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人事評価者になったら知っておきたい!評価や目標の基礎知識

あなたの会社では、適切かつ公正な人事評価が行われているでしょうか?「上長によって評価基準にばらつきがある」「目標が高すぎる」といった、人事評価や目標設定の問題点は、社員のモチベーションを著しく低下させます。

部下を持つ立場になり、正当に評価をつけることができているのか、自信を持てずにいる評価者も多いでしょう。会社の人事制度を健全に運営していくためには、人事評価者が「正しい評価」や「目標設定」の仕方について理解をしておく必要があります。

評価者のトレーニング不足が原因で社員のモチベーショは大幅に低下

近年、管理職や管理者としての教育が不十分な状態で、評価者として部下を評価するケースが増えています。人材不足などの影響により、現場から管理職に引き上げられてしまい放り出されるケースです。充分な管理者教育がなされないことで、部下への評価に客観性が乏しく、好き嫌いで判断するなどの問題が起こっています。

加えて、コロナで定着した在宅ワークなどの働き方が大きく変わったことで、在宅ワーク時の業務評価の仕組みも整備不足により正しい評価を阻害する要因になっています。

人材の配置や評価を適切に行なっていくことは、企業の生産性向上や社員のモチベーション維持においてますます重要になっていきます。

本記事を参考に、改めて自社の人事評価制度について整理をしてみてください。それでは、正しい評価、目標設定とは一体どんなものでしょうか。

人事制度は何のためにある?

そもそも人事制度は、会社の中でどのような役割を果たしているのでしょうか?例を挙げました。

  • 採用・・・優れた人材を採用すること
  • 育成・・・会社のの存続・発展に寄与する人材を育てる
  • 人材配置・・・適切な処遇と適正な配置を実施する
  • モラル・・・社内で高い水準のモラルを保つ

会社は人材の集合によって成り立つものです。一人ひとりが適切に能力を発揮し、快適に仕事をしていくことが、会社に発展をもたらすといっても過言ではないでしょう。

人事制度は、下記から成り立ちます。

  • 人事考課制度
  • 賃金制度
  • 職能資格等級
  • 昇進・昇格制度
  • 教育・育成制度

部下を評価するために必要な目標管理制度は、「人事考課制度」「教育・育成制度」の両方にまたがります。

成長するために必要な「目標設定」

目的と目標

会社の中で評価され、役職や階級を上げるためには「目標の達成」が必要なのは言うまでもありません。ここで、「目標」の定義についてお話しします。

まず、目標の前に必ず「目的」が存在します。目的とは、最終的に目指す姿のことを指し、会社でいうと経営ビジョンなどがこれにあたります。目的を達成するためには、一つひとつ到達点をクリアしていく必要があります。その到達点であり、道標となるのが目標なのです。

・目的・・・最終的に目指す像
・目標・・・目的を達成するまでのチェックポイント

現時点から目的地に向けて、道の所々に置かれたチェックポイント=目標であると認識しましょう。目標が明確であれば、「現時点のあるべき状態からずれている」「足りない部分がある」「ここは上手くいっている」などの評価が容易にできるようになります。

適切な目標設定なくして正しい評価は成り立ちません。部下を評価する立場になったなら、まずは目指す姿を明確にし、そこに向けての道標を立てることが必要なのです。

目標設定に求められること

1954年にピーター・ドラッガーが提唱した目標管理の方法である「MBO(Management by Objectives)」では、適切な目標設定には下記の5つのポイントを押さえる必要があるとされています。

  1. 具体的であること
  2. 達成可能であること
  3. 期限があること
  4. 達成方法の明記
  5. 会社と個人目標の連動

例えば、「売り上げを達成するために、テレアポに積極的に取り組む」という目標は具体性に欠けます。積極的に取り組むとは、何にどれぐらい取り組むことを指すのかが明らかではないからです。また、仮に「売り上げを達成するために、電話で1日100件のアポを取る」は、具体的であっても達成は難しいでしょう。

このように、評価の指標となる目標設定は、何をどうするべきなのかが明らかであり、現実的なものでなくてはなりません。

目標達成に向けた「指導」と「育成」

部下が目標を達成できるよう、適切な指導や育成を行うのは上司の大切な役割の一つ。ところで、「指導」「育成」は別物であることをご存知でしょうか。

指導とは、知識や技能を教え、習得させること。一方で、育成は部下の能力を伸ばすこと。ただ業務を遂行できるようになるだけでなく、部下の潜在能力を引き出し、それを業務で発揮できるような形に導いていくのが育成です。

評価者はプロではない

人事評価者に任命されるのは、必ずしも公平な目を持ったプロばかりではありません。評価の際に起こりやすいエラーについてご紹介します。評価を行う際は、当てはまる傾向がないか、自分を省みる必要があります。ただし、偏りを無くそうとするのではなく(現実としては難しい)、自分自身の評価傾向を正確に把握することが大切です。◯◯のような人材は評価を高くしがち、▼▼のような人材には評価が甘くなりがち。のように自分自身の評価傾向を把握し、評価の際に、偏りを修正する意識を持ってください。

①中心化傾向

中庸な評価に偏ってしまう。自分がつける評価に自信がない場合に起こりやすい。

②極端化傾向

中心化傾向を避けようとするあまり、無理に強弱をつけた評価をしてしまう。

③寛大化傾向

部下に嫌われたくない心理が働き、評価が甘くなる。

④厳格化傾向

部下の成長を期待し、必要以上に厳しく評価する。一見部下思いのように感じられるが、客観性を欠き、基準から外れている。

⑤ハロー効果

一要素の強烈な印象に引っ張られ、すべてが優秀または劣っているように見えてしまう。

⑥逆算化傾向

あらかじめ最終評価を決め、結果ありきで評価する。

⑦論理誤差

決断力が高ければ判断力も高いと憶測で評価するなど、論理で処理してしまう。

⑧対比誤差

自分自身と比べて評価をしてしまう。評価者が得意なことは厳しく、苦手なことは甘い評価をつけやすい傾向に。

⑨期末評価

評価期間全体ではなく、期末近くの大きな成功・失敗が影響してしまう。

人事評価をする際の3つのポイント

観察眼

部下の職務行動をよく観察する必要があります。日頃の目標に対する取り組みを見届けることに加え、観察だけで見えない部分を面談でカバーします。

グレードごとのあるべき姿の把握

評価者は、部下の職務・グレードに求められる能力やあるべき姿の理解が求められます。基準が明確でないと、そこに達しているのかどうかの判断ができません。

評価の有効活用

人事評価は、単に評価を行うことがゴールではありません。そこで得た結果を、人材の配置に活かしたり、部下のさらなる成長を促したりと次に活かすことが重要です。

複眼で評価する

人事評価においては、ひとりで判断するのではなく複眼(複数の多角的な眼)でチェックすることも重要となります。上司と部下という限られた関係性での評価では、評価フィルターが歪んでいるケースも多くなります。できる限り、部署を横断した形での評価制度を構築したいところです。

適切な人事評価ができる人材の育成

セミナー&研修.netでは、それぞれの会社の特性に沿った人事評価者研修を提供しています。評価の心構えやポイントだけでなく、目標設定の具体的な方法までレクチャーが可能です。

一社一社に合わせて必要な内容をカスタマイズさせていただきますので、評価者の育成を検討している人事担当者様はぜひお気軽にお問い合わせください。zoomなどを活用したオンラインの研修にも対応しております。

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