“営業の練習”のススメ-その5-


テーマを持って、考えながら練習する

日本ハムファイターズの斎藤佑樹投手は、ある日のキャンプの練習で、一度ブルペンに入って投球した後、グラウンドに出て遠投し、その後再びブルペンに戻って投球したとのことでした。

今まで私も知りませんでしたが、キャンプにおいてブルペンに一日に二度入るということは、通常の投手はあまりしないのだそうです。

それを聞いて私は「そこが佑ちゃんの他の人とは違う凄いところ」だと思いました。

報道によれば、二度もブルペンで投げた理由は、一度目に少しフォームにしっくりこないところがあったので、いったんグラウンドに出てそれを遠投で修正し、再度ブルペンで投げて確認したということです。

簡単に言えば、これが「テーマを持って、考えながら練習する」ということだと私は思います。「こうすればうまくいくだろう」というイメージを具現化しては(やってみては)考え、修正してはまたやってみる、を繰り返すのです。

例えばブルペンで一度投球しただけでは「今日はちょっとおかしかったな」と思うだけで、それを解決することなく一日の練習が終わってしまうかも知れません。だからそれをいったん止めて修正し、もう一度やってみることが大切なのです。単にメニューを淡々とこなせばいいというものではない。

そう言えばある評論家が「斉藤投手はダルビッシュ投手同様、考えながら練習しているから成功するだろう」と言っていたのを思い出しましたが、まさにその通りでしょう。

こうしてテーマを持って考えながら着実に修正を行っていくというやり方をしている人としていない人、その間には知らぬ間に大きな差ができてしまうに違いありません。

ちなみに本によれば、こうした練習のことを、〝デリベレイト・プラクティス〟(計画的に熟慮された練習)とか、〝目的性訓練〟等と呼んでいるようです。

営業の練習に役立つ本

今回は、以下の2冊をご紹介します。

○「不動心 /松井秀喜 著(新潮新書)」

私は松井選手の野球に対する考え方や姿勢が、とても好きです。(とは言え、本で読んだりTVで伝わる程度しか知りませんが)
そこで先日、同選手の著書「不動心」(新潮新書)を読み返していると、そこに「2005年のシーズン序盤に、アスレチックスのユニフォームを着てグラウンドに立っている夢を見た」と、松井選手自身が書いていたことをあらためて知り、驚きました。

もちろん、その時点で6年後の2011年のシーズンにそれがまさか真実になるとは予測出来ないわけですが、それも満更、まったくの偶然でもないのかも知れません。

以下は同書からの引用ですが、これ以外にも同書には特に若手~中堅営業の人たちに参考となる松井選手の考え方がふんだんに盛り込まれています。

『練習するときは、色々なテーマを持ってやります。試験勉強は、問題を解いてみて、できないものがあれば、なぜ間違ったのかを考え、次は正しい答えを導き出せるよう繰り返し問題を解いていくでしょう。野球の練習も同じで、頭で考えているイメージや理論を自分のものにするために、何度も反復して行います。思ったり考えたりしているだけでは、本当に自分のものにはならないし、身に付きません。』(「不動心」/松井秀喜著 新潮新書より)

上の商談ロールプレイングや斉藤祐樹投手の練習方法にも通じるところがあるでしょう?

ちなみに冒頭の素振りの話も、この本の中に書いてあります。

○「なぜ危機に気づけなかったのか /マイケル・A・ロベルト 著(英治出版)」

私はセミナー等で、営業の練習に関して、ある本の一節を引用することがあります。今回はそれを紹介します。

『「フォーチュン」誌の寄稿者ジェフリー・コルビンは、タイガー・ウッズのようなゴルファーのアプローチの練習が、夏の週末に数回ゴルフをする一般人と大きく違っていることについて次のように述べている。
単に、一箱のボールを打つというのは、デリベレイト・プラクティスではない。だからほとんどのゴルファーがうまくならないのだ。80パーセントの球をピンの20フィート以内に寄せることを目標にしてエイト・アイアンを使って300球打ち、絶えず結果を観察し、適切な修正を行い、それを毎日数時間行うこと――それがデリベレイト・プラクティスなのだ。』

これも上の「テーマを持って、考えながら練習する」の私のイメージです。

逆算思考(先行マネジメント)で行こう

サッカーの長友佑都選手は、世界最強とも言われるインテルに入団したことを「早すぎるのでは?」と聞かれ、「特に問題ないと思う。自分はこれまで、世界一のサイドバックになろうと逆算して取り組んできたので」と答えました。

この逆算思考というのは、何事によらず、とても重要な考え方です。ゴールから逆算してて「今やるべきこと」「これからやるべきこと」を決定する。
私はそれを、「先行マネジメント」と呼んだりしていますが、それもある種の逆算思考です。

最近、長友選手をはじめ、野球界では斉藤祐樹投手、ゴルフ界では石川遼選手等、観ていて楽しい選手が増えてきました。皆に共通しているのは、何より考え方が素晴らしいということです。営業でも考え方を鍛えることが上達の秘訣です。

ちなみに、私の開講しているネット講座「ルーズリーフに8つのフォームを書いて営業の売上がドンドン上がる講座」の中でも、最初に、この「先行マネジメント」を挙げていますので、興味のある方は、是非一度、覘いてみてください。

ではまた、次回のコラムをお楽しみに。

(“営業の練習”のススメ-その6-へ続く)

コラム執筆コンサルタントの関連研修

本研修は、営業(渉外)担当者としての基本的な心構えや考え方(モチベーション)から、基本的なマナーや会話、商談に基本的な進め方(スキル)を学んでいただくことができます。特に商談スキル向上ではオリジナルのツール(商談スクリプト)の作成方法や使い方、研修後の継続的な取り組み(練習方法)まで身につけていただきますので、成果の上がる営業マンの育成にはお薦めのコンテンツです。