企業はなぜ人材アセスメントを採用し続けるのか


今回のテーマは「アセスメントプログラムを企業の人事は評価し、昇進・昇格プログラムとして採用しつづけるのか?」ということですが、まず『適材適所』と『適所適材』の違いについて触れたいと思います。皆さんはこの似た言葉の違いが分かりますか? 適材適所とは、その人材の能力を最も発揮できる仕事をやってもらうことです。適所適材とは、その仕事に必要な能力を最も備わった人材に仕事をやってもらうことです。創業まもない成長企業の経営者は、適所適材で人材を採用し配置します。これは理想の形と言えます。やがて社員が増え、組織が拡大すると配置換えで異なる仕事に就かせ(ジョブローテーション)能力開発を合理的に行っていきます。これをCDP(キャリア・デベロップメント・プログラム)と言います。CDPは適材適所で人事を行うことになりますが、社員が増えるにつれ全員洩れなく適材適所で配置するのは難しくなります。また、会社組織はヒエラルキー(階層社会)、いわゆるピラミッド組織が一般的なのはご承知の通りです。管理・監督職への昇進・昇格も適材適所が理想、建前ですが、大手企業の実情は適所適材にならざるを得ないと言えるでしょう。すなわち、部長、課長、係長に必要な能力・資質を予め決めておき、基準に適合した人材にポストを与える考えです。適所適材、適材適所のどちらにしても正しい能力評価ができなければ、恣意的な人事になり機能しません。この点では、アセスメントプログラムはどちらにも適応できる有効なプログラムと言えます。

さて、本題のしかも結論を述べてしまいます。前述した通り、人材の登用は適材適所あるいは適所適材でも正しい能力評価が必要となります。組織体系のある中小企業では、社員の職務評価を業績や能力の社内基準を設けて、上司が部下を評価する仕組みを人事考課(評価)制度として運用し、昇進・昇格制度や賃金制度とリンクさせて社員の処遇決めていると思います。もちろんこれは大手企業でも同じですが、大手企業はなぜアセスメントプログラムを昇進・昇格制度に組み込むのでしょうか。その答えは、「人事考課制度の評価は過去の職務経験の評価であって、将来を予測するものでは無いということです」。
簡単に言えば、優秀な係長がその延長で優秀な課長になるとは限らないということです。係長と課長の役割(経営責任)・立場(権限の幅)が違う訳ですから、求められる能力も違うと考えるのが当然と言えます。

アセスメントプログラムは、研修プログラムとしてターゲットとなる職位の職務状況を与え、仕事(演習)を複数してもらいます。シミュレーション(模擬体験)の結果として記録した言動や成果物から、ターゲット職位に求められる能力について評点を行い、最終的に適正について評定を行います。例えば、係長職に課長職の仕事をしてもらいます。その仕事のシミュレーションとなる演習は、会議、部下指導、問題解決、事業戦略策定で構成され、受講者は課長に成りきって取り組まなければなりません。記録した言動や成果物は課長職としての仕事の成果になりますから、その評価は課長職としての能力評価となります。

人材アセスメントプログラムで得られる評価データは、将来期待するマネジメント能力を発揮できるかできないかの予測評価であることがお分かり頂けたと思います。大手企業の人事部門は、社内の人事考課では過去の業績・能力の優劣をつけ、外部のアセスメント研修会社に将来予測のマネジメント能力の優劣をつけさせて、過去と将来予測の能力について総合的な判断で昇進・昇格を決定しています。問題は人事考課とアセスメント評価の割合になります。人事考課:アセスメント評価の割合が7:3か5:5か3:7か。もし、3:7の割合の場合は、恐らくどんなに人事考課で高成績を残しても、アセスメントである基準以上の評点を獲得しない限り昇進・昇格は見送られるということになります。この現象は、アセスメントの依存が高い企業となります。実際そのような企業があるかと言えば、実はかなりあります。社員数や組織規模が大きく、アセスメントプログラムの導入が古い上場大手企業に見受けられる傾向です。数多くの昇進・昇格を控えた上場企業の社員に接してきた私は、アセメントプログラムの信頼度は相当なものであると断言いたします。

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