“営業の練習”のススメ-その3-


営業の練習は「素振り」。それをイメージして、紙に書いてみる

営業のもっともよい練習方法は「素振り」です。と言っても少し分かり難いでしょうから説明します。野球の松井選手の言葉を借りれば、素振りは一言で言って「イメージを具現化するもの」となります。
それによってイメージと実際のギャップを確認しながら微調整を繰り返し、「これで大丈夫!」という自信を持ってバッターボックスに立つのです。

そこで営業の素振りですが、営業の素振りは商談時の顧客とのやりとりに焦点を当てて行う一連の営業動作です。それはつまり商談の局面ごとに交わされる相手との会話やプレゼンテーション等を指します。

局面とは、例えば商談の流れに沿って[イントロ]→[状況の明確化]→[問題の明確化]→[問題の掘り下げ]→[提案]→[クロージング]のように進む個々の場面です。

まずはこの局面ごとの理想的な動作等をイメージするところから始めます。

これをイメージするだけでもそれなりの効果はありますが、野球のバッターが実際にバットを振って確かめるように、営業でも、それをイメージするだけでなく、具現化することが必要です。

そしてその最適な方法が、紙に書いてみるということです。

では何を書くかですが、簡単に言えば、それはこちらの会話と相手(顧客)の会話が、あたかも演劇の台本のようになったもの、と考えれば分かりやすいでしょう。台本=スクリプト、なので、私はそれを「商談スクリプト」と呼んでいますが、それを商談の脚本家になったつもりでザッと書いてみるのです。

試しにあなたも是非一度、近い将来に予定されている商談の「商談スクリプト」を書いてみてください。これをイメージして書いてみるだけで、商談の曖昧なイメージが具体化し、それがとてもよい営業の練習になることが分かると思います。

ちなみに「商談スクリプト」の構成は、上で述べた商談の局面の流れ、つまり、[イントロ]→[状況の明確化]→[問題の明確化]→[問題の掘り下げ]→[提案]→[クロージング]とします。

その際、バットのスイングに理想的な形があるように、それぞれの局面にも理想像(局面ごとのゴール)を明確にしておくことが重要です。

ちなみに、それぞれの局面において参考となるゴールは、次の通りです。

◇[イントロ]:商談の導入部分の会話です。ゴールは「相手の感情を肯定的にする」ことです。商談の最初にそれをしなければ、その後の会話もスムーズにいかないからです。

◇[状況の明確化]:相手の状況をよく知るための会話です。ゴールは文字通り「その状況が明確になる」ことです。これには、適切に質問し適切な相手の反応を得ていくことが必要です。いきあたりばったりの会話では、どうしても売り込みになったり誘導的になったりして、相手に抵抗感や警戒感を持たれて商談成功率が下がってしまうからです。

◇[問題の明確化]:相手の問題を明らかにする会話です。ゴールはズバリ「問題が明らかになる」ことです。

◇[問題の掘り下げ]:その問題をより具体化して問題解決の焦点を絞る会話です。ゴールは「解決すべき問題が明らかになる」ことです。

◇[提案]:その問題に即して解決策を提示する会話です。ゴールは「相手の期待を高める」ことです。

◇[クロージング]:営業の商談では、商品やサービスありきでそれを売り込むのでなく、あくまで相手の状況に即して提案することがポイントです。最後の[クロージング]で、提案によって高めた相手の期待を受注や商談の進展に繋げます。すなわちゴールは、「受注」や「商談の進展」となります。

これをやってみると、おそらく難しいのは相手の会話をイメージすることでしょう。それは実際に商談してみなければ分からないものだからです。逆に商談すれば直ぐに分かるものでもあります。だから「分からないことを事前にあれこれ考えても仕方がない」と、事前にそうしたことをあまりやりたがらない人もいます。

しかしその解釈は少し違います。それは「考えても分からない」ことを考えるというのでなく、「考えれば分かるようなことは予め考えておく」ということだからです。それをよくイメージできるようにすること自体が練習なのです。
そしてそれが、商談の適切な事前準備に役立ち、営業マンに必要な考える力、想像(創造)力や直観力を鍛えます。ひいては商談の成功率が上がります。

商談の成功率を上げることは、商談で失敗してから「事前にもう少しよくイメージして準備しておけば、もう少しなんとかなったのにな」という反省が出来るだけ少なくなるようにすること、と言ってもいいでしょう。

(“営業の練習”のススメ-その4-へ続く)

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