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人材アセスメントの歴史背景

多くの大手企業で昇進・昇格研修として採用するプログラムをご紹介します。プログラム名は『人材アセスメント研修』です。ジャイロ総合コンサルティングでは、中小企業が潜在的に抱える問題を解決する最適なプログラムのひとつである人材アセスメント研修の浸透を図っていく計画です。このコーナーでは、人材アセスメントの歴史からプログラム概要を説明したいと思います。

『アセスメント』という言葉は環境省の『環境アセスメント』という制度名で聞き覚えがあると思います。別名『環境影響評価』です。『人材アセスメント』では、差し詰め『人材予測評価』という感じになります。人材アセスメントプログラムを簡単に言い表すと「シミュレーション(模擬演習体験)によってターゲット職位に必要な能力の評価を行う」というものです。このプログラムは第一次大戦中のドイツで開発されました。ターゲット職位は将校です。将校の選抜試験として登場したアセスメントプログラムはその後の第二次世界大戦中のドイツではヒトラーの親衛隊選抜、イギリスでは特殊部隊隊員選抜、アメリカで情報部員(スパイ)選抜で採用されました。

アメリカのスパイ選抜のアセスメントプログラムを例に取ると、評価する能力は、「自己動機づけ」、「問題解決の知恵」、「感情安定性」、「社交性」、「リーダーシップ」、「運動能力」、「観察と報告」、「扇動力」、「守秘力」の9項目だったそうです。スパイ映画007の主役ジェームズ・ボンドを思い浮かべるとリアリティが出てくるのではないでしょうか。模擬演習体験となる演習は3種類ありました。①個人作業、②面接実習、③グループ演習で、①個人作業の課題では、遺留品を示して、持ち主の特徴を推察させるテスト、地図を8分間見せて地理的記憶力を判定するテスト、鉄道の破壊工作の策定テストなどです。②面接演習では、捕虜を尋問するロールプレイ(役割演技法)、逆に尋問され、拷問や洗脳を受け、どれくらい守秘力があるかを評価する面接シミュレーションが行われました。③グループ演習は6人単位のグループ討議で、幅8フィート(2.4メートル)の谷川の向こう岸から、板片、ロープ、滑車などを使って精密機械や雷管箱を安全に運ぶ方法や、敵軍の追跡から逃れようとする6名の味方スパイが10メートルの崖をいかに乗り越えるか、敵中を横断し秘密文章を奪還する方法などが課題でした。ご承知の通り敵はドイツ、イタリア、日本が中心ですから、①個人作業の鉄道の破壊工作は満州鉄道の想定だったようです。②面接演習の相手は日本兵、③グループ演習の敵軍は日本軍を想定してシミュレーションしていたのだろうと容易に想像がつきます。

産業用のアセスメントプログラムが登場したのは、アメリカAT&T社(アメリカ電話電信会社)に所属の心理学博士達が1958年(昭和33)年に産業心理学会でアセスメントの成果を発表した時とされています。発表内容はAT&T社傘下のミシガンベル社でアセスメントプログラムとその他の適性試験を組み合わせて実施した効果測定の成果発表でした。効果測定とは、プログラムで高得点の社員、低得点の社員がその後どうようなキャリアを送ったか追跡調査を行ったもので、結果としてアセスメントプログラムの精度を証明するものでした。この発表に感銘を受けて独自に研究を行った企業は、IBM、GE、スタンダードオイル、シアーズローバックでした。アセスメントプログラムの世界中への広がりは心理学博士がアセスメントプログラム専門のコンサルタント会社を1972年(昭和47年)に設立した後になります。同年、ハワイで主催された国際心理学会で、日本の研修コンサルタント会社の役員と二人の博士が運命的な出会いをしたことで日本にアセメントプログラムが上陸します。その年の8月に二人の博士が来日し、アセスメント紹介セミナーを開催し、11月に両社は技術提携し日本版アセスメントプログラムが開発されていきます。日本でのアセスメントが広がったきっかけは、高度成長期の終焉を迎える1973年(昭和48年)の第一次オイルショックでその理由は昇進昇格者を絞らなければならない背景からでした。40年以上経過した現在は、超大手企業を筆頭に多くの上場企業やそのグループ企業でアセスメントプログラムを採用しています。第一次オイルショック以降、大手企業の昇進・昇格事情は増々厳しいことの表れと言えます。また、アセスメントプログラムを実施する研修コンサルタント会社もとても増えました。ジャイロ総合コンサルティングもその一社と言えます。ちなみに、最初にアセスメントプログラムを日本で行った企業は、先のアセスメントの効果測定で感銘を受け、独自に研究をした日本IBMと言われています。
以上が人材アセスメント研修の誕生から日本企業への浸透の歴史になります。

人材アセスメントに研修に興味を持たれましたら、お気軽にお問合せください。