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人材アセスメント導入メリット&ディメンション(能力要件)を解説

「社内での人事評価が上手くいっていない…」「公平性に欠け、不満を持つ社員がいる」と頭を悩ませる人事担当の皆様。その悩みを社内で解決するのは難しいかもしれません。

同じ企業の中で人が人を評価する以上、多少の主観が入ってしまうのは致し方ないこと。業務の遂行能力の高い管理職が人を評価することに長けているかと言えば、中には不向きな場合もあるでしょう。 そこで検討していただきたいのが、「人材アセスメント」です。今回は、客観性の高い評価プログラムとして注目を集める人材アセスメントについて解説します。

人材アセスメントとは

人材アセスメントとは、社外の専門家による人材評価プログラムのことを指します。社内で人材を評価する際に生まれがちな主観によるばらつきを取り除き、適切な評価をつけるためのものです。

戦時中に海外で生まれたこの手法が日本に持ち込まれたのは、昭和40年代のこと。現在では数多くの企業が、昇級・昇格者の決定や社員の特性の把握などに役立てるために、人材アセスメントを導入しています。 今回は、人材アセスメントが一体どんなプログラムであるのかに加え、評価の際に必要となるディメンション(能力要件)についても解説します。

社内考課の落とし穴

社員の人事考課はすべて社内で完結するケースが一般的です。昇級・昇格も、一次評価者→二次評価者という流れで、日頃一緒に働いている上長や、さらに上の管理職からの評価によって決められます。しかし、その評価が完全に公平なものなのかというと、疑問に感じる方も多いでしょう。

評価エラー

社内で人事考課を行う際、陥りやすい評価エラーというものがあります。

  • 中心化傾向:評価者が判断に自信を持てないがゆえに、中庸な評価をつけてしまう。
  • 極端化傾向:中心化傾向を避けようとする心理が働き、評価が極端になる。
  • 寛大化傾向:部下に嫌われたくないという心理により、評価が甘くなる。
  • 厳格化傾向:部下を成長させるため、必要以上に厳しく評価する。
  • ハロー効果:一つの美点や欠点に印象が引っ張られ、他の要素の評価にも影響してしまう。
  • 逆算化傾向:最終評価を先に決め、そこから逆算して各項目を評価する。
  • 対比誤差:自分と対比して評価をする。自分が得意な事柄は評価が厳しくなり、苦手なことは甘くなる。
  • 期末評価:評価をする時期の間近で起こった出来事に引っ張れて評価をつけてしまう。

本来、評価は公正でなければいけませんが、社内の人間がそれを行う以上は起こり得るエラーと言えるでしょう。こうした不公平を取っ払い、全員を同じスケールで評価できるのが人材アセスメントのプログラムなのです。

人材アセスメントのメリット

人材アセスメントを導入することで、企業や社員にとってはどんなメリットがあるのでしょうか。

  • 客観性の高い人事評価を行うため、社員が納得感を持てる
  • 昇級・昇格にふさわしい人材を効率的に選抜できる
  • 社員の特性を発見し、適切な人材配置のミスマッチを防げる

第三者による評価を採用することで個人の主観が介入しないニュートラルな人事が可能になり、会社と写真の双方が大きなメリットを得られます。

人材アセスメントの方法

社内での人事考課は、それまでの働きぶりや実績などを考慮して決定されます。一方、人材アセスメントは「今、この場」での行動をもとに評価をするのが特徴です。

アセスメントの対象者はロールプレイで仕事の演習を行い、アセッサーと呼ばれる評価者によってそこでの行動がすべて観察・記録されます。 演習の内容は、下記の4種類が一般的です。

インタビューシミュレーション(面談の演習)

インバスケット演習(問題解決の演習)

グループディスカッション(集団での話し合い)

アナリシス&プレゼンテーション(分析発表演習)

公平性を保つため、アセッサーは対象者の人事考課データなどの閲覧は一切しません。また、全員が同じ内容の演習を行うため、有利不利のない状態が約束されています。

演習を行うグループには担当のアセッサーがつきますが、さらに全体を統括するアドミニストレーター(責任講師)によっても対象者の観察がなされます。客観性を担保するため、アセッサーとアドミニストレーターによる評価を照らし合わせ、重なった部分だけを採用する複眼評価を行います。

ストレスのかかる状況だからこそ、本当の姿が見える

人材アセスメントの演習では、普段の仕事環境とは異なるシチュエーションで実施されるため、対象者は多少のストレスややりにくさを感じるように作られています。 しかしそういった状況で出たアウトプットにこそ、その人材の本来の能力がそのまま表れるものです。

ディメンション(能力要件)の設定

人材アセスメントでは、ターゲットとなる職種に求められるディメンション(能力要件)を設定します。能力要件の数はおよそ15〜25個程度が一般的です。

演習は、設定した能力要件に合わせた内容のものが実施されます。例えば「決断力」という能力要件について評価をする場合、一つの演習ではなく、複数の演習での行動を観察することによって、総合的に判断を行うのです。

ディメンションは、個人特性意思決定能力対人関係能力業務遂行能力の4つをもとに特性の把握を行います。 それぞれの内容について解説します。

個人特性

個人特性とは、個々が本来持つ資質のことで、その人の人柄や考え方、ストレス耐性などその人本来の持ち味を表す項目です。

  • 自律一貫性・・・自分の意見を持ち述べられるか
  • 積極性・・・情報や状況に応じて素早く反応し、自らが能動的に行動に移せるか
  • ストレス耐性・・・ストレスを感じる場面において、安定した力が発揮できるか
  • 革新性・・・従来とは異なる新しい方法を追求できるか

意思決定能力

戦略・意思決定の特徴を把握する項目です。

  • 課題抽出力・・・組織におけるボトルネックを見つけ出すことができるか
  • 問題分析力・・・事実や手元情報を整理し、問題点を明確にすることができるか
  • 判断力・・・状況に応じて多面的な対策を講じられるか
  • 決断力・・・不安定な状況下でも決断を下せるか

対人関係能力

コミュニケーションの特性を把握する項目です

  • リーダーシップ・・・自分の想いを相手に対して熱心に訴えかける姿勢があるか
  • 活性化力・・・場の雰囲気を察しメンバーをリラックスさせているか
  • 折衝力・・・状況に応じて対応を変えているか
  • 部下育成・・・部下の気持ちを察し、共感的に受け止めているか

業務遂行能力

日常業務の円滑な運営能力を把握する項目です。

  • 計画力・・・適切な優先順位付けで計画を立てているか
  • 実行管理力・・・進捗を確認・調整し、方法を考えられているか
  • 組織化力・・・目標達成に必要な人・物・金の配分を考えているか

公平性・客観性・多面性のある人材評価を

人材アセスメントを導入することで、社内では難しいよりニュートラルな人材評価が可能になります。個別のフィードバックを行うため、対象者は自分自身の強み・弱みを把握する機会として活用ができる点も大きなメリットです。

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