機関の不良債権問題の影響で長期低迷を余儀なくされましたが、大量の不良債権を発生させた真因は金融機関のそのような企業体質にあったのかもしれません。そのような中、1999年7月に金融検査マニュアルが登場し、金融機関の「法令等遵守」体制および「リスク管理体制」が金融当局の検査によりチェックされることが明文化されました。

この時、まさに日本にコンプライアンスという言葉が広くいきわたりました。

2000年代に入り国民(消費者)直結の事件が多発

2000年代に入ると、食品会社による不当表示(日付、産地、種類など)、自動車メーカーによるリコール隠し、耐震強度の偽装、保険業界の保険料の不払いなど、国民(消費書)に直接的に損害や迷惑をかける事件が現在まで相次いでいます。

これは、なぜでしょうか?

これは、経済成長が低迷あるいは緩やかになる中、資本主義経済の負の側面が表出し始めた為ではないでしょうか?すなわち競争に勝つことのみ、自社が生き残ることのみに企業や経営者の価値観が偏り、大切にしなければならない何かを置き去りにしてしまった結果ではないでしょうか?

社会の意識・関心の高まり

一方、このような国民(消費者)直結の不祥事が多発する中、国民(消費者)の安心や安全に対する意識はかなり高まっています。また、社会の成熟化と相まって地球環境や健康・心に対する意識もかつてないほど高まってきています。

このような国民(消費者)の関心や期待を裏切るような企業はもはや時代遅れであり、製品・商品やサービス自体に対する信頼を失い、企業業績にも大きな打撃を受けることになります。今後は益々この傾向は加速していくものと思います。

つまり、社会の価値観が「物質面」から「精神面」に移行しつつある中で、国民(消費者)は、企業に対して法令順守だけではなく、環境など倫理的な側面まで求めるようになってきています。企業はここに早く気づく必要があるのです。

これからの企業の生き方

これから21世紀を生き抜いていく企業は、20世紀型の資本主義的な経営からの早期脱却が必要です。すなわち、競争に勝つことのみ、自社が生き残ることのみに価値観を過度に集中させる経営からの脱却です。それがまさに、21世紀のキーワード“コンプライアンス経営”です。

コンプライアンス「Compliance」は、Comply(従う)の名詞形で「従うこと」「追従」が直訳ですが、日本では、「法令」のみならずその背景にある精神や価値観、さらに「倫理や社会規範に従うこと」の意味でも使われることが一般的です。

21世紀に入り社会の成熟化は一層進み、日本人の意識・関心も益々「物質」から「精神や倫理」へと昇華していきます。そして、この消費者である国民の意識に共感・共鳴していく企業のみが生き残っていけるものと確信いたします。つまり、企業はこの精神面や倫理的な部分を意識し、社会との調和のとれた“WIN・WIN・WIN”の経営、すなわち“コンプライアンス経営”を積極的に目指すべきなのです。

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